2016年09月

2016年09月30日

マイセン 「ワトー絵 人物絵」  

今回はマイセンの人物絵を紹介します。

マイセン絵付けにおける人物は、とても技術を要する
格の高い絵付けです。大きな分類では西洋装飾に属
するもので、狩猟や野外宴などのモチーフの一部とし
て描かれる例が多く見られます。

狩猟は画家リーディンガーの絵画を、野外宴(フェイト・
ギャラント)はフランスの宮廷画家ワトーの絵画がその
源であるとされています。


花や果物の絵、鳥や動物の絵をマスターした熟練絵
付師にのみに許される仕事であり、従って価格も非常
に高くなります。

それでは、今回の作品をご覧ください。

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写真1) マイセン ボウル 「人物絵」 1870年頃 径14cm

19世紀半ばに作られた「人物絵」のボウルです。所謂「ワトー
様式の人物絵」ですが、野外宴会の貴族ではなく、農民や
羊飼いの子供が描かれています。

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写真2) マイセン 野外宴会の貴族 カタログより

写真2)はマイセンの装飾カタログから撮った貴族の絵付けです。
現代の絵付けと単純に比較はできませんが、同じ人物絵でも
背景や細部に大きな違いが見られます。

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写真3) 19世紀 マイセン  人物絵 アップ

現代の人物絵がグラフィックであるのに対し、まるで油彩画を磁器
に写そうとするような絵付師の力が感じられます。

この絵付けは僅か直径8cmの面積に描かれたものですが、これだ
け拡大しても鑑賞に耐えるのは驚嘆に値します。

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写真4) 同上 サイズ

マイセンではこうしたモチーフの絵付けは「ワトー様式」と称していま
すが、実際にはブーシェの絵付けに範を採ったものが多いと考えて
います。

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写真5) ブーシェの油彩  部分

ブーシェは村人や羊飼いを作品のモチーフに多く取り上げており、
19世紀の新ロココ様式の流行に乗り、マイセンでもブーシェを元
にした高品質の作品が作られました。


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写真6) ブーシェの銅版画

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写真7) ブーシェの銅版画

マイセンの絵付けは、油彩作品をそのまま写すのではなく、ブーシェ
やワトーの銅版画をアレンジして絵付け装飾にしました。
このアレンジこそが絵付師のセンスの見せ所で、マイセンの様式を
逸脱しなければ、相当の自由が与えられていたようです。背景や
持ち物は言うに及ばず、構図やシチュエーションまでペインターは
器型やサイズに合わせて、自由な決定権を持っていました。

それでは、本作のディテールをアップに致しますので、どうぞご鑑賞
ください。

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写真8) マイセン 人物絵のクローズアップ

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写真9) 同上

こうした高品質の絵付けが、現在のマイセンでは中々見られない
のは残念です。19世紀と違って、効率や経済性を第一に考慮しな
ければならない現代の経営状況では、やはり難しいことなのでしょ
うか。

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写真10) 同作品のマーク

最後に作品のマークをご覧にいれます。所謂「ボタン剣」と呼ばれる
19世紀に使われたマイセンマークです。

是非、当店にて手にとってご覧ください。



アンティーク西洋陶磁器専門店 
アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
     TEL-03-5717-3108
 ホームページはこちらです  
http://archiv.jp/







dresdner220 at 15:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0) マイセン作品紹介 | 作品紹介

2016年09月14日

「ハーベスト・フェア」 秋の店内催事 アンティーク アーカイヴ

 2016  アンティークアーカイヴ ハーベストフェア ご案内

   2016915日(木)~ 22日(木)11:0019:00 

      於 二子玉川 アンティーク アーカイヴ 


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写真1) ハーベスト・フェア 出品作品 


収穫の秋にちなんで、アンティークアーカイヴも「ハーベスト・フェア」を開催致します。通常は展示していないユーゲントシュティール作品なども含め、新着作品などを

展示販売いたします。骨董祭やデパート催事とは一味違う品揃えで、皆様のご来店をお待ちしております。

 

二子玉川はもともと川原の肥沃な土地で、秋の果物が多く収穫されていましたが、近年の開発でそうした果樹園はほとんど失われてしまいました。しかし数軒の果樹園は操業中であり、樹上で完熟した葡萄を手に入れる事ができます。収穫日の一日で完売してしまうような限られた葡萄ですが、アンティークアーカイヴでは「ハーベスト・フェア」において、ご来店のお客様をこの葡萄でおもてなししようと思っています。

ちなみに、ドイツのマイセン市も良質な葡萄を産する北限の土地であり、エルベ川周辺にはあちこちにブドウ畑が広がっています。

 

期間中、ご都合のよい時に是非ご来店下さい。期間中のお休みはございません。


アンティーク西洋陶磁器専門店 
アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
     TEL-03-5717-3108
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dresdner220 at 23:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0) イベント 催事 | 作品紹介

2016年09月04日

マイセン市の風景   ルドルフ・ヘンチェルの銅版画

先日、三井記念美術館で行われていた「アール・ヌーボーの装飾
磁器展」が終了しました。多くのお客様にご来場頂き、また高い評価
を下さり、企画段階から関わった一人として、厚く御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
これから、長崎、京都と巡回しますが、一人でも多くの陶磁器ファン
にご覧いただきたいと思います。どうぞ、よろしくお願い致します。



