エイプリルの七面鳥

  • author: driftingclouds
  • 2005年01月22日

家族というものは厄介なものである。
たとえ親子だからきょうだいだからといったって、同じ価値観を共有するとは限らない、気が合うとも限らない。
そんな場合は出来れば離れて暮らすのがいいのだけど、それでも年に何回かは家族が揃う日というものがやってくる。
日本で言えばお正月、アメリカにおいては感謝祭だ。

エイプリル(ケイティ・ホームズ)は家族と折り合いが悪かった。
ごくごく標準的な中流家庭に育ったものの、厳格な母には叱られてばかり、きょうだいとも仲が悪く、道を踏み外したりしたこともあったらしい。
そんな家族のはみ出しものだったエイプリルだけど、どうにか悪い男とも縁を切り、新しい彼ボビー(デレク・ルーク)と新しい生活を始めた。
そして、エイプリルは決意する。感謝祭のディナーに家族を招待しよう。

さて、映画の始まりはここから。
アメリカの感謝祭には、七面鳥の丸焼きというものが不可欠。
それまでろくに包丁も持った事が無いエイプリルは四苦八苦しながらも、なんとか詰め物(ただしインスタント)を詰め終え、あとはオーブンで焼くばかり。
ところが、普段使った事も無いオーブンはとっくに壊れて使い物にならなかったのだ。
管理人も感謝祭の休暇で不在、ボビーは用事がある(実は初めてエイプリルの両親に会うので、ちゃんとした服装を整えるために出かけたのだ)と不在。
焦ったエイプリルは同じアパートの住人にオーブンを貸してくれるように頼みにいく、けれど少しでもまともな家庭はみんな自分たちの準備でオーブンは塞がっていて貸してもらえない。
けれど、とある黒人夫婦がエイプリルの話を聞いて力を貸してくれる事に。
そんなに大事なディナーならインスタントの詰め物なんてとんでもないわ、と一から料理を教えてくれる。
残念ながらオーブンは自分たちのだけで手一杯、けれど5階のウェインが最近最新式のオーブンを買ったらしいわよ、と教えてくれた。
かなりの変人らしいウェイン(ショーン・ヘイズ、『ウィル&グレース』のジャック)だけど、渋々ながらオーブンを貸してもらう。

一方、両親ときょうだいたちはエイプリルの家へ向かっていた。
途中、エイプリルとの楽しい思い出を思い出そうとするも、何一つ浮かんで来ない…
たった一つ浮かんだ思い出も、妹のベスに「それは私よ」と否定される始末。
気の進まない行程中「どうやって、不味い(に決まっている)料理を吐き出すか」などと冗談を飛ばす母のジョーイ(パトリシア・クラークソン)

それでも、エイプリルが必死になるのも、家族が重い腰を上げたのにも理由があった。
ジョーイは末期ガンにかかっており、この機会を逃したら二度と和解するチャンスはないのだから…

舞台のほとんどが、エイプリルの住むアパートの中と家族の乗った車の中で、それ以外の状況説明というのがほとんどないのにも関わらず、台詞だけで過去のいきさつみたいなもの、そして刻々変化していく二人の感情をあらわしてしまう脚本が上手いな、と思ったら監督・脚本のピーター・ヘッジスって『ギルバート・グレイプ』の作者(&映画の脚本)だったのですね。
あのときにも、特に説明もないのにギルバートが「家族の世話にも田舎町にもうんざりしているけれど、そう感じる自分もちょっと嫌だと思っている」というのが伝わってくるのに感心したのですが(もちろんジョニー・デップの名演もあると思うけど)今回も同じような事思いました。
主役の二人だけじゃなくて、お父さん役のオリバー・プラットとか親切な黒人夫妻、言葉の通じない中国人家族まで、いちいちあげるとキリが無いけど、みんな良かった。

ジョーイとエイプリルはお互いに憎みあっていると思っていても、心の奥底では理解し、愛したいと思っていたはず。
だって友人なら関係を切れても、家族である事を辞める事は出来ないんだから、

それにはお互いに歩み寄る事が必要。そう、どちらか一方がじゃなくてね。

なんか色々身につまされる事が多くて、心に染みる映画だったことよ…

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「エイプリルの七面鳥」

「エイプリルの七面鳥」を観ました(本家・fab*funにもup、レビューは毎度微妙に中身が違います)。 エイプリルが七面鳥を焼くために(自分ちのオーブンが壊れてた)アパート中を走り回っていく間に、今までにはなかった人間関係が徐々に生まれてゆく。 自分の状況を正直

  • [ るるる的雑記帳 ] 2005年02月07日 21:05

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