2015年03月

2015年03月29日

マイセン 「クロッカス・サービス」 ユーゲントシュティールの文様

あちこちで桜の話題が聞こえ、満開も間近のようです。
先日は妻と近くの公園まで散歩へ行ってきたのですが、
クロッカスの可愛い花が咲いていました。

マイセンには「クロッカス・サービス」というユーゲント時代
の有名な作品があります。

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写真1) マイセン クロッカス・サービスのC&S 1900年頃

マイセンの芸術家であったコンラッド・ヘンチェルによって1898年
にデザインされました。それまでの伝統的なマイセン作品を見慣
れていた顧客にとっては、もはや奇異に感じられるような革新的
な作品でした。21世紀の現在においても、その先進性は明らか
で全く古さを感じさせないデザインです。

ところで、何故この文様と器型を「クロッカス」と命名したのでしょう?
作者のコンラッド・ヘンチェルに直接聞いてみたいところですが、
彼は1907年に35歳の若さで急逝しています。

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写真2) コンラッド・ヘンチェル 1905年頃

「クロッカス・サービス」は器型・装飾ともに全く新作であり、それ
までのマイセンに類例のないものでした。装飾はマイセン伝統
の花絵ではなく、抽象的な文様です。クロッカスの花ではなく、
花開く前の芽葉を表しており、器型の含めて全体でクロッカスの
成長を表現しているといいます。

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写真3) 西洋のクロッカス

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写真4) クロッカスの芽

クロッカスの開花時期は2月から4月とされますが、春を前にぐん
ぐんと伸びてゆく芽葉は、生命の勢いを感じさせます。コンラッド・
ヘンチェルもきっと同じように感じたのではないでしょうか?

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写真5) マイセン「クロッカス・サービス」 オープン・シュガー

こうして見てくると、器型からも文様からもクロッカスをイメージ
できるのではないでしょうか?
花絵付け・花模様を極めたマイセンで、こうした作品ができ上
がった背景には多くの物語があるのですが、これはまた改めて
紹介する事に致しましょう。

「クロッカス・サービス」は1900年のパリ万博に急遽出品され、
ここで大評判を得ます。これを機にマイセンはユーゲントシュ
ティールの方向に大きく舵を切っていく訳ですが、クロッカス・
サービスは、この時代の磁器芸術にとってもエポックメーキング
な作品だったのです。磁器芸術の歴史をたどる上でも、必ず押
さえておきたい作品ですね。


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dresdner220 at 14:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0) マイセン作品紹介 | 花とマイセン

2015年03月21日

マイセンCEO クルツケ氏 退任

ドイツのマイセンのHPでも正式に発表になりましたので、
このブログでも取り上げますが、マイセンのCEO クリスチ
アンクルツケ氏が退任し、後任としてティルマン・ブラシュ
ケ氏がこれを引き継ぎます。

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写真1) 前マイセンCEO クリスチアン・クルツケ氏


何かと話題の多かったクリスチアン・クルツケ氏がマイセンの
CEOから降りると言う話を聞いたのは、知り合いのディーラー
からの電話でした。その後3月20日に、ドイツのマイセンHPでも
発表されましたが、本当に驚きました。

というのも、クルツケ氏が敷いたマイセンの新路線は、未だその
途中だからです。これからマイセンはどうするのだろう・・という
のが正直な感想です。

マイセンのCEOはドイツ統一前から、ハンネス・ヴァルター氏
という方でした。この人は鉱物や化学の博士でもあり、何よりも
東独時代からのマイセンたたき上げの人物でした。マイセン磁
器やそこで働く人々をよく知っていました。実際にお会いした事
もありますが、人間的にも尊敬できる方でした。

ご存知のように、マイセンはドイツザクセン州が持ち株100%の
企業ですが、その方針が変わったのは2008年です。それまで
文化の継承という意味での補助金など、いわば採算度外視して
も良いものを作るという姿勢でしたが、これが成り立っていかな
くなったのです。ザクセン州の財政難がその原因でした。

マイセンは独立して採算を取らねばならず、大きな改革を迫られ
ました。外部からCEOを迎え入れる事はこうした経緯によるもの
でした。そこで選ばれたのがクルツケ氏です。彼はボストンコン
サルティングのシニアマネージャーであり、企業建て直しの専門
家でした。

クルツケ氏はCEO就任直後から、マイセンに大鉈をふるって改革
してゆきます。新しい顧客のためにマイセンクチュール、高級ジュ
エリー、ファッション、インテリアなどの新部門を立ち上げ、最近では
バッグやウエディングドレスまで手がけていました。これと同時に
クルツケ氏は、その豪腕で次々と大きなリストラも実行しました。

東独からのベテラン職人や芸術家なども、人員整理の対象でした。
この中には、マイセンに大きく貢献した有名芸術家も含まれており、
マイセンファンの間でも、大きな論議を呼びました。
2010年には売れ残りに在庫を大量に処分した事も問題になりまし
た。最近ではマイセン市との間で、ロゴやマークの使用権も問題に
なっていました。また新たに立ち上げた部門も未だ軌道には乗って
いません。2013年には赤字を計上し、2014年はさらに大きな融資
が必要と言われています。

こうした路線半ばで、クルツケ氏はポルシェ・デザインに移るそう
です。



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写真2) 新CEO ティルマン・ブラシュケ氏

後任のティルマン・ブラシュケ氏はマイセンのコマーシャルディレ
クターであったそうです。
これからのマイセンがどのような路線を行くのかは、全く不明で
すが、マイセンがますます発展し、すばらしい磁器作品を作って
くれる事を願ってやみません。




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dresdner220 at 16:26|PermalinkComments(1)TrackBack(0) イベント 催事 | マイセン訪独
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