『SPIRIT』と『霍元甲』

  • author: driftingclouds
  • 2006年03月23日

c5273926.jpgやっぱりりんちえは辮髪よね。

監督:于仁泰(ロニー・ユー) 2006年 香港=アメリカ

さて、何ごとも観なくては始まるまい、ということで劇場に観に行ってきました。
とりあえず、主題歌問題は置いておいて映画本体の感想を。

李連杰(リー・リンチェイ)自ら、最後のマーシャルアーツ作品と銘打ったこの作品。
先日の「中国語講座」のインタビューによれば「自分がこういう映画で言いたいと思っていたことはすべて言い切った」からなのだそうです。
霍元甲(フォ・ユェンジャ)という人は実在の人物でありますが、映画のストーリー自体はたぶんにフィクションと伝説の入り混じったものになっているようです。
水戸黄門が実在の人物であっても、テレビや映画の黄門様が史実とかけ離れているようなもんですね。

傲慢さ故にすべてを失った男が、失意のどん底から立ち直り真の強さとは何かを悟るまでが、ごくごくシンプルなストーリーで語られます。
シンプルすぎて深みに欠ける…ような気もしないでもないですが、言わんとすることには深く共感できたので無問題です。

力で相手をねじ伏せようとすることの空しさ、自分の利益だけを追求することの醜さ、本当に勝つとは何であるのか。
武術だけでなく、勝ち組負け組、あるいは下流なんて下品な言葉のはびこる現代社会にも通用するメッセージがストレートに伝わってきました。
りんちえがこれを最後の武侠映画にしたいといったのもうなずけます。
個人的にはそんなこと言わずにもっと見せて欲しいですけど。

やはりりんちえは辮髪を結わせたら世界一です。お肌の調子もいつになく良かった(エステでも行った?)し。
なんてとこだけじゃなくて、やはりこの人の演武は本当に素晴らしい。三節棍の構えなんかほれぼれするくらい。
ちょっと撮り方がハリウッドぽいところが気になりましたが、あの動きはやはり大画面で見るにふさわしいもの。
相変わらず女性との関係はおぼこい(笑)のですが、この映画の場合そういうのは必要ないと思うので清らかな心の交流のままで良いのです。
しかし、あの女の子農村の娘なのになぜいつも化粧がバッチリなのでしょう?それはハリウッドクオリティ?

中村獅童は出ている時間の割にクレジットが2番目でちょっと驚いたんですが、役としてはおいしい役。
肩に力入ってる感じもしましたが、一流の武道家という雰囲気を出そうと頑張っていたのでまあ良いのではないでしょうか。
アクションは何しろあのりんちえ相手に素人が相手をするのはムリってもんなので…
悪役に描かれることが多かった日本人にこういう役を振ってくれるようになったのは良い変化…なのかな?(単に日本市場を見据えてのこと?)

原田真人は、悪辣日本人が持ち役になったのか(笑)

その他に印象的なのは元甲の親友、勁スン(草かんむりに孫)(董勇/トン・ヨン)。うむ、友とはこうありたいものであります。
父親役の鄒兆龍(コリン・チョウ)も出番は少ないながら、あの佇まいあってこそ後半の元甲の述懐が活きてくるというもの。

なにはともあれ、やはり劇場で一度は観ておくべき作品と思います。

さて、実は私、家に帰ってから香港から届いたDVDでもう一度この映画を観直しました。
なので、その違いについて書いておきたいと思います。

まず最初に誤解されている方もいるようですが、楊紫瓊(ミシェル・ヨー)の出番は完成版の時に長すぎるしストーリーにそぐわないということで削られており、日本公開にあたって削られたのではありません。
これは、その事情をよく確認せずにポスターやサイトに名前を乗せてしまったワーナーの完全ミスですね。
噂されたカットや編集の違いは無かったと思います。上映時間も同じです。
二つのバージョンの違いは2点だけ。
中村獅童の北京語台詞が香港版では吹替えになっている(日本公開版は本人の声)こと。
日本人役ですから流暢である必要は無いと思いますが、あの発音ではまぁしかたなかったかと。
そして、主題歌です。
ご覧になった方はわかると思いますが、この映画ではスタッフ・キャストのクレジットは最後に出てきます。
そこに流れるのは香港版では梅林茂氏のインストゥルメンタルです。そして、エンドロールが始まってからおもむろに周杰倫の『霍元甲』が始まります。
それに比べて日本版ではいきなり日本版主題歌のイントロが流れてくるので映画の余韻もへったくれもあったもんじゃありません。(すいません、その後はMDのスイッチを入れて『霍元甲』を聞いていたので曲そのものは聞いていません。以前、サイトで試聴はしたのでどんな曲かは知っています。)
もし、ほんとうに契約問題でジェイの曲が使えなかったのであれば、ワーナーがとるべき次善の策はインストゥルメンタルだけを流すことではなかったのでしょうか?
この映画を観たあとで、どんな曲であれ日本語の歌が流れてくるのがふさわしいと考えた人がいるとすれば、その人は自分の鑑賞能力を疑ってみるべきでしょう。

