2016年08月

2016年08月26日

セーブル C&S アガサブルー  アンピールシェイプ    フルーテッド装飾

今回のブログは、セーブルのカップ&ソーサーを紹介します。

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写真1)セーブルC&S 「アガサブルー地」 1839年頃

セーブルの最大の特徴は、凛とした気高さにあると思っていま
すが、写真からもそうした品格がお伝えできるでしょうか?

アンティーク市場では「アガサブルー」と呼ばれる、セーブル独特
の淡いブルーがさわやかです。セーブルでは「王者の青」と呼
ばれるコバルトブルーが有名ですが、それに比べると、本作の
アガサブルーは数が少なく、市場でも非常に人気があります。

セーブル窯のインフォメーションによれば、このアガサとは「瑪瑙
=agate」という意味で、ある種の瑪瑙の色からこの名前がつけられ
たのでしょう。瑪瑙を意味する仏語agateが、agathaとも言われ
たようで、日本では一般に「アガサブルー」とよばれるようになった
と言われます。また、人名からきているという別の説もあります。


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写真2) 同上 ソーサーのアップ

器型は、俗に「アンピールシェイプ」、「ストライプシェイプ」などと呼
ばれますが、19世紀初頭のナポレオン時代に作られたものです。

カップ、ソーサー共に「フルーテッド=縦溝割り」の装飾が施されて
おり、よく観察すると、カップには凸型の、ソーサーには凹型のフル
ーテッドが装飾されています。この辺はさすがセーブル窯ならでは
のこだわりですね。



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写真3) 同上 ソーサーの金彩

セーブルの金彩の多くは「転写」ですが、本作の金彩を見ると転写
の「浅さ」はなく、手描きのようにも見えます。ただ、余りにも精緻な手
描きなので、判断に迷うところです。



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写真4) 同上  カップ内側の金彩

上の写真にはカップの内側の金彩を載せました。点の大きさ、ライン
の太さ、間隔など、手描きでしょうか、転写でしょうか?
皆様の判断をお聞かせ願えれば幸いです。


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写真5) 同上  ハンドルのアップ

この時代のセーブルの金彩は、独特の光沢があります。24金の絵
の具を焼成後、瑪瑙で磨き上げてこの光沢を出すといわれ、セーブ
ル職人の技術の高さを示しています。KPMにもマイセンにもこうした
金彩はありますが、セーブルの黄金色は落ち着いた品格があります。


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写真6) 同上 カップのマーク


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写真7) 同上 ソーサーのマーク


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写真8) セーブルのマークブックより

カップ、ソーサー共にブルーのスタンプマークが入っています。
1834~45年まで使われたマークです。本作のスタンプはかすれて
しまって製作年が読みにくいのですが、カップ、ソーサー共に1839
年と判読できます。
作られてから177年もたつのですね・・・・



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写真9) セーブルC&S 「アガサブルー」 全体像

最後にもう一度全体像をお見せいたします。

この時代のC&Sは実用されているものが多くコンディションもあまり
良くないのが常ですが、本作は素晴らしいコンディションを保ってい
ます。セーブルの特徴をよく示す完成度の高い作品です。

一昨日入荷したばかりで価格は決定しておりませんが、12万円位
(一客)になると思います。サイズ、コンディション等、ご質問があれば
HPよりご連絡ください。

是非、当店にて実物を手に取ってご覧ください。




アンティーク西洋陶磁器専門店 
               アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
                 TEL-03-5717-3108
           ホームページはこちらです  http://archiv.jp/








dresdner220 at 18:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0) セーブル | 作品紹介

2016年08月14日

マイセン 名画シリーズのプレート 「アトリエの画家 自画像」 ヘラルド・ドウ

今回はマイセンの「名画シリーズ」を取り上げましょう。
このブログでは、過去に二回紹介しています。

レンブラント 「放蕩息子」 2013年1月
フェルメール 「手紙を読む少女」  2012年4月

名画シリーズというのは、マイセンの飾リ皿に、名画をそのまま
写したもので、マイセンの絵付け技術の集大成とも言える作品群
です。どの位の種類が、どの位の数作られたのか、欧米でもきちん
とした研究はありません。

