2015年09月

2015年09月30日

マイセンのカワセミ 翡翠 川蝉

今日のブログはマイセンのカワセミを紹介しましょう。

二子玉川の地元でも、カワセミを見かけることがあります。
多摩川の河原に兵庫島公園という場所があります。
多摩川と野川の合流地点で、休日はたくさんの人が訪れ
る公園です。公園につながる兵庫橋周辺は今だ自然が
残っており、カワセミはこの辺りで見かけます。
しかし、最近は開発が進んでおり、珍しくなりました。


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写真1)マイセン プレート 「カワセミ」 1960年頃

写真1)はマイセンの飾り皿で、1960年頃に作られた作品
です。所謂、自然主義様式の描法で絵付けされており、自然
をよく観察して生き生きと描かれているのがお分かりになる
と思います。カワセミ本体だけでなく、木の葉や実などの質
感も見事です。昔のペインターは上手いですね。今のマイセン
でこれほどの作品は描けるでしょうか?ちょっと心配になって
しまいます。


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写真2) マイセン プレート 「樹上のカワセミ」 1985年頃

写真2)は古典様式で描かれたカワセミです。古典様式は18
世紀の絵付けを手本にしており、必ずしも自然に忠実に描か
れる訳ではありません。樹上に二羽の鳥が描かれるのが定型
で、モチーフはカワセミに限らず色々な種類の鳥がえがかれ
ます。


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写真3) マイセン フィギュア 「カワセミ」 1910年頃

このフィギュアは1910年頃に作られた、所謂ユーゲントシュ
ティール様式の作品に属するものです。作者はパウル・ヴァ
ルター(Paul Walther )、鳥や動物のフィギュアで有名な芸術家
です。カワセミ独特の青はイングレーズ(釉薬に染み込んでゆく
特殊な絵の具)の技法で絵付けされており、深い独特な色合を
醸し出しています。こうした色は通常の上絵の具では出せない
もので、ユーゲント時代の作品だけに見られる大きな特徴です。
光の具合によって色彩が微妙に変化するように見え、この時代
の傑作に仕上がっていると思います。


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写真4) マイセン絵付師による習作  1989年

写真4)はマイセンのペインターによるカワセミの習作です。当事、
鳥の絵付けではマイセン最高の一人といわれた女性ペインター、
マルスさんの作品です。色鉛筆で描かれており、習作とはいえ
力の入った立派な作品と思っています。

当事は未だ東ドイツ時代であり、彼女が古い鳥類図鑑を大切に
大切に使っていたのを思い出します。日本には美しい鳥類図鑑が
あるので、お送りしましょうというか私の申し出に、「多分私のところ
にまでは届かないでしょう」と首を横に振ったその表情が印象的で
した。
この約一ヵ月後、私達は、ベルリンの壁の上で熱い抱擁をかわす
ドイツの人々の、信じられないような映像を目の当たりにする事に
なります。
衝撃的でした・・・・



アンティーク西洋陶磁器専門店 
         アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
               TEL-03-5717-3108
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2015年09月24日

マイセン ドランゴンの絵付け  龍  ドラゴン

今回のブログは、マイセンのドラゴンの絵付けについて述べよう
と思います。

マイセンのドラゴンは、もちろん日本の文様にその源があります。
アウグスト王はこの龍文様が気に入って、宮廷で使う食器にこれを
選びました。この事から、本龍文は宮廷龍と呼ばれます。

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写真1) マイセン C&S 「宮廷ドラゴン文様」 

この龍文は珊瑚赤と呼ばれる朱色でしたが、この色はザクセン
王室が解体される1918年まで、一般に販売する事が許さ
れなかったと言います。そのため、マイセンではこの文様に他の
色を付けて市場に出したのです。従って、1918年以前の珊瑚赤
の宮廷龍は、アンティーク市場に存在しないという事になります。


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写真2) マイセン C&S 「明朝ドラゴン文様」

写真2)のドラゴン文様は、「明朝ドラゴン」といいます。この文様は
中国の龍に習ったものです。「宮廷ドラゴン」がグラフィック調である
のに対し、「明朝ドラゴン」は絵画的です。この装飾にも色々な彩色
があります。


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写真3) マイセン C&S 「ドラゴンメロディー」

本作はハインツ・ヴェルナーによる現代マイセンの装飾です。マイ
セン伝統のドラゴンに対するヴェルナー流の解釈といえるでしょう。
一見すると現代のメルヘンのように感じますが、これはマイセン
の伝統や様式なしには決して誕生しなかった装飾でしょう。


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写真4) 「宮廷ドラゴン」のクローズアップ

宮廷ドラゴンには鳳凰が一緒にえがかれています。また、龍が追っ
ているのは巻物などの宝尽くしであり、日本人であればこの装飾が
吉祥文であることが理解できるでしょう。

