マイセン 東洋文様 インド文様

2018年07月19日

マイセン付属素描学校 インド(東洋)文様   生徒の描いたスケッチ


今回のブログでは、マイセン付属素描学校の生徒が描いたスケ
ッチを紹介します。

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写真1)マイセン付属素描学校 生徒のスケッチ

マイセンの絵付けは、大きく分けて以下の4つのカテゴリーから
構成されています。

*西洋文様    (花絵 鳥 果物 ワトー絵 狩猟絵 等)
*インド文様   (インドの花 ドラゴン 柿右衛門 等)
*現代文様    (アラビアンナイト 真夏の夜の夢 新しい花 等)
*釉下文様 (ブルーオニオン ブルーオーキッド 葡萄の葉 等)

マイセン付属素描学校では、生徒に様々なスケッチを描かせ、
その人に合った素養を見極めていきます。このスケッチは、絵付け
カテゴリーの中でも、インド文様の基礎といわれるパターンです。



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写真2)インドの絵付け 

写真2)はマイセンの公式カタログに掲載されているパターンです。
インド文様では比較的シンプルなパターンですが、インド文様を
描く際の基礎的なテクニックが全て盛り込まれています。
ペンによる滑らかな線描はその最も大切な技術であり、これを
習得せずにインド文様は描けません。

よく見ると、写真1)のスケッチは309310のパターンとは微妙に
異なりますが、伸びやかな線描をよく学んでいます。


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写真3)マイセン付属素描学校 生徒のスケッチ

写真3)はより複雑なインド文様です。実際のマイセン装飾には
存在しないパターンですが、学生は色々なスケッチを試みるよう
です。青と茶色の色使いや花と枝の構図が興味をひきます。


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写真4)インド文様 岩と花と鳥の絵付け

写真3)をイメージさせる文様をカタログの中から探してみました。
写真4)の色使いや文様の構成には共通点があるのではないで
しょうか。インド文様ではかなり格の高い絵付けで、パターンナン
バーは396110です。19世紀にはかなり人気のあった文様らしく、
アンティークではよく見かけます。


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写真5) 同上 スケッチ

396110の装飾には鳥が描かれていますが、本スケッチにも鳥
の描かれているものがありました。西洋絵付けの鳥とは全く異なる
表現で、グラフィカルに描かれているのが特徴です。よく見ると
日本の墨絵を彷彿とさせる表現で、この画学生の力量の高さを
物語るものです。実際の画学生のついての情報はありませんが、
13歳~18歳頃に描いたと推測しています。
マイセン付属素描学校での訓練は、いわば修行であり、マイセン
絵付けの最も重要な根幹と言えます。




アンティーク西洋陶磁器専門店 
        アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
            TEL-03-5717-3108
      ホームページはこちらです  
http://archiv.jp/







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2016年07月22日

マイセン 「伊万里写し」プレート  

今回のブログは、マイセンの「伊万里写し」を紹介します。

マイセンの装飾は、大きく三つに分かれます。一つめが花を
代表とする西洋文様、二つめが柿右衛門を代表とするインド
文様、そして三つめがアラビアンナイトを代表とする現代文様
です。

このうち「伊万里写し」は言うまでもなく「インド(=東洋)文様」
のカテゴリーの属するものです。今回紹介する「伊万里写し」
は、日本の伊万里文様を正確に写し取った作品で、マイセン
でも珍しい作品と言えるでしょう。

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写真1) マイセン プレート「伊万里写し」 1988年

上の写真だけを見れば、これがマイセン製と見分けられる人は、
まずいないのではないでしょうか。もちろん、一般の製品として
は、現在作られていません。実は、これは日本の企画ものとして
特別に作られたものです。

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写真2) 「瓷器之路」小冊子 1988年

この催しは、西武グループのセゾンによって企画されました。当
時1988年は、バブル景気の始まりの頃であり、デパートは競う
ように次々と新しいイベントを催行していました。セゾングループ
は中国博という催しの中で、「瓷器之路」という商品を売り出しま
した。

中国の景徳鎮、日本の伊万里、オランダのデルフト、ドイツのマイ
センの各窯で、「伊万里写し」を特注し、磁器の道をたどっていこう
という意欲的な企画でした。

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写真3) 小冊子より 中国 景徳鎮


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写真4) 小冊子より オランダ デルフト

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写真5) 小冊子より  日本 伊万里

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写真6) 小冊子より 東ドイツ マイセン

池袋の西武デパートでは、以上の四枚をセットにし化粧箱にいれ
て販売しましたが、当時、私の半年分の給料に近い価格がつけら
れていたと記憶しています。
デルフトも景徳鎮も、当時は非常に高級品でしたが、この中でも
マイセンは飛びぬけて高級品でした。おそらくマイセンの作品が
セット価格の相当な部分を占めていたのではないでしょうか。

