2017年02月

2017年02月28日

マイセン グランツゴールド装飾とXフォルム

今回のブログでは、お客様のS様よりご質問頂いた、マイセンの
グランツゴールド装飾とXフォルムについてお話いたします。

グランツゴールドは、光沢のある金彩の装飾をさす言葉です。
ご存知のように、通常の金彩は焼成後の磨きをかけて光沢を出す
作業が必要です。焼成後の金彩は光沢のない褐色で、これを瑪瑙
ペンなどで研磨する事によって輝きます。
しかし、グランツゴールドはこの作業を必要とせず、焼成後すぐに
独特の光沢があります。従って、大幅に手数を省略できるという
大きなメリットがありました。

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写真1) グランツゴールド装飾 XフォルムのC&S  1990年頃

このグランツゴールドという技法は、1827年にハインリヒ・キューン
によって開発されましたが、これを磁器芸術としてに生かすべく、新し
い装飾や器型が考案されました。また19世紀半ばの歴史主義様式
の流行はもこれを後押ししました。結果考案されたフォルムのうち、
もっとも有名なのが、写真1)のXフォルムです。


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写真2) 同上 クローズアップ

写真2)をご覧になるとお分かりかと思いますが、特徴ある光沢金と
マット状の金が上手く組み合わされて、派手やかな装飾を作ってい
ます。地色の黄色も美しく発色しています。


Xフォルムには段階的なバリエーションがありますが、今回はこれを
カタログより紹介致します。

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写真3)装飾番号 995098

写真3)はグランツゴールドで装飾を線描きした、最もシンプルな
Xフォルムです。

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写真4)装飾番号015098

写真4)は散らし小花の絵付けを加えたものです。


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写真5)装飾番号015099

写真5)が、一番グレードの高いアイテムです。

東独時代のカタログからC&Sも紹介しておきましょう。

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写真6)装飾番号 995098


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写真7)装飾番号 015099


因みにさらにシンプルなXフォルムもラインアップされています。

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写真8)装飾番号995098


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写真9)装飾番号015098

写真8)と3)は同じ装飾番号が付けられていますが、フォルム番号
で区別されます。

因みに、基本となる地色は 赤、黄、濃緑、黄緑、水色、濃紺の6色
になります。また、グランツゴールドの器型には、Bフォルムというシェ
イプもありますが、また機会を見て紹介いたしましょう。


西洋陶磁器専門店
 アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
     TEL-03-5717-3108
 ホームページはこちらです  
http://archiv.jp/




dresdner220 at 15:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0) マイセン作品紹介 | 作品紹介

2017年02月25日

フローラダニカ ティー カップ&ソーサー  ロイヤル・コペンハーゲン

久しぶりのブログになってしまい、誠に申し訳ありません。
今回は、有名なフローラダニカのティーC&Sについて、お話
します。


ロイヤル・コペンハーゲンのフローラダニカについて、このブログ
の読者でしたら、説明の必要はないでしょう。また、食器ファンなら、
いつかフローラダニカでお茶をという憧れを抱いている方も多いの
ではないでしょうか。

実際、デパートなどで売られている食器の中で、フローラダニカは
最高峰に属するものでしょう。デパートのインショップでは、コーヒ
ーC&S1客で20万円、ティーC&Sで30万円を越える価格が付け
られています。コペンは国際価格なので、ネット通販などでも大き
く価格は変わらないようです。


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写真1) フローラダニカ ティーC&S 1995年頃

ご存知のように、ロイヤル・コペンハーゲン社はその生産拠点を
東南アジアの工場に移しており、製品のほとんどがタイ製やスリ
ランカ製です。しかし、フローラダニカに限っては本国デンマークで
作られています。

とは言え、フローラダニカは受注生産という事で、一部の店頭以外
ではほとんど見かけなくなってしまいました。中でも少ないのがティ
ーカップ&ソーサーで、アンティーク市場を探している方も多くいら
っしゃいます。


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写真2) 同上

アンティークの市場でもダニカのティーは本当に出てきませんが、
これには訳があります。

オリジナルのフローラダニカが「エカテリーナ女帝に贈るために
云々」というストーリーは、他にもたくさん書かれているので、ここで
は省きますが、19世紀初当に完成したオリジナルにティーC&Sは
存在しませんでした。オリジナルにあるのはコーヒーC&Sのセット
のみであり、以降コペン社でもティーセットは作られませんでした。

20世紀には、市場からティーセットの必要性も求められるのですが、
ロ社はこれに応えることはありませんでした。ロ社がティーセットを作
ることを決心するのは、もっと後、1990年近くになってからでした。

1990年は、ロ社がフローラダニカを製作開始して200年の節目の年
であり、またデンマーク女王の満50才の年でした。これを記念して
「フローラダニカ食器とデンマーク王室」という展覧会が、コペンハー
ゲン、クリスチャンボー城で開催されました。これに際し作られた図録
も、オリジナルのフローラダニカをフルリストした素晴らしいものでした。

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写真3)「フローラダニカ食器とデンマーク王室」 パンフレット


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写真4) 同上 1990年


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写真5) 同展覧会  図録

そして、この展覧会に合わせて、長らく懸案であったフローラダニカ
の「ティーサービス」が作られる事になったのです。ところが、オリジ
ナルにないアイテムを新しく作るには大きな問題がありました。フロ
ーラダニカはデンマーク王室の国宝的な存在であり、デンマークの
王室食器室の管理下にあるものです。王室と関係が深いロ社とは
いえ、いち民間会社が王室の許可なしに新しいアイテムをシリーズ
に勝手に加える事は許されませんでした。ロ社は、オリジナルのイ
メージを壊す事のない自然な器型を試行錯誤しながら、デンマーク
王室に許しを得て完成に至りました。こうして、フローラダニカに「ティ
ーサービス」が加わる事になりました。



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写真6) フローラダニカ ティーカップ マーク 

従って、フローラダニカのティーC&Sは、1990年以前には存在しま
せん。コーヒーカップ&ソーサーはずっと以前から作られているの
で、アンティーク市場でもある程度の数はでてきますが、ティーC&
Sが極端に少ないのはこうした理由によります。


フローラダニカは植物図鑑を写しているので、裏面に絵付けされて
いる植物の学名が書かれています。このカリグラフィー(飾り文字)の
もちろん手描きです。本作の例では「Astragalus arenarius L」とあり
ます。レンゲの一種で「スナレンゲ」(?)という植物のようです。器で
ありながら植物名が分かるのは、フローラダニカが伝統をきちんと
守っているからです。


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写真7) スナレンゲの花


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写真8) 植物図鑑(フローラダニカ図鑑ではない)より


最後に本作の作られた年代を示しておきます。
写真6)のROYALの文字にご注目下さい。RとYの上に短い横棒が
付けられていますが、これが年代印であり、本作は1992年から
1999年の間に製作されたものと分かります。

フローラダニカがデンマーク本国で、伝統や様式に従いこれから
も変わらず作られ続けていくことを願っています。



西洋陶磁器専門店
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dresdner220 at 16:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ロイヤルコペンハーゲン | 作品紹介
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