2017年06月

2017年06月30日

マイセン 飾り皿 「羊飼いの少女たち」 1880年頃         オープンワーク 透かし彫りの装飾

今回は、19世紀後半に作られたマイセンの飾り皿を紹介します。

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写真1) マイセン 飾り皿 「羊飼いの少女たち」 1880年頃

マイセンの絵付けでは、とても格の高い人物像です。モチーフ
には羊飼いの少女が描かれています。原画は、18世紀ロココ時
代の宮廷画家 フランソワ・ブーシェの銅版画によるものと推測
されます。ただ、マイセンでは、この種の人物絵付けを全般的に
「ワトー様式」と称しています。


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写真2) 絵付けのクローズアップ

19世紀後半におけるマイセンの絵付けは、技術的に極まっており、
油絵のように濃くのある絵も、水彩画のように淡い絵も、磁器の上
に自由に描く事ができました。

本作の絵付けは、とても柔らかなタッチで描かれているのが特徴
です。意識的に省略した爽やかなタッチは、この時代ならではの
もので、これ以前の絵付けはもっと濃くのあるタッチでした。


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写真3) 絵付けの比較画像

写真3)右の絵付けは同種の人物画ですが、その描き方に大きな
差があるのがお分かり頂けると思います。もちろん、どちらが良い
悪いではなく、同じマイセンの絵付けでもこれだけの違いがあると
いう事です。


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写真4) オープンワーク(透かし彫り)の装飾

本作の見所は絵付けだけではありません。周囲に施された透かし
彫りは本当に繊細で、これがやきものであることに驚きます。
この透かし彫りは、専門の職人が粘土の状態で小刀で切っていく
ものです。特に外周の穴はミリ単位にサイズであり、焼成中にたく
さんの不良品も出たことでしょう。四方にあるロココ装飾の切り取り
パターンも、4箇所全て少しずつ異なっているのにもご注目ください。

網目の上に付けられた忘れな草の花も、型でつくられ、職人が一つ
一つ貼り付けていったものです。


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写真5) 裏面のマークと金彩

本作は最高級品の証として、裏面にも金彩が描かれています。
これは「レースの金彩」と呼ばれ、マイセンの金彩の中でも最高の
ものの一つです。見えないところにまできちんと手をかけているの
はさすがです。

マークはボタン剣、制作年代は1880年頃と推測しています。
どうぞ、実際に手にとってご覧ください。



西洋陶磁器専門店
 
アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
     TEL-03-5717-3108
 ホームページはこちらです  
http://archiv.jp/



dresdner220 at 18:14|PermalinkComments(0) マイセン作品紹介 | 作品紹介

2017年06月27日

KPMベルリン  ジャポニズムのプレート  蒔絵写し 

今回は、100年以上前に作られたKPMベルリンのプレート
を紹介します。

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写真1)KPMベルリン ジャポニズム プレート 1900年頃

万博の時代には、日本の美術や工芸品がヨーロッパに紹介され、
陶磁器においてもこれに影響された作品がたくさん作られました。
こうした日本趣味の事を「ジャポニズム」と称し、日本でもユーゲン
トシュティールと同様に広く紹介されるようになりました。


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写真2)日本の蒔絵の例  部分

特に、この時代に最高レベルの技術を持っていたKPMベルリン窯
では、日本の蒔絵を磁器に写そうとした作品が見られます。これら
は、マイセンやセーブルにも見られない完成度を誇るもので、この
時代のKPMベルリンの特徴と言えるものです。

KPMベルリンおける蒔絵写しの例は、以前にも紹介した事がありま
す。(2014年4月17日の記事) 
こうした一連の作品は、アンティークの市場で最も高価なアイテム
の一つで、数も少なく、現在ではほとんど見られなくなってしまいました。


以下、本作のディテールをご鑑賞下さい。

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写真3) 作品のクローズアップ

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写真4) 作品のクローズアップ

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写真5) 同上

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写真6) 同上

いかがでしょう。
レイズゴールド(盛金)、プラチナ彩、深緑の顔料を使いながら、
団栗と柏の葉を表現しています。地色はコバルトブルーですが、
アップで見るとまるで蒔絵のように見えませんか。


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写真7) 同上

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写真8) 同上

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写真9) 同上

写真7)8)9)はプレートの周囲に配された花ですが、これも
日本を感じさせるモチーフです。
この時代のKPMベルリンの技術力、創造性は、正に世界最高の
水準にあった事は間違いありません。


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写真10) KPMベルリンのマーク

作品裏面のマークです。プルーの杓杖のマーク、朱赤の宝珠の
マークは二つあるのが、KPMベルリンで作られた証です。

是非、手にとってご覧ください。




アンティーク西洋陶磁器専門店 
               アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
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2017年06月20日

KPMベルリン 絵付け師のスケッチ

先日、妻がデザートにパイナップルを買ってきました。

以前、コレクションしたKPMベルリン絵付師のスケッチに、パイ
ナップルのモチーフがあったのを思い出し、探し出しました。
デザートにする前に写真に撮っておいたので、このスケッチと
一緒にご覧に入れます。


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写真1) KPMベルリンの絵付け師のよるスケッチ 

1975年に描かれた習作で、パイナップルがリアルに表現されて
います。この時代はKPMベルリンでも、手描きの作品がたくさん
つくられていました。果物や花の描写は磁器絵付けの基本であり、
こうしたスケッチはたくさん描かれていたと思います。しかし、こう
した二次資料は、あまり表に出て来ることはなく、その多くが廃棄
されてしまっている現実があります。


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写真2) スケッチ クローズアップ

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写真3) 実物

デザートのパイナップルを同じ角度から写真に撮りました。当時
のKPMベルリンペインターの力量が伺えると思います。



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写真4) スケッチ クローズアップ


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写真5) 実物

二つに切って、同じ角度に並べてみました。このスケッチは
1975年に描かれたものですが、当時ベルリンでは、こうした
南国の果物は大変高価な贅沢品でした。KPMベルリン磁器
工場は西ベルリンにありましたが、東ドイツでは統一するまで
バナナやパインは憧れだったと言います。


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写真6) サインと日付

この水彩の作者はノルベルト・ユーデ(Norbert Jude)。
日付は1975年4月29日と読めます。


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写真7) 絵付け師のデータリストより 2行目

磁器芸術家・絵付け師のリストによると、20世紀のKPMベルリン窯
の絵付け師とあります。現在のKPMベルリンでは、手描きの果物の
作品などはほとんど作られておらず、アンティークの素晴らしい絵付
け作品を見るに付け、残念な思いでいっぱいです。



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