2018年07月

2018年07月29日

暑中お見舞い申し上げます    マイセン フィギュア 「波」 パテ・シュール・パテ

暑中お見舞い申し上げます。

東京では台風一過の晴天で、入道雲がもくもくと湧いた夏らしい
お天気です。酷暑、猛暑といわれていますが、体調管理が大変
ですね。

さて、今回は涼しげなフィギュアを紹介しましょう。

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写真1)マイセン フィギュア 「波」 1898年頃

マイセンのユーゲントシュティール初期のフィギュアです。作者
はコンラッド・ヘンチェルです。マイセン、ユーゲントシュティール
研究の第一人者であるヨハネス・ユーストは、パウル・ヘルミッヒ
の作であるとしていますが、近年の研究ではコンラッド・ヘンチェ
ルの作であると確定されているようです。

青い水に白い波、ここに「水の精」が表現されていますが、本作
はアンダーグレーズ(釉下彩)の技法で作られています。波の白
い部分はパテ・シュール・パテのテクニックですね。


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写真2) 同上 波の部分のクローズアップ

青い地色の上に波の白さが繊細に描かれていますが、この部分
がパテ・シュール・パテです。よく観察すると、ブルーの海の色が
白い泡の下に透けて、非常にリアルです。波頭が崩れかかって
いる表現などは、当時ヨーロッパで人気のあった北斎の「神奈川
沖浪裏」を彷彿させませんか。もちろん、コンラッド・ヘンチェルが
北斎を見ていたかどうかは分かりませんが、日本の浮世絵の視点
をとても上手く消化していると思います。


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写真3) 同上 人物のクローズアップ

波の中の少女は、水の精=フェアリーであるとされます。あるいは
人魚=マーメイドであるという人もいます。コンラッド・ヘンチェルと
いえば子供のフィギュアのシリーズで有名ですが、本作はこれを
作る前の作品です。ヘンチェルとしては初期の作品ですが、本作に
おける人物は、どこか子供のシリーズと共通している部分があると
思います。 指の表現も見事です。


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写真4) マイセン 1914年の公式カタログより

マイセンの1914年の公式カタログにも掲載されています。モデル
ナンバーはQ169です。ユーゲントシュティール時代のフィギュア
には、同じ作品の幾つかのバージョンが存在し、本モデルにもより
デコラティブに蓮の花が描かれたものなどがあります。この時代は、
芸術家が試行錯誤しながら実験的に作品を作っていました。当然
のように、これらの作品は多くの利益を生まず、ユーゲントシュティ
ールの衰退とともに忘れられていきます。


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写真5) 同作品 裏面のマーク

最後にマークをお見せします。ボタン剣のマークの下には、モデル
ナンバーが刻印されています。その下の4は成型師に番号です。


少し涼しい感じになりましたでしょうか。
どうぞ、健康に留意し、元気で猛暑を乗り切って下さい。



アンティーク西洋陶磁器専門店 
        アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
            TEL-03-5717-3108
      ホームページはこちらです  
http://archiv.jp/




dresdner220 at 17:09|PermalinkComments(0) ユーゲントシュティール | マイセン作品紹介

2018年07月19日

マイセン付属素描学校 インド(東洋)文様   生徒の描いたスケッチ


今回のブログでは、マイセン付属素描学校の生徒が描いたスケ
ッチを紹介します。

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写真1)マイセン付属素描学校 生徒のスケッチ

マイセンの絵付けは、大きく分けて以下の4つのカテゴリーから
構成されています。

*西洋文様    (花絵 鳥 果物 ワトー絵 狩猟絵 等)
*インド文様   (インドの花 ドラゴン 柿右衛門 等)
*現代文様    (アラビアンナイト 真夏の夜の夢 新しい花 等)
*釉下文様 (ブルーオニオン ブルーオーキッド 葡萄の葉 等)

マイセン付属素描学校では、生徒に様々なスケッチを描かせ、
その人に合った素養を見極めていきます。このスケッチは、絵付け
カテゴリーの中でも、インド文様の基礎といわれるパターンです。



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写真2)インドの絵付け 

写真2)はマイセンの公式カタログに掲載されているパターンです。
インド文様では比較的シンプルなパターンですが、インド文様を
描く際の基礎的なテクニックが全て盛り込まれています。
ペンによる滑らかな線描はその最も大切な技術であり、これを
習得せずにインド文様は描けません。

よく見ると、写真1)のスケッチは309310のパターンとは微妙に
異なりますが、伸びやかな線描をよく学んでいます。


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写真3)マイセン付属素描学校 生徒のスケッチ

写真3)はより複雑なインド文様です。実際のマイセン装飾には
存在しないパターンですが、学生は色々なスケッチを試みるよう
です。青と茶色の色使いや花と枝の構図が興味をひきます。


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写真4)インド文様 岩と花と鳥の絵付け

写真3)をイメージさせる文様をカタログの中から探してみました。
写真4)の色使いや文様の構成には共通点があるのではないで
しょうか。インド文様ではかなり格の高い絵付けで、パターンナン
バーは396110です。19世紀にはかなり人気のあった文様らしく、
アンティークではよく見かけます。


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写真5) 同上 スケッチ

396110の装飾には鳥が描かれていますが、本スケッチにも鳥
の描かれているものがありました。西洋絵付けの鳥とは全く異なる
表現で、グラフィカルに描かれているのが特徴です。よく見ると
日本の墨絵を彷彿とさせる表現で、この画学生の力量の高さを
物語るものです。実際の画学生のついての情報はありませんが、
13歳~18歳頃に描いたと推測しています。
マイセン付属素描学校での訓練は、いわば修行であり、マイセン
絵付けの最も重要な根幹と言えます。




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dresdner220 at 16:28|PermalinkComments(0) マイセン 東洋文様 インド文様 | マイセン 柿右衛門
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