2016年03月

2016年03月11日

フローラダニカ  ロイヤル・コペンハーゲン ボタニカルアート

今回はフローラダニカについての話題です。
花が好きなので、どうしても花絵付けの話題が多くなって
しまいますが、どうぞお許し下さい。

フローラダニカについての色々な逸話は、たくさんの
場所で触れられていると思いますので、このブログでは
もっとマニアックな事を語りましょう。


「フローラダニカ」というのは、デンマークの植物という
意味の古語で、もともとは植物図鑑の名前です。

この植物図鑑はコペンハーゲン社のおかげですっかり
有名になりました。
アンティークのボタニカルアートを扱うディーラーによると、
古書オークションに全53巻揃えで出てくると、千万円級
の高値で取引されるといいます。もっとも最近では市場に
出てくる事さえないそうですが。

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写真1) フローラダニカ 銅版画

当店には、19世紀版の本をばらした銅版画があります。
こうした銅版画の絵を磁器装飾として写したのですね。



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写真2) オリジナルのフローラダニカ プレート 資料より

フローラダニカの製作は、当初は2600ピースの器に絵付け
するという計画でした。絵付師はクリスチャン・バイエルとい
う人物です。このプロジェクトの絵付師は、彼ただ一人だけです。

このバイエルによる絵付けによるオリジナル・フローラダニ
カはその全てが国宝扱いであり、デンマーク王室の王室
食器室が管理しています。
2004年、宮内庁三の丸尚蔵館で、オリジナルのフローラ
ダニカが多数展示されました。この時、日通の美術輸送用の
トラックの後を、デンマークキュレーターを乗せた車が伴走した
と聞きました。正にVIP扱いですね。

オリジナルのフローラダニカは、渋い色合いで、現在と比べ
て非常に色が濃いのが特徴です。



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写真3) フローラダニカ  プレート 1980年頃

フローラダニカはロ社の象徴的作品として現在でも作られて
います。ただ、ロ社製品のほとんどが東南アジア製であるの
に対し、フローラダニカはデンマーク本国でしか作れないと
聞きました。ところが、ロ社のデンマーク工場がほとんど稼動
しておらず、オーダーが溜まったところで生産する受注生産
の形をとっているということです。
こうした理由で、現在フローラダニカは世界的に品薄です。
デパートなどでも、ほとんど見かけなくなってしまったと聞き
ました。

確かに、アンティーク市場ではここのところ、フローラダニカの
価格が高騰しています。特に絵付けの良いものはすごい価格
で取引されています。新品と違って、アンティーク市場では絵付
けの良し悪しで、同じアイテムでもかなり価格が違ってくるのが
実状です。

また、フローラダニカは1990年に、絵の具が変わったとのイン
フォメーションを受けました。これは従来のテレピン油から、
臭いのない水溶性に絵の具に変わったとの事でした。
この理由は、ペインターの健康上に関わる事という説明でした。
(但し、テレピン油に害があるという訳ではなく、臭いからくる
ストレスやアレルギーに対処するものという事です)

これによって製品の仕上がりにどの程度違いがでるかはっきり
としてはいませんが、コレクターや愛好者はこれ以前の作品を
欲しがります。という事は、アンティーク市場では、1990年以前
のものの方が高いという事です。




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写真4) 同上  裏面マーク

写真のプレートはマークから1980~85年の作品ということが
分かります。絵の具が変わる前ですね。




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写真5) 同上  カリグラフィー

器の裏面にはカリグラフィー(飾り文字)で植物に名前が記され
ています。学名なので分かりにくいですが、本作に絵付けされて
いるのは「フキタンポポ」という植物です。



フキタンポポ-黄色




写真6) フキタンポポの花


s-ー1フキタンポポ





写真7)フキタンポポの葉

一般のタンポポとは違い、葉がフキのようなことからこの名前が
あります。



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写真8) フローラダニカ プレート 部分

植物図鑑が原本になってるだけに、正確な描写で花葉が描かれて
います。描かれる植物は、器のサイズに合わせて原寸大の種類が
選ばれます。つまり、大きな器には大きな植物、小さな器には小さな
植物が描かれます。

