ヘレンド

2018年04月20日

ヘレンド デミタスC&S 「オサリバン」  シノワズリー 

今回は、ヘレンドのデミタスカップ&ソーサーを紹介します。

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写真1) ヘレンド デミタスC&S 「オサリバン」 1980年頃

ヘレンドの中では、所謂「シノワズリー」のカテゴリーに属する
作品です。装飾の名称は「オサリバン O'Sullivan」、ヘレンド
の略称はOsです。「オサリバン」はアイルランド系の人名でO’は
「誰々の孫」という系譜を示す接頭語です。何故この装飾に「オ
サリバン」の名称が付けられたのか不明ですが、恐らくこの装飾
をヘレンドに注文した顧客に関係があると思われます。



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写真2) 同上 カップのハンドル

ハンドルには中国の唐子がデザインされています。高台は透
かし彫りになっており、器型だけでもとても手がかかっているの
が分かります。


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写真3) 同上 ソーサー

青地に朱の亀甲文と中国故事を描いた絵付けが、この作品の
特徴です。「オサリバン」はヘレンドの最上位の装飾なので、細部
に至るまで全て手描きです。ヘレンドの普及品には一部銅版転写
の助けを借りた装飾もありますが、本作はカップの中に至るまで
フリーハンドで細かく手描きされています。



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写真4) ヘレンド 公式カタログより

人物はテーブルを囲み、王らしき人物が手を高く上げて席を立とう
としてします。それを押しとどめる黄色の服の人物や鳥籠を掲げる
人物、それらが景徳鎮の粉彩風に描かれています。



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写真5) ヘレンド展 図録より

こうしたヘレンドのシノワズリー絵付けは、好き嫌いがあり、まるで
稚拙な漫画のようだと揶揄されることもありますが、実はこうした
絵付けは伝統ある装飾様式なのです。写真5)は1860年に作られた
「オサリバン」ですが、伝統に従って現在でも忠実に再現されている
事に驚かされます。



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写真6) ヘレンド デミタスC&S 「オサリバン」 1980年頃

デミタスのサイズですので、カップの直径が6.7cmと小さいもの
ですが、装飾がぎゅっと凝縮されており、繊細な美しさを引き立
てています。

ヘレンドは、その成り立ちから、マイセン、セーブル、ウィーン
などの各様式を何でも作れる窯ですが、このシノワズリーシリー
ズは、他の窯にはないヘレンド独自のものであり、ヘレンド窯の
大きな特徴です。ヨーロッパの東に位地し、東洋の血統も引くハ
ンガリー民族独自のやきものという事なのでしょう。

最後にマークをお見せします。


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写真7) ソーサーのマーク

現在の代理店正価では30万円を越えるような高い価格が付けら
れているようです。

どうぞ、当店にて実際に手にとってご覧ください。



アンティーク西洋陶磁器専門店 
        アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
            TEL-03-5717-3108
      ホームページはこちらです  
http://archiv.jp/


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2018年03月26日

ヘレンドの大皿と桜文  ヘレンド展  汐留ミュージアム

今年はこの時期に、桜が満開です。
お天気もよいので、たくさんの花見客が名所に繰り出すの
でしょう。

桜で思い出すのが、当店に在庫しているヘレンドの大皿です。


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写真1) ヘレンド 大皿「タカーチ夫人のための大皿」 1990年


本作の正式名は「TMAの装飾絵皿」といいます。
作者はタカーチ・ゾルターン、1951年生まれの芸術家です。ヘレ
ンドは1985年に社内にアトリエを設け、磁器デザインを専門とする
芸術家を招聘します。タカーチ・ゾルターンもこの一人で、ヘレンド
にも多くの斬新な作品が誕生しました。


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写真2) 同上 クローズアップ


本作は1990年に作られた作品で、TMAはアグネシュ・マテヨブス
キ・タカーチ夫人を表しています。筆の描写だけでなく、スプレー
ガンや刷毛、ペンなども使って、小花、矢飾、蜂の巣、星、木の葉
などを描いています。

個人的な印象ですが、一目で日本風の桜文様を思い起こしました。
作者が意図しているのかどうかは不明ですが、亀甲文や七宝文な
ども散見され、非常に日本的だと感じます。着物の文様にもありそ
うな絵柄です。


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写真3) きものの桜柄

日本独自のこうした文様は、世界にはとてもモダンに見えるとい
います。作者のタカーチ・ゾルターンは、日本の文様を意識して
いたのでしょうか。
タカーチ・ゾルターンは2002年国際陶磁器フェスティバル美濃に
おいて銅賞を受賞しており、2016年には岐阜現代陶芸美術館に
も展示されるなど、日本にも馴染み深い芸術家です。


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写真4) 同作 ヘレンドマークとサイン

裏面にはヘレンドのマークと80388/TMA,タカーチ・ゾルターンの
サインがあります。もちろん、一般市販向けの作品ではなく、芸
術家のアトリエ作品という位置づけでしょう。
サイズは直径38cmという大きなものです。


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写真5)ヘレンド展 チケット 

先日終了してしまいましたが、ヘレンド展でもタカーチ・ゾルターン
の作品が展示されていました。とても見ごたえのある展覧会で、作品
一つ一つを堪能したきました。観覧のお客様もとても多かったです。
(但し、上述の作品はこの展覧会には展示されておりません。)



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写真6) ヘレンド展 図録

ヘレンドの磁器の中には、素地が純白でなく青みがかった白磁を
たまに見ます。もちろん、今デパートにおかれているような白磁は
純白ですが、アンティークの中にはたまに見かけます。
今回の展示作品の中にもそうした白磁があり、その制作年代に注目
しながら鑑賞してきました。こうした差異は実物を見ないと分からない
もので、こうした展覧会は本当にありがたいものです。

今後とも、西洋陶磁器の展覧会に期待したいものです。



アンティーク西洋陶磁器専門店 
        アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
            TEL-03-5717-3108
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