2018年05月

2018年05月30日

マイセン カップ&ソーサー 「ヒルガオ 昼顔 ピンク」    グロッサーアウシュニット

5月も末、紫陽花が咲き始め、今日は今にも雨が降り出し
そうなお天気です。生垣にピルガオの花を見つけたので、
写真を撮ってきました。

今回はマイセンの「ヒルガオの花」のC&Sとプレートを紹介
しましょう。

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写真1)マイセン「ヒルガオの花 ピンク」 2000年頃

この装飾は「自然主義様式の花」のカテゴリーに属する絵付け
です。明るいタッチで写実的に描かれており、生態的にも正確
ですが、植物図鑑のようなグラフィックな表現ではありません。

実際のヒルガオの写真をご覧ください。


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写真2) ヒルガオの花

ヒルガオはアサガオと違って、昼になっても萎まないことから
この名があるそうです。どこにでも普通に見られる花なので、
きっとご覧になったことがあると思います。


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写真3) 装飾のクローズアップ



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写真4) 本作裏側の絵付け

裏側の蕾の絵付けも洒落ています。


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写真5) 同 ケーキ皿の絵付け

つる性の植物の特徴をよく捉えて、うまく装飾としての構図を
作っています。細かいタッチの、繊細な描写の花絵付けですね。

本装飾は自然主義様式の花絵を最初に提唱したブラウンズ
ドルフ教授に因み、「ブラウンズドルフの花絵付け」とも呼ばれ
ましたが、これは正確ではありません。

マイセンでの正確な名称は、「自然主義様式の花絵 バラ色の
ヒルガオのモチーフ 多色絵付け 金彩」となります。
装飾番号は252610です。

実は本作には「白のヒルガオ」のものもあり、こちらの方が早く
発表されたので、「白のヒルガオ」をご覧になった方のほうが多
いかもしれません。こちらの装飾番号は252510です。いずれ
機会をみて紹介致します。



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写真6) 同 C&S と ケーキ皿

文句なく美しい装飾なので、個人的に大好きな作品です。
非常に手のかかる絵付けなので、最近ではマイセンでも注文を
受けないというような話も聞いたことがありますが、是非長く作り
続けて頂きたい作品ですね。



アンティーク西洋陶磁器専門店 
        アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
            TEL-03-5717-3108
      ホームページはこちらです  
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dresdner220 at 17:24|PermalinkComments(0) マイセン作品紹介 | 自然主義様式の花絵

2018年05月19日

セーブル 大型ベース  アートグレーズ 芸術釉の装飾

今回のブログは、セーブルの「アートグレーズ」の大型ベースを
紹介します。


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セーブル ベース「アートグレーズの装飾」H約35cm 1882年

19世紀の後半は、万国博覧会の時代でした。磁器は当時の
最先端技術で作られる工芸品でしたが、ヨーロッパの各窯が
驚いたのは、遠く東洋から展示された陶磁器でした。これらは
それまでのヨーロッパの磁器芸術にはない概念の作品でした。

ヨーロッパの磁器窯では、精密な絵付けや文様が磁器装飾
の最高峰であったのに対し、日本をはじめとする東洋の陶磁
器は、炎の中の釉薬が偶然に作り出す装飾に美を見出して
いたのです。こうした技法は「窯変」と呼ばれ、東洋では広く
親しまれていました。

このような東洋の美的価値観にいち早く反応した窯が、フランス
のセーブルです。セーブルは自身でもこうした装飾を作るべく、
研究を始めます。その結果完成されたのが、「オクセンブルート
=牛血紅」「カラックルグレーズ=貫入釉」「クリスタルグレーズ
=結晶釉」などの釉薬で、これらを総称して「芸術釉=アートグ
レーズ」と呼んでいます。



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写真2) 同上 クローズアップ

写真2)をご覧ください。セーブルがどのような技術を駆使して
この装飾を完成したのか、もはやよく分かりませんが、少なく
とも2種類の釉薬を使って、まるで大理石のような文様を作って
います。マイセンでは、筆を使って大理石のように描く技法が
知られていますが、セーブルのこの装飾は筆では絶対に描け
ない、正に炎の作り出した芸術です。


