2014年03月

2014年03月27日

マイセン 自然主義様式の花絵    ネコヤナギとユキワリソウ

桜の開花宣言が出ました。アーカイヴ前の桜は今二分咲き
三分咲きといったところでしょうか。

今回のブログでは、以前好評だったマイセンの自然主義様式
の花絵を紹介します。今回取り上げる花は「ネコヤナギ」と「ユキ
ワリソウ」です。

ネコヤナギの花は春を告げる植物として、マイセンでもよく取り
上げられるモチーフです。日本でもちょうど今頃、ヤナギの木の
花がフワフワと芽吹いているのが見られます。

s-ヤナギの芽-2







写真1) ネコヤナギの花

ネコヤナギには雄株と雌株があり、花穂が割れて花粉を出します。
s-ヤナギの芽-1










写真2) ネコヤナギの雄花

マイセンで描かれるのは、こうした状態のネコヤナギです。
s-2C8T2103











写真3) マイセン ベース 「自然主義様式の花絵」 1890年頃
s-2C8T2104










写真4) 同上 「ネコヤナギとユキワリソウ」 

ネコヤナギの黄色い葯の部分は、エナメルの絵の具がのせられて
います。柔らかい筆致で奥行きや光をとても上手く表現しています。

s-ミスミソウ-1







写真5)ユキワリソウ 

ネコヤナギの下には青い花が絵付けされていますが、この花は
「ユキワリソウ」です。ネコヤナギと共に春を告げる花ですね。


s-2C8T2108









写真6)マイセン プレートの同モチーフ  1985年頃

写真6)は同じモチーフを現代のマイセンが描いたものです。自然主
義様式の花絵はとても難しく、現在のものはちょっと形骸化した絵付
けのように思います。筆致も19世紀のものに比べて、固いものにな
っています。それでは、再度19世紀の自然主義の花絵と比較してみ
て下さい。

s-2C8T2106









写真7) マイセン デミタスのソーサー 1890年頃

いかがでしょうか。マイセンの自然主義様式の花絵から春を感じて
頂けたでしょうか。



アンティーク西洋陶磁器専門店 
               アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
                 TEL-03-5717-3108
           ホームページはこちらです  http://archiv.jp


dresdner220 at 15:39|PermalinkComments(1)TrackBack(0) マイセン作品紹介 | 自然主義様式の花絵

2014年03月15日

マイセン ブリュール伯爵の混合意匠  ブリュールズアラーライ part 2

前回のブログの続きです。

ケンドラーのデザインしたレリーフ装飾を、ブリュール伯爵が非常に
好んだという話をしました。
ケンドラーのレリーフは現在でもマイセンの定番になっていますが、
その主なレリーフ装飾を一枚のお皿に6種類も組み入れた器型を
「ブリュールズアラーライ=ブリュール伯爵の混合意匠」といいます。

下の6種のレリーフ装飾をご覧下さい。
(金彩や花絵は無視して、レリーフだけを見てみて下さい。)

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写真1)No.76ボーダーのバリエーション

s-2C8T1883






写真2)ブレード・パターンのバリエーション

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写真3)スルコウスキー・パターン

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写真4)ブランデンシュタイン・パターンのバリエーション

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写真5)アルトオツィエ・パターン

s-2C8T1887







写真6)リンデュッシュ・パターンのバリエーション


いかがですか。6種の異なるレリーフが連続してあしらわれている
のがご覧頂けると思います。花のレリーフやロココ調の金彩レリーフ
にも、同じものの繰り返しはありません。凝ってますね。

アラーライ( Allerlei )はドイツ語で混ぜ合わすといった意味です。
ですから、ブリュールズアラーライとは、「ブリュール伯爵の好んだレ
リーフ文様を、ひとつの器型の上に組み合わせた装飾」という意味
にとるのが正解と思います。

いかがですか。ケンドラーがこの意匠を考え、献上した時の伯爵の
満足そうな顔が想像できませんか?

