作品紹介

2019年04月25日

マイセン 人物の絵付け ワトー様式の絵 貴族の恋人達

今回は、マイセンのワトー様式と呼ばれる人物画を紹介し
ます。

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写真1)マイセン 大型ベース「貴族の恋人達」 1870年頃

人物画は、マイセンの絵付けでも非常に格の高いもので、
西洋装飾のカテゴリーの属します。西洋装飾のカテゴリー
の基本は花や果物ですが、その上位に鳥や動物、人物画
があります。人物画は高度な絵付け技術を要し、多くの時
間もかかる事から、当然のように高い価格になります。

今回紹介する人物画は、マイセンの長い歴史に中でも最高
のクォリティーと思っています。サイズ(絵付けのサイズは
21cm×15cm ベース全体のサイズは高さ41cm)も大きなも
ので、正に絵画と呼べるものだと考えます。



それでは、絵付けの全体をご覧ください。

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写真2)同作品  絵付け全体

人物はもちろん、背景に至るまで細かく描きこんでいます。
衣服のひだやスカートのドレープも立体的です。彩色も抑
え目で、マイセンにふさわしい品格を感じさせます。

そして最大の驚きは、絵付け全体のつややかさです。上絵
の具は釉薬と一体化し、絵の具のがさつきや色むらは全く
見られません。本当に筆で手描きしているのかと、目を凝ら
せて見てしまう程です。19世紀の絵付技術は本当にすごい
です。


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写真3)同作 人物のクローズアップ

アンティーク市場では世界的に陶板画が人気ですが、本
作は高品質の陶板画に匹敵すると言えるでしょう。いえ、
平面の磁器板に描かれる陶板画より、立体に器に絵付け
された作品として、本作の方が上かもしれません。本作の
裏面にも同品質の人物画が絵付けされていますが、これ
はまた別の機会に紹介したいと思います。


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写真4)ブーシェの銅版画

本作の例のように、マイセン人物画の代表が、「ワトー様式
の絵」と呼ばれる絵付けです。屋外の公園のような場所で、
貴族の男女が語らっているというような絵付けですね。背景
には樹木や建築物などが描かれている事が多く、楽器を演
奏しているような場面もよく見られます。

ワトーとは18世紀フランスの宮廷画家ですが、ロココ様式の
流行と共にマイセンでもこうした絵付けが取り入れられました。
実際にはワトーよりも、同時期に活躍した画家ブーシェの銅
版画を手本にしたものが多く、この種の装飾を総称してワトー
様式と読んでいます。写真4)はブーシェの銅版画ですが、
マイセンの絵付けが、ロココ芸術の真髄にまで迫っているの
がご理解いただけると思います。

東京プリンスホテルの「ザ・美術骨董市」に出品致しますので
是非、会場にて実際にご覧ください。
http://www.japantique.org/about.html




アンティーク西洋陶磁器専門店 
   アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
         TEL-03-5717-3108
   ホームページはこちらです  
http://archiv.jp/






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2019年03月18日

マイセン  プレート ネームドビュー  名勝風景「モンブラン山脈」 1870年頃

久しぶりのブログで、申し訳ございません。

本題に入る前に、東京ドームで開催された「テーブル
ウェア・フェスティバル」「世界のラン展」におこし頂いた
大勢のお客様に、心よりお礼を申し上げたいと思いま
す。風邪をひきひきで、マスクとティッシュを手放せない
ままの接客でしたことを、どうぞお許し下さい。
ご来場下さったお客様、本当に本当に有難うございま
した。


さて、今回のブログは、個人的に大好きな「ネームド
ビュー 名勝風景」の絵付けについてお話しましょう。


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写真1)マイセン ネームドビューの飾り皿 1870年頃

今回紹介するのは、ちょっと珍しい「ネームドビュー」です。
「ネームドビュー」のモチーフになるのは、エルベ川周辺
の風景画が多いのですが、本作の風景はアルプスの山
です。