さて、今回のブログですが、マイセンの芸術家ルドルフ・ヘンチェルの
銅版画を紹介します。

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写真1) 「アルブレヒツブルグ城」 ルドルフ・ヘンチェル 1910年頃

ルドルフ・ヘンチェルはマイセンのユーゲント期を芸術的にリードした
人物で、後年はフリーの芸術家として多くの油彩や銅版画を製作
しています。彼はマイセン市やその周辺の風景を心から愛し、作品の
多くのモチーフにこれらの風景を選んでいます。


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写真2) ルドルフ・ヘンチェル  1869~1951年

最近のマイセンでも、限定でルドルフ・ヘンチェルの風景作品を復刻
製作しています。マイセン磁器の歴史を語る上でも、決して忘れる事
のできない芸術家ですね。


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写真3)ルドルフ・ヘンチェル 銅版画 部分

では、果たしてこの銅版画は何処の場所から描かれたものでしょう。
実は、この作品については、友人である「冷やかし客」氏が自身のブ
ログで取り上げられており、大体の場所は把握しておりました。
しかし、ヘンチェルが見た風景をさらに正確に特定し、実際に自分の
目で見てみたいと思いました。

この一番のヒントは、お城の尖塔の重なり具合です。アルブレヒツ
ブルグ城内のカトリック教会は、1908年に2本の尖塔が作られてい
ます。ヘンチェルの銅版画では、この尖塔が微妙に重なり合って描か
れています。


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写真4)  同上 部分

お城の前景には、木陰で集う人々が描かれていますが、丘の公園
のようにも見えます。
また、お城の向きから、マイセン旧市街から南側の高台からの風景
であることは間違いありません。


先日、NHKの「世界ふれあい街歩き」という番組で、マイセン市が
紹介されていましたが、ご覧になりましたか?散歩者目線で丁寧
に映像が作られており、大好きな番組です。
こんな雰囲気で、以下のブログを見て頂ければうれしいです。



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写真5) マイセン ノイマルクト  

という訳で、マイセン旧市街の新しいスーパーマーケットから紹介
しましょう。マイセン市には新市街にスーパーがありますが、観光地
からは離れていて、旅行者には不便でした。新しくできた近代的な
スーパーは、旧市街の中心地から近くとても便利です。東独時代に
は考えられない事ですね。
スーパーとともに「アルト・シュタット」駅が新設され、ドレスデンから
列車で直接マイセンの観光地に来られるようになりました。磁器工
場も充分に歩いていける範囲です。



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写真6) マイセン旧市街の鉄道踏み切り

そのスーパーマーケットの左横の坂道をちょっと登ると、鉄道の
踏み切りにでます。踏み切りを渡ると、そこからさらに急な坂道に
なります。今では、この丘を上っていく立派な舗装道路もできまし
たが、ここは旧道です。


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写真7) 丘の上 カペレンシュトラッセ


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写真8) 同上 高級住宅

坂道を登りきって丘の上に出ると、ここは高級住宅街です。とても
静かな環境で、美しい場所です。


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写真9) 同上  バラの生垣


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写真10) バラとお城

バラの生垣越しにお城が見えたので、写真に撮りました。お城の
尖塔にご注目下さい。ヘンチェルの銅版画の尖塔と近づいていま
す。この写真ではほとんど真横に重なっていますが、もう少し動く
とヘンチェルの見た角度と一致します。


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写真11) 銅版画と実際の写真

いかがでしょう。尖塔の角度がほとんど一致して、ここがヘンチェ
ルの見た場所と言っていいのではないでしょうか。

それにしてもヘンチェルの表現の正確さには驚かされます。また、
100年前の風景がきちんと残っている事にも感動です。


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写真12) 墓地の入り口

写真9)にも写っていますが、道はここで行き止まりになっており、
その先は墓地でした。撮影は遠慮しましたが、きれいな花がたく
さん咲いており、お参りの家族もいらっしゃいました。心の中で手
を合わせました。墓地の付近には小さな公園のような場所もあり、
写真4)のような風景もありました。


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写真13) マイセン市上空より

写真13)の赤色の△印が、特定された場所です。緑△印がお城
です。黄色△印が踏み切りです。この近くの白く見える大きな敷
地が、スーパーマーケットと「アルトシュタット」駅です。

この赤色△印地点がヘンチェルの見た場所と特定しましたが、
墓地はちょっと意外でした。ルドルフの弟であり、共にマイセン窯
で働いていたコンラッド・ヘンチェルは、1908年に35歳の若さで亡
くなっています。ただ、この墓地との関連性は分かりませんでした。


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写真14) 銅版画のサイン

最後にルドルフ・ヘンチェルのサインをお見せします。
ヘンチェルの銅版画は、「アールヌーボーの装飾磁器」展でも展示
しましたが、多くの方がこのコーナーが良かったと言ってくださいま
した。

当アーカイヴショップ内においても、ヘンチェルの直筆スケッチや
銅版画をご覧いただけます。マイセンの町がお好きな方、どうぞ
ご来店下さい。




アンティーク西洋陶磁器専門店 
               アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
                 TEL-03-5717-3108
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dresdner220 at 17:41|PermalinkComments(1)TrackBack(0) マイセンの芸術家 | マイセン訪独
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