2019年06月

2019年06月23日

アウガルテン ウィーン 「ビーダーマイヤー」を愛でる

今回はアウガルテン ウィーンの「ビーダーマイヤー」を
紹介しましょう。

もう数年前のことになります。あるお客様の新築祝いに
呼ばれ、紅茶とケーキを頂きました。この時の食器が、
ジョージジェンセンの銀器とアウガルテンの「ビーダー
マイヤー」でした。この組み合わせがとても美しく、お庭
のお花も含めて、忘れられないひと時になりました。

この時以来、「ビーダーマイヤー」は特にお気に入りの
サービスです。


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写真1)アウガルテンウィーン 「ビーダーマイヤー」

アウガルテンウィーンの「ビーダーマイヤー」は、淡い
ブルーのラインに散らし小花をあしらった清楚な装飾
です。非常に人気のあるサービスで、アウガルテンを
代表する装飾といってよいでしょう。



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写真2) 同 シュガーポット

「ビーダーマイヤー」という名称は、もともとは美術様式を
表す用語です。
ナポレオン戦争が終結し、ウィーン体制が敷かれた1814
年頃、オーストリアを中心に流行した様式です。市民階級
が身近な日常を生活様式に取り入れると共に、貴族階級
も豪華で贅沢な生活を反省し、つつましやかなものに目を
向るという文化でした。

アウガルテンのこの装飾も、豪華な花柄やエキゾチックな
東洋柄とは対極の、慎ましやかな散らし小花の絵付けです。
ブルーのボーダーもごく淡い藤色で、彩色を主張しすぎる
事はありません。



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写真3) 同 クリーマ

この装飾を創作したのは、モリッツ・ミヒャエル・ダフィン
ガーという有名な画家です。ダフィンガーの父は王立ウ
ィーン窯の絵付師でした。ダフィンガーもまた11歳で工
房に見習いとして採用され、1809年までウィーン窯で働
いています。



20_Schilling_Moritz_Daffinger_obverse





写真4)オーストリア20シリング札 ダフィンガーの肖像

この後、肖像画家として独立し、多くの絵画作品を残す
と共に、象牙に描かれた細密画ミニアチュールの作家とし
ても有名でした。ダフィンガーは、後のオーストリア20シリ
ング札の肖像にも採用されています。彼がオーストリアで
いかに親しまれているかを示す良い例だと思います。


Francis-1










写真5) オーストリア皇帝フランツⅡ世

このダフィンガーが、オーストリア皇帝フランツⅡ世
(1804~35年在位)のために作ったのが、「ビーダー
マイヤー」の装飾です。清楚な中にも品格や威厳を
感じさせる装飾なのは、こうした背景があるのでしょう。


Augarten_porzellan-manufaktur







写真7)現在のアウガルテン窯

一つとても気になるのが、ダフィンガーの父です。彼は
ウィーン窯の絵付け師として働いていたとされています。
ウィーン窯は王立でしたので、資料は比較的しっかり
残っており、ヨーロッパでは研究もすすんでいます。手元
にある専門書に、当時の絵付け師のリストが掲載されて
います。その中にダフィンガーの名前を探すと、ありました。
ヨハン・ダフィンガー、1760~1787年まで絵付け師として
働いており、ペインター番号(持ち回り)は「16」です。他に
ダフィンガーの名前は見当たらないので、この人物がモリ
ッツ・ミヒャエル・ダフィンガーの父と見てよさそうです。

王立ウィーン窯は1864年に閉鎖されますが、1924年に
アウガルテン宮殿の中に窯を移し再興されます。これが
現在のアウガルテンウィーンです。現在でも極僅しか生産
されておらず、総従業員は30人、そのうちの10人ほどが
絵付け師だそうです。


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写真8)「ビーダーマイヤー」 C&Sとプレート

写真にあげた作品は、ティーセットの一部です。「ビーダ
ーマイヤー」の装飾番号は6000、本作の型番は001です。
この001という器型は愛称として「シューベルトシェイプ」
とも称されることもあります。


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写真9) 裏面の盾のマーク

現在のアウガルテンウィーンのマークです。ウィーン窯
伝統の盾のマークに王冠が加わり、下にアウガルテン
ヴィエンナの文字があります。

因みに、アウガルテンの白磁は本当に平らで滑らかです。
ホビーペンターの話では、平面性に優れているので、絵
の具が伸びやかに乗り、最高に描きやすい白磁と聞いて
います。

是非一度、手にとってご覧ください。



アンティーク西洋陶磁器専門店 
   アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
         TEL-03-5717-3108
   ホームページはこちらです  
http://archiv.jp/







dresdner220 at 18:29|PermalinkComments(0) アウガルテン ウィーン | 作品紹介

2019年06月18日

ロイヤルコペンハーゲン フィギュア「牛」  クヌ・クイーン

今回は、ロイヤルコペンハーゲンのフィギュア「牛」とその
作者クヌ・クイーンを紹介しましょう。

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写真1) R.コペンハーゲン  「牛」 1970年頃

ロイヤルコペンハーゲン窯のフィギュアといえば、白い
磁器に釉下彩で描かれた淡い彩色の動物などを思い
浮かべるかもしれません。しかし、20世紀のコペンの
製品は本当に多種多様で、こうした炻器(せっき)や
陶器のフィギュアも作っていました。

炻器は陶器と磁器の中間に位置するやきもので、固く
焼きしまった硬質なやきものである点は磁器と同じです。
これに釉薬をかけて、独特の彩色で動物像を作ったの
がクヌ・クイーンという芸術家です。



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写真2)アトリエのクヌ・クイーン 1935年頃

クヌ・クイーンは1880年生まれの芸術家、コペンでは頑
固一徹な異色の芸術家と言われています。コペンには
多くのフィギュア芸術家が働いていましたが、彼の誇張
された表現は、他の芸術家と違って動物を自然に描写
するのではなく、独自の視点で捉えたものでした。

1903年からコペンで働き始め、出入りを繰り返しながら
4期に渡り、1967年まで在籍しています。この間にはビン
グ&グレンダールでも仕事し、絵画や彫刻なども手がけ
るなど、正に北欧を代表する芸術家といってよいでしょう。


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写真3) 同作品 裏面のマークとサイン



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写真4) KKの印 マークブックより


作品裏面には、KKのイニシャルが刻まれています。版上
の刻印ではなく、作品に直接刻まれています。2595は製
品番号です。オリジナルの作品が作られた年は、1925年
です。幅35cm高22cmの大作で、アンティーク市場でも珍
しい作品です。因みに本作は、マークのGの下の時代マー
クがありますので、1970年代の制作です。もちろん、今の
東南アジア製でなく、デンマーク製です。

是非店頭にて実際にご覧ください。迫力あります。




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   アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
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