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写真5) 「明朝ドラゴン」のクローズアップ

明朝ドラゴンが咥えようとしているのは宝珠ですね。中国の宮廷で
は龍の爪は五本で表わすといいます。これも縁起の良い装飾ですね。


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写真6) 「ドラゴンメロディー」 クローズアップ

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写真7) 同上

「ドラゴンメロディー」は楽器を奏でる妖精と共に描かれます。
これはハインツ・ヴェルナーの創造したオリジナルのストーリー
をもとに描かれています。

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写真8) 「ドラゴンメロディー」 絵画 H・ヴェルナー

写真8)はマイセンの装飾を元に描かれたH・ヴェルナー
オリジナル絵画です。ヴェルナーのストーリーがより広がりを
もって表現されています。


マイセンのドラゴン文様、興味は尽きません。



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2015年09月14日

マイセナー マニュスクリプト  まとめ               Meissener Manuscripte

前回のブログでも書いたように、2008年に突如マイセナー
マニュスクリプトの11号が再版されました。

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写真1)マイセナーマニュスクリプト Vol.11 再版

表紙をご覧になればお分かりのように、これは英語版です。
1997年に出たオリジナルドイツ語版は、マイセンの剣マーク
が使われて275周年を記念して出版されたものでした。

本英語版は、マイセンのマークについての説明が国際的に
求められた事に対するマイセン側の一つの回答だったのでしょう。

内容は、多少の編集変更はあったものの、写真や記事は
ドイツ語版とほとんど変わりません。

これ以降、マイセナーマニュスクリプトは2015年現在に至る
まで発行されておらず、この号において完結したと思われます。

書名   Meissener Manuskripte 11
      「Under the banner of the "Crossed Sword "」
発行      マイセン磁器制作所
編著者      Sandstein Verlag
発行年    2008年    
         1500部限定 44ページ

*現在の入手は難しいようです

それでは、最後にマイセナーマニュスクリプトの一覧をリスト
としてまとめておきます。


マイセナーマニュスクリプト コンプリート リスト

発行年    号      テーマ

1992年   92-1号   トピックス
1992年   92-2号   トピックス
1992年     第1号   陶板画
1992年     第2号   マイセンの若い力
1993年     第3号   ヘンチェルの子供
1993年     第4号   ビジョン ハインツ・ヴェルナー
1994年     第5号   ハーレクインとアルレッキーノ コメディアデラルテ
1994年     第6号   王の楽しみ  チェス
1995年     第7号   ハーベスト フォルクマール・ブレッチュナイダー
1995年     第8号   パウル・ショイリヒ
1996年     第9号   ルードヴィッヒ・ツェプナー
1996年     第10号  ヘロルト96
1997年     第11号  剣マーク 275周年
1998年     第12号  レリーフの装飾
1999年     第13号  世紀のコレクション
2000年     第14号  時代の証のコレクション
2001年     第15号  ペーター・シュトラング
2001年     第16号  ベース ベース ベース
2003年     第17号  建築と陶板画
2006年     第18号  フォルムの完成  ケンドラー
2006年     第19号  等身大孔雀の完成  ケンドラー
2007年     第20号  べトガー炻器
2008年     第11号  剣マーク 275周年 再版 英語版




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2015年09月12日

マイセナーマニュスクリプト Vol. 20 「ベトガー炻器」

今回のブログもマイセナーマニュスクリプトの紹介です。
この号は第20号になります。
実質的にはこの号が最終号ということになりますが、さらに
何を思ったか、11号が装丁を新たにして再刊される事になり
ますので、こちらが本当の最終号になります。

本ブログは「マイセナーマニュスクリプト」に関しては、コンプ
リートを目指しているので、再版の11号は次回に紹介します。

第20号は「ベトガー炻器」の特集です。
この号は148ページと結構力の入ったもので、マイセナー
マニュスクリプトの最終号にふさわしい力作に仕上がっています。

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写真1)マイセナーマニュスクリプト 第20号 表紙

ベトガー炻器は、ご存知のように、18世紀マイセンが白磁の完成
をみる前に作っていた陶器と磁器の中間のようなやきものです。

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写真2) 同上より  18世紀前半のベトガー炻器


べトガー炻器は18世紀初めに硬質磁器が完成されると、もはや
忘れ去られてしまうのですが、1919年にフンク(Dr.William Funk)
という人が復刻に成功します。これが素材として当事の若い芸術家
に受け入れられ、エネルギーに満ちた数々に作品に用いられること
になります。

