2017年03月

2017年03月29日

マイセン フィギュア 「手紙を巡るもめ事」           「貴族の痴話喧嘩」 

今回は、マイセンのフィギュアを紹介します。

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写真1) マイセン フィギュア 「手紙を巡るもめ事」 1890年頃

マイセンのフィギュアではよく取り上げられる貴族の生活をテーマに
したフィギュアです。貴族のカップルがちょっとしたもめ事で、喧嘩
をしている様子を捉えたものです。

製作は1890年頃、サイズは約14.5cm、マイセンとしては中級の
フィギュアといえます。


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写真2) 同上 クローズアップ

女性は左手に手紙を持ち、男性に見られないようスカートの後ろに
隠しています。飾り台の上には花瓶が倒れています。

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写真3) 同上 全体像

男性が女性に詰め寄っている様子が、お分かりいただけるでしょうか?

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写真4) 同上   男性の表情 

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写真5) 同上  女性の表情

髪の毛が一本一本描かれ、表情もリアルです。19世紀のフィギュア
は釉薬が薄く、非常に精密に作られており、この時代にフィギュアの
品質は、マイセンの歴史の中でも最高のものであると評価されてい
ます。


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写真6)  同上 クローズアップ

倒れた花瓶の飾り台の下には、花束が落ちています。細かい表現
ですね。繊細な箇所なので多少のカケがありますが、120年以上も
前の製作なので、いたしかたないところでしょう。


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写真7) 同上   全体像 

マイセンのフィギュアは、色々な角度から見て鑑賞できるように作ら
れています。


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写真8) 同上  後姿 全体像

後ろ姿まで手抜きはありません。


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写真9) 同上  マークと刻印

モデルナンバーは O 159 、69は絵付師の番号です。
マイセンの剣マークは、所謂「ボタン剣」です。


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写真10) マイセン製品カタログ  1904年頃

マイセンのオリジナル製品カタログにも掲載があります。
1904年頃のオリジナルカタログなので、まだ王立マイセン磁器製作所
の表記になっています。


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写真11) 同上  アップ

作者はアウグスト・リングラー、オリジナル原型の制作年代も1889~
90年頃となっています。
カタログの写真と現品を比較する事によって、修復の有無なども判断
でき、マイセンのディーラーには必携にカタログです。


マイセンのフィギュアは奥が深いですね。




西洋陶磁器専門店
 アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
     TEL-03-5717-3108
 ホームページはこちらです  
http://archiv.jp/




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2017年03月22日

赤と金で描かれた華麗なる鳥  マイセン           ハインツ・ヴェルナーの初期装飾

今回は、マイセンの芸術家ハインツ・ヴェルナーの初期の装飾を
紹介しましょう。

正式な名称は、
「 Prachtvogel in Rot und Gold  」
日本語では 「赤と金で描かれた華麗なる鳥」 などと訳されます。


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写真1) 赤と金で描かれた華麗なる鳥  ボウル 1971年頃

この装飾が作られたのは1971年頃、ハインツ・ヴェルナーは既に
「アラビアンナイト」や「サマーナイト」を考案していましたが、この装
飾はこれらにも通ずるものです。


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写真2) 同上 別モチーフ

ヴェルナーはもともと、鳥を描くのを得意としていました。彼の画力が
初めて認められたのも、鳥の絵付けでした。この装飾は、ヴェルナー
の鳥の絵の一つの到達点とも言えるもので、この様式の鳥の絵は、
アラビアンナイトやサマーナイトの装飾にも応用されています。



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写真3) 同上 クローズアップ


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写真4) 同上 別モチーフ クローズアップ

上のアップの写真でお分かりかと思いますが、筆を自由に操りなが
らファンタジックな鳥が形作られています。筆のストロークの強弱を
上手く使って描く方法を、ヴェルナーは「筆の遊び」の中から見出した
と言います。



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写真5) 同  装飾番号

「赤と金で描かれた華麗なる鳥」の装飾番号は旧番号で1350b,新番
号で680110になります。1970年当時には、大量に発生した2級品
(アウトレット)の磁器に用いられる装飾でしたが、後に焼成の品質が
安定してからは、1級品にも描かれました。



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写真6)  マイセン側の資料

この装飾は、マイセンの資料にも紹介されています。器型はルードヴ
ィッヒ・ツェプナーの考案した「格子のレリーフ Gitterrelief 」というシ
ェイプです。珍しい装飾ですが、これにはさらに珍しいバリエーション
があります。


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写真7) 「緑と金で描かれた華麗なる鳥」  1970年頃

