2022年06月19日

マイセン シャーレ「鳩とアルブレヒツブルグ城」 釉下彩 ユーゲントシュティール ルドルフ・ヘンチェル

最近、アンティーク陶磁器の価格が高騰
しています。特に珍しいものや逸品は次
元が違うような値上がりぶりで、ちょっ
と戸惑ってしまいます。円安もあるので
しょうが、海外での相場なのでこの影響
とは違うように思います。


今回のブログでは、マイセンのユーゲン
ト時代のシャーレを紹介します。小品で
すが、ジャポニズム(日本趣味)の逸品
です。


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写真1)マイセン シャーレ 1900年頃

釉下彩=アンダーグレーズの技法で描かれ
た「鳩とアルブレヒツブルグ城」のシャー
レです。作品の上部3分の2に鳩が大きく描
かれ、下3分の1にシルエットでお城が配置
されています。鳩の羽は大きく枠を飛び出
しています。何と、大胆な構図でしょう!
それまでのマイセンにはない、ユーゲント
時代特有のものです。



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写真2)同上 クローズアップ


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写真3)同上 クローズアップ

抑えられた色調、磁器の素地に吸い込まれ
た淡い輪郭は、釉下彩ならではの独特な効
果です。靄にかかった城の遠景などは、上
絵付よりもリアルに見えます。鳩の存在感
との対比は、その効果を十分に考えたもの
でしょう。

ここでクイズです。城のシルエットを見て、
何か足りないのに気づきましたか?***



答えは、教会の尖塔です。アルブレヒツブ
ルグ城には教会の尖塔が2本あり、これが
大きな特徴になっています。


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写真4)1015年頃の銅版画 部分

写真4)はユーゲントシュティール時代にマ
イセン活躍したアルトゥール・バールトの銅
版画です。2本の尖塔がはっきり見えます。こ
の尖塔は1908年に完成したもので、それまで
は違う形でした。ということは、このマイセン
のシャーレは1908年以前に作られたものとい
うことが分かります。




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写真5)歌川広重 深川洲崎十万坪 部分

写真5)は広重の浮世絵です。 この作品
はヨーロッパで特に人気が高く、たくさん
の画家や工芸家に影響を与えたと言います。


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写真6)同マイセン シャーレ 部分

いかがでしょう。とても似ている構図と思
いませんか。

このシャーレの作者は、恐らくルドルフ・
ヘンチェルと考えます。時代や技術、ヘン
チェル自身の芸術的趣向からも間違いない
でしょう。ただ、作品にサインはないので、
今の処その証明はできません。

この推測が正しいかどうかは別にしても、
この時代のマイセンの芸術家たちが、どの
ようにして日本の工芸に影響をうけたのか、
これはこれからの研究課題です。
記録にあるのは、「1900年のパリ万博へ
マイセンの若い芸術家たちが自費で見学に
赴き、日本の工芸に大きな影響を受けた」
ということです。


いつものように最後にマークを御覧にい
れます。

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写真7) 同 裏面 マーク

マークはボタン剣です。サイズは16×16㎝、
やや深みのあるシャーレです。
マークにスクラッチの無い一級品です。
どうぞ、お手に取ってご覧ください。
ユーゲントマイセンの傑作と考えています。

価格 140,000円(税込)
売り切れの際はご容赦下さい。



アンティーク西洋陶磁器専門店 
   アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
         TEL-03-5717-3108
   ホームページはこちらです  
http://archiv.jp/




dresdner220 at 16:56│Comments(0) マイセン作品紹介 | ユーゲントシュティール

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