作られたのは19世紀半ば、マイセンが公式に出版した書籍では
1860年頃とされています。1860年はマイセン開窯150周年、1862
年は第3回ロンドン万博です。マイセン工場がアルブレヒト城から
現在に場所に移転を開始するのが1863年ですから、名画シリーズ
は移転前に城の中の窯で作られた事になるのでしょうか。

とにかく素晴らしい完成度であり、マイセンの現在の技術をもって
しても、これだけの作品はできないと思います。

では、作品をご覧ください。


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写真1) マイセン名画シリーズのプレート 1860年頃

モチーフになっている絵画は、ヘラルト・ダウ(Gerard Dou)という
オランダの芸術家の油彩です。1613年生まれ、17世紀半ばに活躍
した画家で、レンブラントの弟子です。精密な描写と正確な技術が
特徴で、レンブラントに学んだ明暗描写に秀でていました。

因みに、こんな犬の作品もありますが、繊細で緻密です。

Gerrit Dou, Sleeping Dog 1650




写真2) ヘラルド・ドウ 「寝ている犬」 部分


ではマイセン作品の元になった原画をご覧ください。


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写真3) ヘラルト・ドウ「アトリエの画家 自画像」 油彩 1647年

現在はドレスデンのアルテ・マイスター絵画館に収蔵されています。
この美術館は、「システィーナのマドンナ」で有名ですね。これらの
コレクションはアウグスト3世によるものとされますが、磁器好きの
父より、絵画の蒐集に熱をあげた王様です。
18世紀半ばは、オランダのレンブラント風の絵画が最も価値ある
ものでしたので、本作もそうしたものの一つとしてコレクションされた
のでしょう。

そして、19世紀に新たな富裕層が出現し、かつての歴史が再認識
されるようになります。しかし、こうした絵画は一点ものでしたから、
もう手に入れる事はできません。

そこで、新しい富裕層はかつての王様と同じ絵画を手に入れるため、
マイセン磁器にオリジナルを写させたのです。そのためにはお金を
惜しみませんでした。、また、マイセンも最高の技術でこの需要に
応えたのです。
マイセンの名画シリーズの完成には、こうした背景があります。

それでは、以下マイセン磁器のアップ写真をご覧ください。

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写真4) マイセン名画シリーズ クローズアップ

オリジナルの絵画に基づき、非常に正確に写されているのがお分
かりになると思います。オリジナルの油彩は、描かれてから約370
年、マイセン磁器は作られてから約150年になります。正に焼き物
とは思えない磁器工芸の極地と考えています。

因みに、磁器はほとんど劣化しないので、マイセンの色彩の方が
オリジナルに近いという事も考えられます。

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写真5) 同上 部分


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写真6) 同上 部分


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写真7) 同上 部分


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写真8) 同上 部分


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写真9) 同上 部分

アトリエの中の小道具も興味を引きます。こうした小物には何かしら
の寓意が込められています。
地球儀やリュート、バイオリン、石膏像にランプ、写真8)には日本の
番傘まで見えます。きっと博学の芸術家だったのでしょう。

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写真10) 同上  画家の顔のアップ

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写真11) 油彩 「自画像」 

中々興味を引く人物ですね。調べてみると面白そうです。

では、最後にマイセン磁器の裏のマークをお見せします。



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写真12) 剣マークと画家名  マイセン磁器

オリジナルの油彩を描いた画家の名がカリグラフィーで記されて
います。飾文字ももちろん手描きです。しかし、これを絵付けした
職人の名は残っていません。マイセンは絵付け職人が、自作に
サインをする事を許していませんでした。

マイセンの名画シリーズは、KPMを代表とする陶板画にも通ずる
ものですが、後の陶板画が非常にコマーシャル的であるのに対し、
マイセンの名画シリーズは最高のものを作ろうという職人の意思が
伝わってきます。これは、金彩の装飾にも顕著なものであり、個人
的には、凡百の陶板画よりはるかに価値の高いものと考えています。

是非、当店に実物をご覧になって下さい。




アンティーク西洋陶磁器専門店 
               アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
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dresdner220 at 15:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0) マイセン作品紹介 | 作品紹介
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