最近のフローラダニカは器の上に食べ物を載せる事を考慮し、オリ
ジナルのものより、うすい絵付けになっています。また、彩色も爽や
かで、キノコやコケなどの暗い植物は避けられているようです。



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写真9) 同上

フキのような葉の形状は、一般のタンポポとは随分違います。



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写真10) 同上

学術的な図鑑ですので、根まできちんと描かれています。
全体的に見ても、きちんと絵付けされた品質の良い作品といえる
でしょう。

フローラダニカ、食器好きの憧れですが、奥が深いです。
焼きのもは文化ですね~。




アンティーク西洋陶磁器専門店 
             アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
                 TEL-03-5717-3108
           ホームページはこちらです  http://archiv.jp

dresdner220 at 19:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ロイヤルコペンハーゲン | 作品紹介

2016年03月07日

3月8日はミモザの日   マイセン ミモザの花の絵付け

明日3月8日は「ミモザの日」だそうです。
そんな日があったのかと調べてみると、正確には国連
が制定した「国際女性デー」です。

もともとは、イタリアなどで女性への感謝にミモザの花を贈る
習慣からきているそうです。ミモザと言えば、マイセンの花の
モチーフとしてもよく取り上げられるので、今回はマイセンの
ミモザの絵付けを紹介します。


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マイセン 飾皿 「ミモザの花 自然主義様式」 1890年頃

一口にミモザといっても色々種類があるようです。本作に描か
れているのはその葉形から、アカシアの一種「スノーウィー
リバーワトル」というミモザと考えています。


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写真2) ミモザ 「スノーウィーリバーワトル」種

ブッシュ状に生育するという事なので、本作の絵付けとも合致し
ているのではないでしょうか。

ミモザの花がマイセンの絵付けに取り上げられるのは、やはり
花の姿を自然に写した「自然主義様式の花絵」に多く見られます。



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写真3) 「自然主義様式のミモザの花」 

このブログでは何度も繰り返していますが、自然主義様式の絵付
けは、本当に素晴らしいと思います。しかし、このクォリティーが
保たれている期間はあまり長くなく、1870年頃にこの様式の花絵
が誕生して、ファイファー期にはすでにちょっと固い絵付けになって
しまっています。



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写真4) 同上

自然主義様式の絵付けは、光を意識した柔らかいタッチが特徴で
す。本作ははっきりした輪郭を描かず、光に溶け込んでいくような
ソフトな絵付けです。この描法をさら進化させていくと、「印象主義
様式の花絵」になりますが、これはもう陶磁器の装飾という範疇を
超えて、ファインアートと認識していいと思います。



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写真5) 同上

マイセンのベテラン花絵付け師に聞いたところ、自然主義様式の花
絵のこつは、「決して描きすぎない事、ちょうどいいと思う一歩手前で
筆をおく事」だそうです。

このブログは、ホームペインターの方もたくさん見て頂いていますの
で、絵付けのクローズアップの写真も掲載しておきます。参考になれ
ば幸いです。



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写真6) 同上 クローズアップ

アップにすると、線描や輪郭はほとんど感じられず、単に絵の具を
軽くのせているだけのように見えます。



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写真7) 同上 クローズアップ

こもまで近づくと、もはや抽象画のようにも見えます。



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写真8) 同上 クローズアップ

バックの穂状の表現は、まるで墨絵ですね。こうした花の描法は
日本の影響であるとされています。

そして、距離をおいて鑑賞すると、花が生き生きと立体的に見えて
きます。もちろん、これはこうした効果を考えた上の描法であり、
自然主義様式の絵付けがいかに高度であるかという事の証明でも
あります。


3月8日のミモザの日。感謝する女性であれば、恋人や母親でなく
とも、職場の方やご友人でもよいそうなので、ミモザの花を贈って
みませんか?
私も妻に贈ろうと思いますので、仕事の帰りに花屋さんに寄って
いくつもりです。




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