現在手元にこのマイセン作品がある事は、何かの縁を感じさせて
なりません。

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写真7) マイセンの専門書より

因みに、この作品は、マイセン美術館の責任者であったハンス・
ゾーンターク博士に書籍にも掲載されています。


では、実際の作品の詳細を見てゆくことにしましょう。

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写真8) マイセン「伊万里写し」プレート クローズアップ

見事な筆致で鳳凰が描かれています。紺の部分は、染付けですね。


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写真9) 同上 中心部 クローズアップ

中心部には、花器に生けられた木枝と花が描かれています。染め
付けの上には金彩があしらわれていますが、もちろん全て手描き
です。

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写真10) 同上 クローズアップ 

鳳凰と同じ縁には牡丹の花が描かれています。


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写真11) 裏面のマーク

もちろん、裏面にはマイセンの双剣マークがあります。


1988年というと、もう28年も前になるのですね。当時のセゾン
グループは色々な文化振興を行っており、面白い企画がたくさ
んあった事を覚えています。こうした文化振興の事を「企業メセ
ナ」などと呼んでいました。
余裕のあった時代でした。



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2015年09月06日

マイセン 「青い鳥と金の竹」 東洋文様  マイセンの装飾

今回はマイセンのインド文様を紹介します。

マイセンで「インド」という場合、これは東インド会社に由来する
広く東洋を指す言葉で、日本や中国などに影響を受けた文様を
いいます。

しかし、ヘロルトが考案した「ヘロルトシノワズリー」や「港湾風景」
などは、インド文様ではなく、ヨーロッパ文様に分類されますので、
注意が必要です。

アンティーク市場では、マイセンのインド文様のことを「シノワズリ
ー」と云う事もあるようですが、これは間違いで、マイセンでは、
上述の「ヘロルトシノワズリー」以外に「シノワズリー」という言葉
は使いません。

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写真1)マイセン 「青い鳥と金の竹」 プレート 1970年頃

この装飾は、東独の首相であったオットー.グローテボールの
ためのサービスとして考案されたといわれます。
ドレスデン、ツヴィンガー宮殿の資料室に保管されていた膨大
な東洋磁器を参考に作られたマイセンの新作でした。
薄暗い資料室で、古い東洋磁器を必死にスケッチした絵付師
の中の一人は、若き日のハインツ・ヴェルナーその人でした。


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写真2) 同上   クローズアップ

1960年当事のマイセンは未だ保守的であり、新しい装飾は
中々認められませんでした。古い装飾をアレンジして、サー
ビスを完成される方が、より安全な方法だったのでしょう。裏
を返せば、それだけ、失敗が許されない国家的なオーダーで
あったという事なのでしょう。


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写真3) マイセン公式カタログより

この装飾はマイセンでも最上級の装飾として、カタログに掲載
されています。

インド文様(東洋文様)
古典様式の画法
青と酸化銅の彩色
削った金彩で描かれた竹
金と赤の装飾
金の縁取り

装飾番号 570110

この中で「古典様式の画法」という用語があります。
古典画法はマイセンの花絵などでも出てきますが、インド文様
の場合はどういう画法なのでしょうか。
以下、写真と共にこれついて説明します。

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写真4) 一般のインド文様の線描

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写真5) 本装飾の線描

写真4)はマイセンでも高級な文様ですが、線描に注目して
みてください。細く均一な線だと思います。これは、ペンで描か
れた線であり、とても端正な線描に仕上がっています。

これに対して、写真5)は筆で描かれています。18世紀のマイ
センでは絵付けにペンは用いられておらず、どんな細い線も筆
で描かれていました。これが19世紀半になると、ペンが使われる
ようになります。ペンでは、均一で安定した細い線描が可能だった
からです。これは、やはり量産化による絵付師の負担を減らすた
めの措置だったのでしょう。


「青い鳥と金の竹」の装飾は敢えてペンを使わず、18世紀と同
じように筆による線描を用いました。絵付師の手数は増え、安
定性は減りましたが、非常に味ある線描に仕上がっています。

これが、インド文様における古典画法です。


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写真6) 縁取りの絵付けと赤金の装飾

赤と金の装飾も非常に凝ったもので、もちろん、全て手描きです。

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写真7) 同 クローズアップ

この装飾の名称にある「削った金彩で描かれた竹」というのは、
金彩を磨き、さらに瑪瑙ペンで傷をつけ、陰影のついた竹を
描いているという意味です。

全体で、この文様がいかに格の高いものかを示しているのが
ご理解いただけたでしょうか。


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写真8) 本作の装飾番号

本作の装飾番号は1310b 絵付師番号は60です。
これは、6桁の新品番になる以前の旧品番で、現在は上述の
とおり、570110 になります。

マイセン最上級のインド文様なので、価格も非常に高く、アン
ティーク市場でも見かける事はまれです。




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