2017年03月22日
赤と金で描かれた華麗なる鳥 マイセン ハインツ・ヴェルナーの初期装飾
今回は、マイセンの芸術家ハインツ・ヴェルナーの初期の装飾を
紹介しましょう。
正式な名称は、
「 Prachtvogel in Rot und Gold 」
日本語では 「赤と金で描かれた華麗なる鳥」 などと訳されます。
写真1) 赤と金で描かれた華麗なる鳥 ボウル 1971年頃
この装飾が作られたのは1971年頃、ハインツ・ヴェルナーは既に
「アラビアンナイト」や「サマーナイト」を考案していましたが、この装
飾はこれらにも通ずるものです。
写真2) 同上 別モチーフ
ヴェルナーはもともと、鳥を描くのを得意としていました。彼の画力が
初めて認められたのも、鳥の絵付けでした。この装飾は、ヴェルナー
の鳥の絵の一つの到達点とも言えるもので、この様式の鳥の絵は、
アラビアンナイトやサマーナイトの装飾にも応用されています。
写真3) 同上 クローズアップ
写真4) 同上 別モチーフ クローズアップ
上のアップの写真でお分かりかと思いますが、筆を自由に操りなが
らファンタジックな鳥が形作られています。筆のストロークの強弱を
上手く使って描く方法を、ヴェルナーは「筆の遊び」の中から見出した
と言います。
写真5) 同 装飾番号
「赤と金で描かれた華麗なる鳥」の装飾番号は旧番号で1350b,新番
号で680110になります。1970年当時には、大量に発生した2級品
(アウトレット)の磁器に用いられる装飾でしたが、後に焼成の品質が
安定してからは、1級品にも描かれました。
写真6) マイセン側の資料
この装飾は、マイセンの資料にも紹介されています。器型はルードヴ
ィッヒ・ツェプナーの考案した「格子のレリーフ Gitterrelief 」というシ
ェイプです。珍しい装飾ですが、これにはさらに珍しいバリエーション
があります。
写真7) 「緑と金で描かれた華麗なる鳥」 1970年頃
マイセンの資料や書籍にも全く触れられていない装飾です。
写真8) 同 クローズアップ
描法は同じですが、金の鳥とは全く印象が違うと思います。金彩は
とても傷つきやすいので、緑色の方が実用的とは言えるでしょう。
当時、マイセンは新装飾について、色々な試行錯誤をしていた事が
伺えます。本作もそうしたテストのような作品であり、一度は市場に
出た事は間違いありませんが、数は極少なかったと思われます。
写真9) 同 装飾番号
緑のバージョンの装飾番号は 旧品番で 1350c です。旧品番に
おける最後のアルファベットはマイナーチェンジやバリエーションを
示しています。現在では製品化されていないので、新品番は存在
しないと思われます。
写真10) 2016年の限定性産作品 カタログより
2016年、高島屋 マイセン展において、この装飾が限定復刻され
ました。1970年当時のヴェルナーの筆致を完璧に再現した素晴ら
しい作品です。しかも、「コレクティブ・サービス」という1960年代に
作られた古い器型を、きちんと採用しています。これは賞賛に値し
ます。コレクターや愛好家にとっては涙ものですね。
2016年の限定製作品には新たにプラチナ色が加わり、こちらの
装飾番号は680290になります。
ハインツ・ヴェルナーの初期作品がこうした形で紹介されるの事に、
惜しみない賛辞を送りたいと思います。
西洋陶磁器専門店
アンティーク アーカイヴ 東京 二子玉川
TEL-03-5717-3108
ホームページはこちらです http://archiv.jp/
紹介しましょう。
正式な名称は、
「 Prachtvogel in Rot und Gold 」
日本語では 「赤と金で描かれた華麗なる鳥」 などと訳されます。
写真1) 赤と金で描かれた華麗なる鳥 ボウル 1971年頃
この装飾が作られたのは1971年頃、ハインツ・ヴェルナーは既に
「アラビアンナイト」や「サマーナイト」を考案していましたが、この装
飾はこれらにも通ずるものです。
写真2) 同上 別モチーフ
ヴェルナーはもともと、鳥を描くのを得意としていました。彼の画力が
初めて認められたのも、鳥の絵付けでした。この装飾は、ヴェルナー
の鳥の絵の一つの到達点とも言えるもので、この様式の鳥の絵は、
アラビアンナイトやサマーナイトの装飾にも応用されています。
写真3) 同上 クローズアップ
写真4) 同上 別モチーフ クローズアップ
上のアップの写真でお分かりかと思いますが、筆を自由に操りなが
らファンタジックな鳥が形作られています。筆のストロークの強弱を
上手く使って描く方法を、ヴェルナーは「筆の遊び」の中から見出した
と言います。
写真5) 同 装飾番号
「赤と金で描かれた華麗なる鳥」の装飾番号は旧番号で1350b,新番
号で680110になります。1970年当時には、大量に発生した2級品
(アウトレット)の磁器に用いられる装飾でしたが、後に焼成の品質が
安定してからは、1級品にも描かれました。
写真6) マイセン側の資料
この装飾は、マイセンの資料にも紹介されています。器型はルードヴ
ィッヒ・ツェプナーの考案した「格子のレリーフ Gitterrelief 」というシ
ェイプです。珍しい装飾ですが、これにはさらに珍しいバリエーション
があります。
写真7) 「緑と金で描かれた華麗なる鳥」 1970年頃
マイセンの資料や書籍にも全く触れられていない装飾です。
写真8) 同 クローズアップ
描法は同じですが、金の鳥とは全く印象が違うと思います。金彩は
とても傷つきやすいので、緑色の方が実用的とは言えるでしょう。
当時、マイセンは新装飾について、色々な試行錯誤をしていた事が
伺えます。本作もそうしたテストのような作品であり、一度は市場に
出た事は間違いありませんが、数は極少なかったと思われます。
写真9) 同 装飾番号
緑のバージョンの装飾番号は 旧品番で 1350c です。旧品番に
おける最後のアルファベットはマイナーチェンジやバリエーションを
示しています。現在では製品化されていないので、新品番は存在
しないと思われます。
写真10) 2016年の限定性産作品 カタログより
2016年、高島屋 マイセン展において、この装飾が限定復刻され
ました。1970年当時のヴェルナーの筆致を完璧に再現した素晴ら
しい作品です。しかも、「コレクティブ・サービス」という1960年代に
作られた古い器型を、きちんと採用しています。これは賞賛に値し
ます。コレクターや愛好家にとっては涙ものですね。
2016年の限定製作品には新たにプラチナ色が加わり、こちらの
装飾番号は680290になります。
ハインツ・ヴェルナーの初期作品がこうした形で紹介されるの事に、
惜しみない賛辞を送りたいと思います。
西洋陶磁器専門店
アンティーク アーカイヴ 東京 二子玉川
TEL-03-5717-3108
ホームページはこちらです http://archiv.jp/