このブリュールズアラーライの作品はマイセンでも高級品であり、
アンティーク市場においてもそう数の多い物ではありません。

本作は19世紀後半のもので、メインの花絵付けも柔らかなタッチで、
この時代独特のものといえるでしょう。優しい色彩も何
とも言えない雰囲気です。

s-2C8T1889












写真7) 同作品の花絵付け 

s-2C8T1888




写真8) 同作品 マーク 

s-2C8T1881






写真9) マイセン プレート 1890年頃

最後に今一度、作品の全体像の写真を掲載しておきます。
ちょっとした知識があると、ものの見え方も変わってくるよう
な気がします。

もし可能であれば、ショップにてゆっくりとご鑑賞下さい。



アンティーク西洋陶磁器専門店 

               アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
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dresdner220 at 14:38|PermalinkComments(0)TrackBack(0) マイセン作品紹介 | 作品紹介

2014年03月14日

マイセン ブリュール伯爵の混合意匠  ブリュールズアラーライ

皆様は「ブリュールズアラーライ」という言葉を聞いた事が
ありますか?マイセンの専門書などにはよく出てくる言葉
なのですが、今回のブログではこれについて解説します。

その前に下の1)2)の写真を見て下さい。
s-2C8T1880








写真1)マイセン オーバルプレート 1890年頃

s-2C8T1881











写真2) 同上

写真1)2)どちらの置き方が正しいでしょう?
一般的には1)のように感じますが、正解は2)です。
中央の花絵は無視して、プレート周囲の装飾を見て下さい。
花の装飾の左右のバランスが、1)では不自然です。それに対
して2)の縦位置ですと、全ての装飾は調和をもって安定します。
マイセンはこうしたことまできちんと作る窯なのです。


前置きが長くなりました。
ブリュールズアラーライ(Bruhlsches Allerlei独)は、日本語
では「ブリュール伯爵の混合意匠」と訳していますが、これが
解説された事は、今までにないかもしれません。
日本ではマイセンの知名度は高いですが、まだこうした分野
の知識は少ないですね。

ブリュール伯爵は、18世紀、ザクセンのアウグスト二世が亡く
なった後、マイセン窯の経営を任せられる人物です。アウグスト
二世を継いだ三世は磁器にそれ程興味を示さず、アウグスト
二世に劣らない磁器好きであった伯爵は、マイセン窯を私物化
し好き放題にサービスを発注します。中でも伯爵が好んだのが
豪華なレリーフ装飾でした。
この時のマイセンには、レリーフ装飾作りの名人がいました。
他ならぬケンドラーです。ケンドラーは伯爵の注文に応え、
その溢れるような才能で次々と多彩なレリーフ装飾をデザイン
します。有名な「スワンサービス」はその頂点とも言えるもので
す。
1



写真3) マイセン スワンサービスのレリーフ

ケンドラーの傑作である「スワンサービス」は、そのレリーフ
装飾の見事さに、さすがのヘロルトも器の周囲に柿右衛門
様式の小花を絵付けすることしか出来なかったと言います。
この時期は、絵付け以上に造形が重んじられた時代で、この
エピソードも、ケンドラーとヘロルトのライバル関係を示す興味
ある話です。

まだ、長くなりそうなので、以下次回のブログに続けます。



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dresdner220 at 17:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0) マイセン作品紹介 | 作品紹介

2014年03月08日

マイセン 真贋 クイズの答え

今回のクイズにつきましても、たくさんの反響を頂きました。
熱心な皆様に御礼申し上げます。本当に有難うございました。

ヒントをというご要望も頂いたのですが、お約束ですので
ここで答えを発表したいと思います。
ただ、真贋に関る事なので、ディーラーとしての立場からの
答えということをご承知おき下さい。