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写真2)作品裏面の風景の名称

「ネームドビュー」の定義の一つとして、作品裏面に風景
の名称がカリグラフィー(飾り文字)で手書きされたいる事
があります。
本作には「MontblancKette」とあります。Ketteはドイツ語
で「山脈」の意味なので、本作のモチーフが「モンブラン山
脈」である事が分かります。




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写真3)作品 絵付けのクローズアップ

本作の絵付けを、じっくり鑑賞してみましょう。

湖の向こうに山脈が連なり、雪を頂いたモンブラン
山脈を望みます。湖畔には別荘のような建物が見え
湖面にはヨットが浮かんでいます。画面左には男女
の人物が点景として描かれています。
大きなスケールの爽やかな風景ですが、ネームド
ビューのモチーフは想像や理想を描いたものでは
なく、地理学上にみても正しく、実際に存在する風景
でなくてはなりません。

このモチーフを絵付けするに当たって、マイセンの絵
付け師はこの風景を見ている訳ではありません。実際
の絵付けに当たっては、当時の銅版画を参考にして
いるはずなので、これを探しに探しました。




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写真4)モンブラン山脈の銅版画

結果、ありました。実際の銅版画はもう少し広い範囲
を描いているのですが、主要な部分をトリミングすると
ほとんど絵付けと一致します。山脈の連なりや、角度
がとても正確に絵付けされているのがお分かり頂ける
と思います。

それでは、この湖は何処なのでしょう。



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写真5)古い絵葉書 1900年頃

これは、古い葉書でわかりました。マイセンの飾皿が
作られた19世紀中ごろに、ヨットや船を浮かべる大きな
湖は限られています。スイスのレマン湖です。1900年
頃になると建物はもっと増え、リゾートの町になってい
ます。この場所は絵葉書にもなっているので、モンブラ
ン山脈を望める景勝地のようです。


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写真6)レマン湖の現在の風景

写真6)はレマン湖からモンブラン山脈を望む風景です
が、このように美しいモンブランが見えるのは、快晴の
雲のない日に限られ、非常に稀だそうです。19世紀と
同じ風景が今でも残っているのは素晴らしいですね。

今回はマイセンの飾り皿「ネームドビュー」を紹介しました。



アンティーク西洋陶磁器専門店 
   アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
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2019年01月30日