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写真3) 同上

セーブルらしいのは、この首の正確で均整のとれた美しさです。
東洋の陶磁器にありがちな形状の甘さ(これがまた東洋の魅力
なのですが・・)は皆無です。


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写真4) 同上

底部と首には金彩が施されていますが、これもセーブルらしい
です。東洋の感覚では、こうした窯変の器に金彩は使わないで
しょう。セーブルの金彩はつやかあり、まるで金属のような質感
を感じます。ボディーの釉薬は底の金彩を鏡のように映していま
す。


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写真5) 同上

そして、セーブルの一番すごいところは、この「アートグレーズ」を
磁器で作ってしまう事なのです。東洋の窯変は、そのほとんどが
焼成温度の低い陶器での製作であり、磁器の製品はあまりありま
せんでした。しかし、セーブルはこの問題を巧みに克服し、様々な
芸術釉を完成します。こうした技術を持つ窯は、当時のヨーロッパ
では、セーブルの他に、マイセン、コペンハーゲン、KPMベルリン
など極限られた窯だけでした。



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写真6) 同上 マーク

マークから、本作は白磁の製作年が1881年、アートグレーズの
装飾を施し最終的に作品として仕上がったのが、1882年と分か
ります。セーブルでは、アールヌーボー時代の初め、歴史主義や
ジャポニズムなどの様式が混在していた時代です。この後、1900
年頃を中心に、セーブルのアールヌーボー芸術が花咲くのはもう
少し後のことです。


是非、当店にて実物をご覧ください。




アンティーク西洋陶磁器専門店 
        アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
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dresdner220 at 18:07|PermalinkComments(0) セーブル | 作品紹介

2018年05月15日

マイセン プレート  自然主義様式の花絵付け           ナスタチウムとアスター

今回は、自然主義様式の花絵のプレートが新入荷しましたので、
これを紹介しようと思います。

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写真1) マイセン プレート「自然主義様式の花」 1890年頃

まるで水彩画のように柔らかく描かれた「自然主義様式の花絵」
です。19世紀末は、マイセンの花絵付け師ブラウンズドルフ教授
が、マイセン付属素描学校ので教えていた時代で、彼の絵付け
技術や様式を製品に強く反映させていました。

マイセンの愛好家や研究家の間では、最も素晴らしい花絵付け
の時代と評されている期間で、出来のいい作品はアンティーク
市場でも大変に高価で取引されています。


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写真2) 同上 クローズアップ

白い紙の上に、摘んできた花をポンと置いて描いたような自然な
表現が「自然主義様式の花」です。現在でもマイセン花絵付けの重要
なカテゴリーであり、とても格式の高い絵付けです。

本作はナスタチウム(キンレンカ)とアスター(エゾギク)がモチーフに
なっています。


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写真3) ナスタチウムの絵付け

ナスタチウム-1










写真4) ナスタチウムの花と葉

写真3)4)でお分かりの通り、植物学的にも正確な表現で
描かれています。花芯や丸い葉の形状など、柔らかいタッチ
でありながら、絵付け師はきちんとこれを捉えています。


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写真5) アスターの絵付け


アスター-1








写真6) アスターの花

アスターの花絵付けは、本作のハイライトでしょう。微妙な彩色で影
をつけながら、見事な立体感を描いています。こうした表現が植物
の生命を感じさせるのでしょう。
自然主義様式の花絵は、筆数を極力抑えて、最小限のタッチしか
使っていません。この時代ならではの、最高の表現と考えています。


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写真7) 同作品  窓絵の表現

紺の地色にカールトゥーシェ(ロココ風の渦巻き文様)の窓、中心に
自然主義様式の花絵をあしらった表現を「アムステルダム様式」と
呼びますが、これはマイセンの花絵の中でも最高の花(FFブルーメ)
というカテゴリーに入ります。
現在でも作られており、とても高価な値段がつけられていますが、
こと花絵に関しては、19世紀後半の作品には遠く及びません。



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写真8) 同作品 裏面の剣マーク

最後にマークをお目にかけます。マークや絵付けから、19世紀末に
作られた作品に間違いないと推察しています。

どうぞ、当店にて実際にご覧ください。


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dresdner220 at 17:29|PermalinkComments(0) 自然主義様式の花絵 | 花とマイセン
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