2016年07月

2016年07月31日

マイセンのポインターと犬の書籍  パウル・ヴァルターの動物像

今回のブログは、パウル・ヴァルターという芸術家がデザインした
ポインターのフィギュアを紹介します。


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写真1) マイセン フィギュア 「ポインター」 1925年頃

このポインターのフィギュアは、高さ8cm、幅15cmの小品ですが、
非常に出来のよい作品だと思います。
首を伸ばしたポーズや背骨・筋肉など、動物の動きや特徴がよく
表現されています。


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写真2) 同上 部分

原型が製作されたのは1908年、所謂ユーゲントシュティールの
時代です。イングレーズの技術で装飾されており、釉薬に沈み
こんだ深い色彩がこの当時の特徴です。同じモデルでも、現在
ではイングレーズの技法は使われておらず、一般的な上絵付け
の技法で描かれるので、ユーゲント時代のオリジナルとは全く
異なる作品になってしまいます。



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写真3) 同上 部分

作者のパウル・ヴァルターは1876年の生まれ、マイセン付属
素描学校で学んだ、マイセンに属する芸術家です。フィギュアの
成型師として働いた後、芸術家として作品をデザインするように
なります。ヴァルターは人物像は一切作らず、動物専門にフィ
ギュアをつくりました。



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写真4) 同上 部分

彼の鳥や獣のフィギュアはとても高いクォリティーであり、世界に
も日本にも、ヴァルターの作品を専門に蒐集しているコレクター
のいるくらいです。



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写真5) 同上 部分

ドイツ人の犬好きは有名ですが、マイセンが犬のフィギュアを作る
と本当に素晴らしく、アンティーク市場ではマイセンの犬はとても
高価に取引されます。特にユーゲント時代のものは人気が高い
です。


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写真6) 同上 部分  PWのイニシャル

作品にはPaul WaltherのPWのイニシャルが入っています。
このように、作品にサインを入れられるという事は、彼がフリーランス
の芸術家として、マイセンと契約していたと推測されます。


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写真7) 裏面のマークとモデルナンバー

マイセンのマークは1925年頃のマーク。写真ではわかりにくい
ですが、マイセンの剣マークの中央にうすく点がみえます。
モデル番号はY120です。


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写真8) 書籍より同モデル

マイセンの犬の作品を集めた本があるのですが、同じモデルが
掲載されています。こうして見ると、彩色がだいぶ異なります。
背中の色の部分が本ではブラウンぽくみえるのですが、当店の
作品はグレーです。同モデルでも、こうした個体差は結構ある
ようです。


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写真9) 書籍 Meissen Porcelain Dogs


この書籍も紹介しておきます。

書名  Meissen Porcelain Dogs  1875-1925
著者  Hugh Davies  & Hans Sonntag
発行年  1997年
出版  Hugh Davies Publishing Graet Britain

ユーゲント時代の犬だけを集めた作品集です。マニアックな書籍
ですが、マイセン愛好家にとってはとても役立つ本です。



アンティーク西洋陶磁器専門店 
             アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
                 TEL-03-5717-3108
           ホームページはこちらです  http://archiv.jp







dresdner220 at 22:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0) マイセン作品紹介 | 書籍紹介

2016年07月22日

マイセン 「伊万里写し」プレート  

今回のブログは、マイセンの「伊万里写し」を紹介します。

マイセンの装飾は、大きく三つに分かれます。一つめが花を
代表とする西洋文様、二つめが柿右衛門を代表とするインド
文様、そして三つめがアラビアンナイトを代表とする現代文様
です。

このうち「伊万里写し」は言うまでもなく「インド(=東洋)文様」
のカテゴリーの属するものです。今回紹介する「伊万里写し」
は、日本の伊万里文様を正確に写し取った作品で、マイセン
でも珍しい作品と言えるでしょう。

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写真1) マイセン プレート「伊万里写し」 1988年

上の写真だけを見れば、これがマイセン製と見分けられる人は、
まずいないのではないでしょうか。もちろん、一般の製品として
は、現在作られていません。実は、これは日本の企画ものとして
特別に作られたものです。

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写真2) 「瓷器之路」小冊子 1988年

この催しは、西武グループのセゾンによって企画されました。当
時1988年は、バブル景気の始まりの頃であり、デパートは競う
ように次々と新しいイベントを催行していました。セゾングループ
は中国博という催しの中で、「瓷器之路」という商品を売り出しま
した。

中国の景徳鎮、日本の伊万里、オランダのデルフト、ドイツのマイ
センの各窯で、「伊万里写し」を特注し、磁器の道をたどっていこう
という意欲的な企画でした。

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写真3) 小冊子より 中国 景徳鎮


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写真4) 小冊子より オランダ デルフト

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写真5) 小冊子より  日本 伊万里

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写真6) 小冊子より 東ドイツ マイセン

池袋の西武デパートでは、以上の四枚をセットにし化粧箱にいれ
て販売しましたが、当時、私の半年分の給料に近い価格がつけら
れていたと記憶しています。
デルフトも景徳鎮も、当時は非常に高級品でしたが、この中でも
マイセンは飛びぬけて高級品でした。おそらくマイセンの作品が
セット価格の相当な部分を占めていたのではないでしょうか。

現在手元にこのマイセン作品がある事は、何かの縁を感じさせて
なりません。

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写真7) マイセンの専門書より

因みに、この作品は、マイセン美術館の責任者であったハンス・
ゾーンターク博士に書籍にも掲載されています。


では、実際の作品の詳細を見てゆくことにしましょう。

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写真8) マイセン「伊万里写し」プレート クローズアップ

見事な筆致で鳳凰が描かれています。紺の部分は、染付けですね。


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写真9) 同上 中心部 クローズアップ

中心部には、花器に生けられた木枝と花が描かれています。染め
付けの上には金彩があしらわれていますが、もちろん全て手描き
です。

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写真10) 同上 クローズアップ 

鳳凰と同じ縁には牡丹の花が描かれています。


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写真11) 裏面のマーク

もちろん、裏面にはマイセンの双剣マークがあります。


1988年というと、もう28年も前になるのですね。当時のセゾン
グループは色々な文化振興を行っており、面白い企画がたくさ
んあった事を覚えています。こうした文化振興の事を「企業メセ
ナ」などと呼んでいました。
余裕のあった時代でした。



アンティーク西洋陶磁器専門店 
             アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
                 TEL-03-5717-3108
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dresdner220 at 23:08|PermalinkComments(0)TrackBack(0) マイセン 東洋文様 インド文様 | マイセン作品紹介
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