テーブルウェア・フェスティバル 出品作品 part2



今年も恒例のテーブルウェア・フェスティバルに
出展いたします。

催事の詳細は、以下をご覧ください。
https://www.tokyo-dome.co.jp/tableware/

出展作品の一部 part 2 を紹介致します。

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写真1) 出品作品 part 2

Part 2

25) アウガルテンウィーン 
6人用ティーセット「ビーダーマイヤー」1985年頃

26Rコペンハーゲン 
フィギュア「フェアリーテイル」 
1970年頃 高約23cm

27〉マイセン フィギュア 
「鴨の家族」 
1990年頃 高約22cm

28〉マイセン C&S
「マルコリーニの花かご」 1800年頃 

29〉セーブル ティーC&S
「ミントグリーンのボーダー」 1850年頃

30〉セーブル ベース「アートグレーズ」
 
1900年頃 高約20cm

31〉マイセン 2人用セット 
テテアテテ「農村の風景 赤紫」 
1860年頃

32) マイセン 大型フィギュア
「アポロンとミネルバの勝利」
1860年頃 高約39cm 

33〉マイセン ペアベース
「公園の恋人たち ワトー様式絵」
1860年頃 高約40cm

34〉マイセン プレート
「ホワイトエナメルの天使図」 
1870年頃

35KPMベルリン 蓋付ポプリポット
「天使図」 
1900年頃 高約34cm

36〉ウースター 八角皿 
「梅に鶉」 
1800年頃

37) KPMベルリン 陶板画「青の女」
Th・バウディス直筆 1900年頃

38) マイセン 6人用コーヒーセット
「赤紫の単色花絵」 
1990年頃

39) KPMベルリン 陶板画 
「女優の肖像」 
1880年頃

40) マイセン フィギュア「庭師の少女」
ケンドラー時代 高約
13cm 1760年頃 貴重

41) KPMベルリン ミニベース
「エナメル彩 ユーゲント文様」高約
13cm 1900年頃

42) KPMベルリン ティーC&S
「ケレス ゴールド」 1980年頃

43) 大倉陶園 ティーボウル&ソーサー
「蒔絵風彩色」
1985年頃 

44) セーブル 2人用ティーセット
「白磁金彩」
1990年頃

45) アウガルテンウィーン C&SP
「フォン・ツーラーのデコ文様」1985年頃 

46) ローゼンタール フィギュア「キツネ」
高約
14cm 1930年頃 

47) マイセン テテアテテ 2人用デミタス
「柿右衛門 松竹梅」 
1985年頃

48) KPMベルリン ベース「ウスバキチョウの絵 
モッケルのデザイン」
1955年頃

49) レノックス ティーC&S「グランドティア・
コレクション」
1985頃 


会場にて、皆様にお会いできるのを楽しみにしております。


 アンティーク西洋陶磁器専門店 
   アンティーク アーカイヴ  東京 二子玉川
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2019年01月29日

テーブルウェア・フェスティバル2019 於 東京ドーム

今年も恒例のテーブルウェア・フェスティバルに
出展いたします。

催事の詳細は、以下をご覧ください。
https://www.tokyo-dome.co.jp/tableware/

出展作品の一部を紹介致します。

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写真1)テーブルウェアフェスティバル出展作品



01)ヘキスト 2人用デミタスセット
「アルトブルーメ」 
1980年頃
 

02) Rコペンハーゲン6人用ティーセット
「ブルーフラワー カーブ」 
1985年頃 

03)アウガルテンウィーン フィギュア
「スペイン乗馬学校」 
1980年頃 高約23cm 

04)ヘレンド 蓋付ベース「ポアゾン」
 
1990年頃 高約28cm 

05KPMベルリン 透かし彫りプレート
「古典花絵」 
1960年頃 

06Rコペンハーゲン サマーナイト
 絵皿 
C&S 1980年頃

07)マイセン 眼鏡ケース
「バラの花のブーケ」
2000年頃 

08) マイセン 陶板画「プラチナとコバルトの動物」
額サイズ
54×38cm 2005年頃
  

09)セーブル コーヒーセット6人用
「白磁金彩」 
1860年頃

10)マイセン 2人用日本茶セット
「梅に鶉」限定品 
2000年頃

11)ヘレンド ベース「東洋文」
 
2010年頃 高約23cm 

12)セーブル プレート
「フランス共和国の司法の寓意」 
1885年頃

13) マイセン デミタスC&S
「メイフラワー」 1870年頃

14)マイセン C&S 
「忘れな草」 
1850年頃

15)マイセン フィギュア
「パゴダ 男神」  
1990年頃

16)マイセン 大型フィギュア
「天使 婚姻の契約」
1870年頃  高約28cm

17KPMベルリン C&S
「ルイーゼ王妃生誕200年記念」 1920年頃

18)マイセン 大型フィギュア
「捕らえられたトリトン」
1930年頃 高約29cm

19)マイセン 額装皿
「港湾風景 海上交易」 
1980年頃

20)ラリック ワイングラス
「ロクサーヌ」 
1995年頃 1客 

21)ヘキスト 飾り皿
「公園の貴族たち」 
1990年頃

22) Rコペンハーゲン ディッシュ
「テネラ バッカ」 
1980年頃 一枚

23)マイセン プレート「モンブランと
レマン湖 名勝風景」 
1870年頃  

24〉銅版画  「フローラダニカ 
植物図鑑より」額装 
1850年頃  



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2018年10月21日

セーブル 「ゴーヴネの照明」   秋の夜長   アールデコ  セーヴル

この頃は、日が短くなって、秋の夜長という言葉
が実感されます。今回はセーブルのランプを紹
介しましょう。

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写真1)セーブル「ゴーヴネの照明」 1935年頃

ご存知のように、焼き締まった磁器は透光性が
あります。この性質を利用してランプをつくる試み
は昔からありました。しかし、本格的にランプ(キャ
ンドルスタンドとは別として)が作られるようになっ
たのは、やはり電気が普及してからです。それまで
の蝋燭の光では、磁器を照明として利用する事は
難しかったのでしょう。