マイセンの資料や書籍にも全く触れられていない装飾です。


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写真8) 同 クローズアップ

描法は同じですが、金の鳥とは全く印象が違うと思います。金彩は
とても傷つきやすいので、緑色の方が実用的とは言えるでしょう。
当時、マイセンは新装飾について、色々な試行錯誤をしていた事が
伺えます。本作もそうしたテストのような作品であり、一度は市場に
出た事は間違いありませんが、数は極少なかったと思われます。



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写真9) 同 装飾番号

緑のバージョンの装飾番号は 旧品番で 1350c です。旧品番に
おける最後のアルファベットはマイナーチェンジやバリエーションを
示しています。現在では製品化されていないので、新品番は存在
しないと思われます。



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写真10) 2016年の限定性産作品  カタログより

2016年、高島屋 マイセン展において、この装飾が限定復刻され
ました。1970年当時のヴェルナーの筆致を完璧に再現した素晴ら
しい作品です。しかも、「コレクティブ・サービス」という1960年代に
作られた古い器型を、きちんと採用しています。これは賞賛に値し
ます。コレクターや愛好家にとっては涙ものですね。

2016年の限定製作品には新たにプラチナ色が加わり、こちらの
装飾番号は680290になります。


ハインツ・ヴェルナーの初期作品がこうした形で紹介されるの事に、
惜しみない賛辞を送りたいと思います。



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2017年03月14日

マイセン付属素描学校 東独時代の記録帳

今回のブログは、本当に貴重な資料を紹介します。


マイセン磁器製作所付属素描学校の生徒の古い記録帳です。
この学校はマイセン工場の敷地内にあり、マイセンの絵付師や
職人を養成する目的で設けられました。「Zeichenschule」 は
養成学校とも訳されますが、これまで素描学校で通っているので、
今回はこれを採用しました。


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写真1) マイセン付属素描学校の様子 東独時代

今回紹介するのは、この学校の生徒が残した学習の記録です。
マイセンの職人がどんな教育を受けてきたのか、非常に興味が
あります。今回はその一部を紹介しますが、これはあくまで東独
時代のものであるという事をご理解ください。


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2) マイセン素描学校 記録帳  

写真2)がノートの表紙です。付箋の部分には生徒の名前があるの
ですが、公開にあたってプライベートな事項は伏せる事にします。



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写真3) ノートの見出し

ノートは1959年から4年間に記録されたもので、計4冊になります。
今回紹介するのは、その一冊目の最初の部分です。マイセンで学
校の生徒たちがどんな教育を最初に受けるのかを見ていきます。

先ず、名前と生年月日、出生地が記されています。この生徒は19
40年の8月、マイセン市の生まれです。教育の目的は、磁器芸術の
習得とあります。入学は1959年、4年間の教育を受け、1963年の8月
末日に終業予定です。

下段には養成所に住所が書かれています。マイセン国立磁器工場
内の素描学校とありますが、VEBというのは、人民公社という意味
です。これは東独時代のマイセンの正式な名称です。

このノートは、恐らく東独時代の共通の報告書記録書であったよう
で、マイセン工場のためだけのノートではないようです。寄宿舎の
住所などもありますが、これもマイセン工場内です。

最後にはノートのNo.1である事、1959年に9月1日から記録を始め、
1960年の8月31日までつけていたことを示しています。

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写真4) 2ページ

一日ごとの作業報告が書かれています。
一番下には、実習に対する先生の評価がなされています。
赤字で2+という評価ですね。


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写真5) 提出された素描



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写真6)3ページ 学習の内容と感想

この生徒は、先ず、鉛筆画とペン画で植物の日向と陰の描写を
学んだようです。マイセン素描学校の生徒は、デッサンの試験を
通って入学しますから、さすがに端正な描写です。


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写真7) 次の課題である花の絵 彩色と鉛筆画

次の課題は鉛筆と彩色された花の素描です。慣れたタッチに見えます。

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写真8) 木の葉の絵 水彩

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写真9) 同上

写真8)9)は提出された課題作です。水彩で木の葉を描いています。
もちろん、これらにも学習の過程や学んだ事をレポートの形式で、詳
細に書き綴っています。
尚、写真9)の濃茶色の木の葉は本物で、この生徒が本物の木の葉
を傍に置きながら、デッサンの習得に励んでいた事が伺われます。


今回は以上ですが、さらに高度な修練が延々と4年間続きます。
マイセンの絵付師は、こうした修行の連続ということがよく分かります。

マイセンの絵付けには、こうした高度な教育の裏づけがあるのです。



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