2017年08月

2017年08月25日

マイセン フィギュア 「パリの辻商人 パン売り」  

今回のブログは、マイセンのフィギュアを取り上げます。

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写真1) マイセン フィギュア「パン売り」 1983年頃

マイセンのフィギュアシリーズで「パリの辻商人」とか「パリの
売り声」という一連の作品をご存知と思います。所謂辻商人、
路上の物売りは、庶民を表した磁器作品として、宮廷の間で
人気を博しました。現在でも、18世紀当時の風俗習慣をよく
伝えており、需要の多いシリーズの一つです。


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写真2) 同上 クローズアップ

本作はシリーズの中の「パン売り」ですね。籠にいっぱいのパン
を積んで、パリの街中を売り歩く様子がよく描かれています。


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写真3) 同上

左手には木製のトングを持っています。買い手の声がかかると、
これでパンを挟んでお客様に渡したのでしょうね。

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写真4) 同上

右手は、重そうな籠を抱えています。一生懸命パンを売る気持ち
までが、こちらに伝わってくるようです。

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写真5) 同上

そして、美味しそうに焼かれた籠いっぱいのパン。とてもリアルな
仕上がりになっているのに驚かされます。焼きたてのパンの香ば
しい臭いまで感じさせます。


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写真6) 同上

パン売りの真面目そうな表情、清潔感のある白い服など、一見シン
プルな作品ですが、見所は多いと思います。マイセン磁器のクオリ
ティーを改めて認識させられました。


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写真7) マイセン フィギュアの公式カタログより

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写真8) 作品 全体像

マイセンのカタログによると、本作のオリジナルはライニッケよって
1747年にデザインされたものとなっています。しかし、専門家の
研究ではケンドラー(エーベルラインの協力)の作となっています。


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写真9) 作品のソースとなった銅版画

本作の源はEdme Bouchardonの銅版画です。実は辻商人のシリ
ーズは一つでなく、幾つかの種類があります。本作はその一番早い
シリーズで、「パリの辻商人 バロック風」と呼ばれています。この後、
「パリの辻商人 ロココ風」というシリーズが製作され、この後「ロンド
ンの辻商人」「ロシアの辻商人」と続きます。これは、辻商人のシリ
ーズがいかに人気を博していたかの証拠でしょう。

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写真10) 作品 後面

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写真11) 作品 横面

ここで紹介した作品は、1983年頃の製作です。時代や流行に捉
われず、伝統や様式をきちんと受け継いだ作品を製作していく事
は、商業的に見て大変に難しい事と思います。しかし、マイセン
がこの姿勢を変えないことこそ、マイセン磁器の価値であると考え
ています。

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写真12) 裏面のマーク

現在の品番は73100、旧品番は877です。成型師番号208の次に
ある年代印から1983年の製作と判断しました。ペインター番号は
赤字で30になります。


西洋陶磁器専門店
 
アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
     TEL-03-5717-3108
 ホームページはこちらです  
http://archiv.jp/






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2017年08月21日

マイセン プレート 「南国の港の風景」 1860年頃

今回は、19世紀マイセンの風景画を見てみましょう。

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写真1)マイセン プレート「南国の港の風景」 1860年頃

マイセンの絵付けにおける風景画は、18世紀の「港湾風景」が
有名です。19世紀になると、実在の風景を正確に描いた「ネー
ムド・ビュー」も作られるようになります。しかし、本作はそのどち
らでもない風景画です。恐らく飾り皿としてつくられたものでしょ
う。描かれているモチーフは、絵画か銅版画を参考に描かれた
と推測しています。

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写真2) 同上 クローズアップ

精緻な筆致で描かれている絵付けです。しかし、絵画をそのまま
写した「名画シリーズ」とは異なり、全面に絵付けされている訳で
はありません。恐らく、絵画か銅版画の一部を切り取ってモチー
フにしたものと考えていました。

ところが、何気なく画集を眺めていると、17世紀に描かれたフラ
ンドル絵画の中に、マイセンのモチーフとよく似た絵画を見つけ
ました。

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写真3)アブラハム・ストルク「南国の港の風景」 1670年頃

写真3)の絵画は、アムステルダムの画家アブラハム・ストルク
によって描かれたものです。彼はオランダの軍艦や海浜風景を
得意としており、当初は国威を発揚するような描いていましたが、
17世紀の後半に入ると地中海沿岸の明るい港をテーマが加えら
れました。こうしたモチーフは空想の風景であり、またある種の
娯楽性もあったのです。


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写真4) マイセン プレート クローズアップ

19世紀の歴史主義時代には、過去のこうしたモチーフもマイセン
のテーマになりました。ロココやバロックなどの懐古的なテーマは、
マイセンの重要な主題になっており、商業的にも成功していたの
です。17世紀のオランダ絵画も、大きな需要があったのでしょう。

左手の大きな階段を降りると、噴水のある広場に出ます。正面に
は巨大なゴシック式の宮殿があります。宮殿の左には桟橋があり、
海の上には帆船が停泊しているのが見えます。
決して大きな絵付けではありませんが、とてもよく描き込まれて
います。


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写真5) 透かし彫りと金彩の装飾 

プレートの見所は、絵付けだけではありません。透かし彫りや金彩
も全て職人の手作業になるもので、その完成度の高さは他には驚
かされます。


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写真6) 同  マイセン剣マーク

マークは所謂「ボタン剣」です。絵付けや類例から1860年頃に作
られた作品と推定しています。

是非、当店にて手にとってご覧ください。



西洋陶磁器専門店
 
アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
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