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写真2) 同上

1925年のアールデコ博覧会において、アンリ・ラパ
ンがパビリオンの組織委員会メンバーのなります。彼
は国立セーブル製陶所の組織委員もつとめ、「光の
サロン」と題された部屋の企画とデザインを担当して
います。この時、ラパンはジャン=パティスト・ゴーヴネ
との共作で、「光の噴水」という大型の照明を出品して
高い評価を得ます。




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写真3) 同上

本作はこのゴーブネによるものです。ゴーブネは彫
刻家ですが、セーブルで磁器に掘り込みをする技術
を研究し、数々の作品を生み出します。本作もその一
つで、葡萄の実の上にとまった一羽の鳥を掘り込みで
表現しています。装飾の明暗は素地の厚みを調整す
る事によって得られます。アールデコらしいシンプル
な装飾で、この時代の特徴をよく表していると思います。




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写真4) 同上

もちろん、電球を消灯すれば白磁ですが、セーブル
独自の柔らかい白で、白磁作品としても充分に観賞
価値のある作品です。器型もラパンと共通するものが
あり、これだけでも美しいです。



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写真5) 同上

本作の上部は大きく開口しているので、バックに反射
する光も美しく輝きます。ゴーヴネは当然このような効
果も計算していたのでしょう。作品を置いて点灯しただ
けで、一つの世界ができあがります。照明における光
の効果はすごいですね。



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写真6)「アールデコ様式のセーブル磁器展」1993年より

1993年に東京都庭園美術館で開催された「アールデコ
様式のセーブル磁器展」は、個人的に最も感銘をうけた
美術展の一つです。旧朝香宮邸のインテリアとセーブル
の陶磁器が完全にマッチングしていました。この時の図録
に本作と同じ作品が掲載されています。


本作に灯をともすと、あの美術展を思い出し、本作を今
扱えることを本当に嬉しく思います。
どうぞ、実際にご覧ください。



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2018年10月03日

セーブル ティーカップ&ソーサー 1867年           セーヴル フランス ティーC&S

今回はセーブルのティーカップ&ソーサーを紹介しま
しょう。


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写真1)セーブルC&S ミントグリーン 花絵 1867年

滅多に入手できないセーブルの最上級のC&Sです。
ミントグリーンとホワイトのツートンカラーを地に、窓絵
に赤紫の単色花絵が描かれています。



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写真2) 同上 カップ 


白磁部分には、淡い色彩でアイビーが添えられていま
すが、とても素晴らしい筆致で見事な出来です。高台
には半円形の金彩が装飾されており、これはこの作品
が最上級のグレードである事を示しています。



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写真3) 同上 カップ内部とハンドル

カップ内部はフルに金彩が施され、上部には金彩を掻き
落とす技法で渦巻き文様が描かれています。これも作品
の格を示すものですね。



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写真4) 同上 カップの絵付けと盛金

単色の花絵は多色と違って、濃淡だけで質感や色彩を
表現しなければならず、難しい技法といわれています。
花絵を囲む窓の金彩は、盛金(レイズゴールド)の技法
が使われています。セーブルは金彩に銅板転写を使う
事が多いのですが、これらはもちろん全て手描きです。



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写真5) 同上

花絵はカップに4面、ソーサーにも4面描かれています。
もちろん、全体としてのバランス・構成の傑出したもの
で、フランスの洒落た雰囲気を醸し出しています。



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写真6) 同上 ソーサー裏面

マークから白磁が1860年、装飾をつけて全体が完成する
のは1867年と分かります。
絵付けはL-D-Barre、1844年から81年までセーブル窯に
在籍した花のペインターです。



アンティークとしてのコンディションも素晴らしいものなの
で、是非手にとってご覧ください。




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