愛についてのキンゼイレポート

  • author: driftingclouds
  • 2005年10月06日

キンゼイ博士の『誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいセックスのすべてについて教えましょう』じゃなくて…「キンゼイレポート」を作ったアルフレッド・キンゼイ博士(リーアム・ニーソン)のライフストーリー。

人間とは厄介なものだと思う。性というのが生物にとって必要欠くべからざるものなのに、それについておおっぴらに語ることははしたないとされているのだから。
特に、ピューリタンの国であるアメリカにおいては、この映画に出てくるような信じがたい迷信や、純潔主義が21世紀の現在でも幅を利かせている。
(私たちが映画やテレビex.『SEX and The CITY』で見るような社会はごくごく一部の都会の話)
何しろ「進化論」を学校で教えるかどうかが真剣に議論され、中絶をする医師は命の危険と隣り合わせに生きなければならない国なのだし。

しかし、キンゼイも極端な人である。
抑圧的だった父(ジョン・リスゴウ)からの影響でキンゼイ自身がまったく無知だったという経験から始まった研究は、聞き取り調査だけでなく、実体験へと発展していく…助手(ピーター・サースガード)と同性愛に落ちいってそれを妻に告げたり、妻を他の男性に抱かせたり…
あまりにも家族の会話があけすけなのを嫌がるキンゼイの息子の気持ちはちょっとわかる。

実際のキンゼイ博士がどういう人だったかは知らないけれど、演じているリーアム・ニーソンには好奇心の赴くままに何でもやってみてしまう少年のような雰囲気がぴったりで、夢中になると他のことが目に入らないちょっと困ったちゃんながら憎めない人物を好演している。
扱っている話題が話題だけに、一歩間違えれば変な雰囲気になりそうなところを、開放感のある映画になったのは彼のキャラクターによるところ大なのではないか。
そんな夫を支え続ける妻クララを演じたローラ・リニーも素晴らしい。

彼は学問で人々の性を理解できると思っていたけれど、結局それでは理解できないものへ辿り着く。
台詞では「愛」となっていたけれど、実際は人間という感情を持つ生き物の測り知れない不思議なんだろう。
キンゼイ夫妻が森の中を歩き、妻とはなれたキンゼイがうっそうと茂った木々を途方に暮れたように見渡す姿と、それに寄り添うクララの姿は印象的。

じゃあ彼の研究は無意味だったのか?
映画の終盤にある女性(リン・レッドグレープ)が、レポートに救われた話をする。
「キンゼイレポート」は彼女のような人を大勢救った。少なくとも、人々に「答えは無い」という回答を与えたのだ。

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