s-2C8T1784




写真1) 問題にお出ししたC&S

結論からいうと、本作はマイセン窯でつくったものとは言えません。

では、マークの写真から見て下さい。
s-2C8T1786





写真2) C&Sのマーク

このマークは、一般にパイファーのマークと呼ばれるもので、
1924年~34年まで使われていたものです。マークはきちんと
釉薬の下に描かれており、濃淡はあるものの形状もマイセンの
ものに間違いないでしょう。従って、素地自体はマイセンのもの
ということができると思います。

s-2C8T1787







写真3) マークに入れられたスクラッチ

写真3〉はマークに入れられたスクラッチです。ここでは便宜上
スクラッチとしましたが、スリキズなど自然に出来たものではなく、
人為的に刻まれたキズです。
マイセンが好きなかたならすでにご存知と思いますが、これは
マイセンの検品から何らかの理由ではじかれた製品につけられ
る印です。今で言うアウトレットですね。
キズの数や箇所によって、二級品から破棄品、現物支給品など
と定義されているのですが、比較的最近のものはともかく、古い
時代のものはよく分からないというのが実情です。

マイセンでは白磁はしっかりと管理されており、白磁が市場に
出る事はないというのが建前ですが、実は、古い時代には、こ
うしたスクラッチをつけて、多くの白磁が流出していたというのが
本当のところでしょう。とすると、マイセンやドレスデンの周辺に
たくさんあった上絵付けの工房が、こうした白磁に手描きしたと
しても、むしろ当然の話です。

私達アンティークのディーラーとしては、こうしたマークにスクラッチ
が入った製品を、二級品であるとかアウトレットであると説明して
販売するのは原則いけない事だと、個人的には考えています。
いくら素地がマイセン製でも、他所で絵付けされた製品はマイセン
で作ったとは言えないからです。
(但し、マイセンでは二級品を正式に販売しているので、スクラッチ
の入った製品がすべて外絵付けという訳ではありません)

s-2C8T1788






写真4) ソーサーの花絵付けとレリーフ

では、この花絵付けがマイセンのものか、外絵付けのものかという
点ですが、これは微妙です。絵付けは多少甘い感じがしますし、構図
もきっちりとしたマイセンの様式とは少しずれています。但し、色使い
や花の種類などは比較的よくマイセンの特徴を捉えています。

s-2C8T1789








写真5) カップの花絵と縁取りの金彩

カップの花絵も同じ色調、同じタッチで描かれています。恐らく同じ
ペインターの仕事でしょう。個人的には構図やタッチにちょっと違和
感を覚えます。しかし、これだけで外絵であると断言するには、ちょっ
と根拠が弱い。絵付けだけを見ればマイセンの花と言えないこともあ
りません。

しかし、上の4)と5)写真の中に、本作が真作でないという大きな
証拠があります。言われてみれば、「なーんだ、そんな事か」と思う
でしょう。またマイセンの愛好家の方ならきっと気付かれているで
しょう。

カップとソーサーの縁取りをよくご覧下さい。
そうです。カップとソーサーが本来の組み合わせではないのです。
ソーサーにはレリーフがありますが、カップにはありません。マイセン
ではこうした組み合わせで製品は出しません。ソーサーにレリーフが
あればカップにもあります。カップのハンドルは有名な「スワンハンド
ル」ですが、明らかにソーサーは別物ですね。

本作はたまたま、白磁で存在していたサイズの合うソーサーとカップ
に、マイセンとは別の工房で上絵付けされたものと判断できます。

よく、「素地はマイセン製だし、絵付けは手描きだから、これはこれで
マイセンとしての価値がある」というような理屈を聞きます。購入した
方がこう考える事は自由ですが、これはディーラーとしては受け入れ
難いものです。こうしたものまでマイセンと認めたら、アンティーク
市場は無法地帯です。アンティークの世界に贋作やコピーが流入す
るのは止めようがない事だとは思いますが、アンティークを扱うディ
ーラーとしては、こうした危険性をしっかりと肝に銘じておかねばなら
ぬと考えます。

クイズの答えから、ちょっとえらそうになってしまいましたが、どうぞ
お許し下さい。



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