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写真3) 同上より  マックス・エッサー紹介のページ

ベトガー炻器が再興された1919年は、プファイファー時代の前夜で
あり、マイセンは芸術的なエネルギーに満ちている時でした。今では
ビッグネームであるエルンスト・バルラッハやゲアハルド・マルクス
などの芸術家も、ベトガー炻器でマイセンに作品を残しています。

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写真4) 同上より シルビア・クリューデの紹介のページ

マイセンの現代作家もこの素材には魅かれるようで、5人の芸術家
集団はもちろん、次世代の芸術家に属するシルビア・クレ-デも
作品を作っています。しかし、彼女も現マイセンの新体制下、すでに
マイセンを去り新しい工房で活動中です。

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写真5) 同上 裏表紙

この号に最後には、ベトガー炻器で作られた作品リストなども
掲載されており、資料としてもとても充実しています。
マイセンの特にフィギュアに関心をお持ちの方なら、是非手元
においておきたい一冊です。



書名   Meissener Manuskripte 20
      「Boettgersteinzeug」
発行      マイセン磁器制作所
編著者      Pter Braun
発行年    2007年    
         3000部限定 148ページ

*現在の入手は難しいようです


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2015年09月06日

マイセン 「青い鳥と金の竹」 東洋文様  マイセンの装飾

今回はマイセンのインド文様を紹介します。

マイセンで「インド」という場合、これは東インド会社に由来する
広く東洋を指す言葉で、日本や中国などに影響を受けた文様を
いいます。

しかし、ヘロルトが考案した「ヘロルトシノワズリー」や「港湾風景」
などは、インド文様ではなく、ヨーロッパ文様に分類されますので、
注意が必要です。

アンティーク市場では、マイセンのインド文様のことを「シノワズリ
ー」と云う事もあるようですが、これは間違いで、マイセンでは、
上述の「ヘロルトシノワズリー」以外に「シノワズリー」という言葉
は使いません。

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写真1)マイセン 「青い鳥と金の竹」 プレート 1970年頃

この装飾は、東独の首相であったオットー.グローテボールの
ためのサービスとして考案されたといわれます。
ドレスデン、ツヴィンガー宮殿の資料室に保管されていた膨大
な東洋磁器を参考に作られたマイセンの新作でした。
薄暗い資料室で、古い東洋磁器を必死にスケッチした絵付師
の中の一人は、若き日のハインツ・ヴェルナーその人でした。


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写真2) 同上   クローズアップ

1960年当事のマイセンは未だ保守的であり、新しい装飾は
中々認められませんでした。古い装飾をアレンジして、サー
ビスを完成される方が、より安全な方法だったのでしょう。裏
を返せば、それだけ、失敗が許されない国家的なオーダーで
あったという事なのでしょう。


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写真3) マイセン公式カタログより

この装飾はマイセンでも最上級の装飾として、カタログに掲載
されています。

インド文様(東洋文様)
古典様式の画法
青と酸化銅の彩色
削った金彩で描かれた竹
金と赤の装飾
金の縁取り

装飾番号 570110

この中で「古典様式の画法」という用語があります。
古典画法はマイセンの花絵などでも出てきますが、インド文様
の場合はどういう画法なのでしょうか。
以下、写真と共にこれついて説明します。

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写真4) 一般のインド文様の線描

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写真5) 本装飾の線描

写真4)はマイセンでも高級な文様ですが、線描に注目して
みてください。細く均一な線だと思います。これは、ペンで描か
れた線であり、とても端正な線描に仕上がっています。

これに対して、写真5)は筆で描かれています。18世紀のマイ
センでは絵付けにペンは用いられておらず、どんな細い線も筆
で描かれていました。これが19世紀半になると、ペンが使われる
ようになります。ペンでは、均一で安定した細い線描が可能だった
からです。これは、やはり量産化による絵付師の負担を減らすた
めの措置だったのでしょう。


「青い鳥と金の竹」の装飾は敢えてペンを使わず、18世紀と同
じように筆による線描を用いました。絵付師の手数は増え、安
定性は減りましたが、非常に味ある線描に仕上がっています。

これが、インド文様における古典画法です。


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写真6) 縁取りの絵付けと赤金の装飾

赤と金の装飾も非常に凝ったもので、もちろん、全て手描きです。

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写真7) 同 クローズアップ

この装飾の名称にある「削った金彩で描かれた竹」というのは、
金彩を磨き、さらに瑪瑙ペンで傷をつけ、陰影のついた竹を
描いているという意味です。

全体で、この文様がいかに格の高いものかを示しているのが
ご理解いただけたでしょうか。


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写真8) 本作の装飾番号

本作の装飾番号は1310b 絵付師番号は60です。
これは、6桁の新品番になる以前の旧品番で、現在は上述の
とおり、570110 になります。

マイセン最上級のインド文様なので、価格も非常に高く、アン
ティーク市場でも見かける事はまれです。




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