2017年05月

2017年05月24日

マイセン フィギュア 「マフを持つ婦人」  1870年頃

今回のブログでは、マイセンのフィギュア 「マフを持つ婦人」を
紹介しましょう。

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写真1)マイセン フィギュア「マフを持つ婦人」 1870年頃

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写真2) 同上 正面 全体像

マイセンのフィギュアの中では、比較的ポピュラーは作品と思い
ます。アンティーク市場でもよく見かけますし、現在でもよく作られ
る人気作品です。

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写真3) 同上

「マフ」とは女性が持っている、毛皮や羽根で作られた防寒具で、17
~18世紀にヨーロッパで大流行しました。両端に穴が開いており、
両手を入れて暖を取りました。しかし、「マフ」は19世紀になると流行
おくれになり、ファッションとして急速に衰退していきました。


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写真4) 同上

本作のオリジナルは1771年に、アシエ(シェーンハイトの協力による)
によってデザインされたモデルです。宮廷や貴族の生活をモチーフに
した作品ですが、マイセンのフィギュアはその時々のファッションや流
行をよく表しています。もちろん、このアシエの作品も、その例外では
ありません。


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写真5) 同上 クローズアップ

髪の毛を束ねて頭巾をかぶり、頭を極端に大きく見せるのもこの
当時のファッションです。この婦人は右手をマフから出して手紙を
読んでいます。電話もメールもない時代、手紙はコミュニケーション
の手段として、今では想像できないほどの重要性を持っていました。


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写真6) 同上 手紙のアップ

この手紙の内容がどんなものであったか知るすべもありませんが、
マイセンのフィギュアでは、ちゃんと手紙に文字が書かれています。
女性の表情からその内容に色々と思いを馳せてみるのも、マイセン
フィギュアの楽しみ方と思います。


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写真7) マーク

マークはボタン剣、モデルナンバーはD66です。現在使われている
新品番では73338になります。


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写真8) モデルを記録した銅版画 (文献冊子より)

写真8)はマルコリーニ時代のマイセン社の記録ですが、細部
まで非常に忠実に作られているのがよく分かります。
19世紀のフィギュアには繊細なレースなども用いられており、
この時代のフィギュアはマイセンの長い歴史の中でも、最高の
品質と評されています。


本作は5月26日(金)~28日(日)のアンティークフェアin新宿に出品
致しますので、ご興味のある方は、どうぞ会場にてご覧ください。
催事の詳細は以下でご確認ください。

http://www.antique-stage.com/



西洋陶磁器専門店
 
アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
     TEL-03-5717-3108
 ホームページはこちらです  
http://archiv.jp/





dresdner220 at 15:07|PermalinkComments(1)TrackBack(0) マイセン作品紹介 | 作品紹介

2017年05月22日

ルドルフ・ヘンチェルの銅版画

マイセン市風景の古い銅版画やユーゲント時代の芸術家の銅版
画が大好きなので、少しずつですがコレクションしています。
特にマイセンの絵付け師でもあった芸術家 ルドルフ・ヘンチェル
の作品は特に気に入っています。

ドイツの古本屋さんがこうした作品を扱っていて、いつも良品を
紹介してくれていたのですが、高齢を理由に店を閉じてしまいま
した。ルドルフ・ヘンチェルの銅版画は結構珍しいので、今後どう
しようかと案じています。

マイセンの土地ををこよなく愛したルドルフ・ヘンチェルの銅版画
作品はこのブログでも何回か紹介しましたが、この古本屋さんか
ら入手した最後になるかもしれない作品をお目にかけます。


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写真1) マイセンの風景 銅版画 1920年頃


日本でも緑が美しい季節ですが、モノクロームながら緑を感じさせ
る銅版画と思います。個人的には、構図や近景遠景の描写方法に、
広重や北斎の浮世絵の影響を感じるのですが、皆様はいかがで
しょう?


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写真2) 同上 部分 アルブレヒツブルグ城


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写真3) 同上 部分 エルベ川


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写真4) 同上 部分 大樹


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写真5) 作品題名 マイセン市の眺望


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写真6) サイン  ルドルフ・ヘンチェル


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写真7) 同アングルからの現在の風景


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写真8) マイセン市  航空写真

今回も、ヘンチェルが描いた風景が、どこからの眺望であるかを推定
しました。大きなヒントはお城の向きと川の流れのアングルです。
現在は銅版画にはない新しい橋が架かっていますが、この橋の北側
の河岸段丘の上からの風景と推定しました。

赤▲がヘンチェルの見た場所、青▲がお城です。

美しい風景です。



西洋陶磁器専門店
 
アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
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dresdner220 at 14:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0) マイセンの芸術家 | マイセン訪独

2017年05月14日

マイセンの花絵付け      様式的な花 古典画法の花 最上級の花 

このブログは、絵付けをなさっている方が、本当にたくさん見て
下さっているようです。先日もホビーペインターの方から、通常の
花絵と古典画法の花絵の違いが、先生に聞いてもよく分からない
とのご質問を頂きました。
今回は本ブログで、より具体的に見ていきたいと思います。

今回は以下の3種類に花を取り上げます。

*様式的な花束の絵        装飾番号 110110 大型ベース
*花と果物の絵 古典画法   装飾番号 210113 28cmプレート
*FFブーケ 最上級の花絵  装飾番号 204032 25cmプレート



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写真1) ブーケ花束の絵 様式的な花

写真1)は所謂「マイセンフラワー」とか「様式的な花絵」と呼ばれる
マイセンでは最も一般的な花絵です。本作が大型ベースの絵付け
ですが、6種類以上の花が描かれたブーケの絵付けです。
明るい色調で生き生きと描かれていますが、この花束の構図でその
まま自然界に存在するものではなく、マイセンの長い歴史の中で作
られてきた磁器装飾ための構図です。マイセンの作品の中でも私
たちが最もふれる機会の多い絵付けでしょう。


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写真2)花と果物の絵 古典画法

写真1)と比べると、はっきりと違いがお分かり頂けると思います。
渋い色調は、絵の具を混ぜ合わせる事によって作られます。18世紀
当時の銅版画を手本としているので、様式的な花よりグラフィックな
線描で花や果物が表現されています。様式的な花の軽やかなタッチ
と異なり、写実的な描写とは離れて細密に描きこんでいます。



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写真3)FFブーケ 最上級の花絵

写真3)も古典画法の花絵ですが、写真2)の描法をさらに推し進め
た究極の古典画法といえるものです。線描の細さ精密さは、磁器絵
付けにおいては、これ以上不可能とも思える出来です。マイセンの
数ある花絵付けの中でも、「印象主義様式の花絵」と共に最上級の
位地にあるため、この名称で呼ばれます。


いかがでしょうか。
本ブログでは絵付け技術的な解説は省きますが、一般の様式的な
花絵と古典画法の花絵の違いがお分かり頂けると思います。

熱心なホームペインターのために、以下バラの花だけをクローズ
アップしてご覧にいれます。3種の描法の違いをより具体的に感じて
頂けるのではないでしょうか。


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写真4)様式的な花 バラのクローズアップ



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写真5)古典画法の花 バラのクローズアップ



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写真6) 最上級の花 バラのクローズアップ

写真4)から順に手の込んだ描法であるのが明らかです。西洋の一
般的な価値観では、手がかかればかかるほど価値が上がっていく
ので、古典画法の花絵はとても高価になります。古典画法は様式的
な花絵の2~3倍の手数を要すといわれ、価格もそれに比例してい
ます。ましてや最上級の花絵の価格は驚くほど高いものです。(因み
に、現在、コーヒーC&Sで、1客100万円近くします)

一見、同じような花絵でも、実はこうした大きな違いがあるのです。




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dresdner220 at 17:53|PermalinkComments(1)TrackBack(0) マイセン花絵付けについての考察 | 花とマイセン
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