そして、取ってつけたように最後に大きく映し出される主題歌を歌ったグループと曲名のスライドに、映画中に田中安野の言った台詞が蘇ってきたのは言うまでもありません。(そのグループに対してではなく、そういう行為をして平気な人たちにです。)
ということで、私はどんな事情があるにすれ、映画を理解しない、愛さない人達に黒い涙と共にこの言葉を贈りたい。
『映画が盗まれている、感動も盗まれている、大切なものが汚されていく…』

オリジナル版の公開を切に願います。

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この記事へのコメント

ストーリーと良いのではないでしょうジェイなどを理解したかったの♪


1. Posted by BlogPetのlauchin 2006年03月27日 09:27

はじめまして。
warner.sistersさんのblogからまいりました。
主題歌問題をさしおくとかなり良い作品だと思うのですが、あまり興行成績はよくないようですね。悲しいです。
中村氏の北京語は、日本版ではすべて本人だったのですか?
茶道を披露するシーンの長セリフは、声が全然違うように聞こえたのですが……(-_-;)
中村氏がいい役だったのは嬉しいのですが、この主題歌差し替え騒動で、結局日本人は原田氏演じる金の亡者なのだと証明してしまったのが切ないです。

2. Posted by ミケ 2006年03月27日 22:37 4

やっと観て参りました。本当に無駄がなく、テーマがストレートに伝わってきますね。怒りに任せて秦師匠と決闘するシーンは鬼気迫るものがあり、胸が痛みました。勿論ipod持参で臨みましたが、映画が良かっただけに主題歌の変更はキツイです。咄嗟にキャンペーンソングにできるくらいなんだから、契約問題なんて言い訳ですよね。むしろ差し替える方がずっと問題なはず。

それにしても、いつまで悪趣味な告知を垂れ流したら気が済むのでしょうか?見れば見るほどうんざりします。絶対に逆効果にしかならないって。これこそ早急に「差し替え」手貰いたいです。
http://cinesqu.com/qa_htmls/103920653.htm

3. Posted by KIKI 2006年03月28日 18:24

>ミケさん、はじめまして。
実際、売り方によっては格闘映画ファン以外の観客を獲得出来ただろうに、まったく宣伝の失敗ですよね。
タイアップでどの程度の金額が動いたのかわかりませんが、失ったものの方が大きかったのでは?と思います。
茶道のシーンの台詞は同録だったのかもしれません。あれほど発音の不明瞭な吹替えはないかと。

>KIKIさん
結局今に至るまで、きちんとした公式発表を出せないということがすべてを物語っているのではないでしょうか。

あの告知を見ていると、きちんとお金を払っている私たちが犯罪者のような気持ちになりますよ。
あれを差し替えられないのは、一体どういう”大人の事情”があるのかと勘ぐりたくなってしまいます。

4. Posted by KEI 2006年03月29日 00:20

はじめまして。霍元甲ネタ探して、たどりつきました。
”大人の事情”ですが、おそらくハイカラの全米デビューが絡んでいるものと思われます。(3月だか4月だかに、デビューするそうな)
映画に対する愛情も熱意もないボンクラなワーナーに、狡猾なソニーがつけこんだ、というのが恐らく真相なのでは?
ジェイくんは同じソニーだから、人身御供にされたようなものですね。
私は連杰迷なので、ジェイ君にはすまないと思いますし、なにより連杰がこの作品に懸けた想いを汚されたという怒りでいっぱいです。

5. Posted by りょう 2006年03月31日 01:01

りょうさん、はじめまして
“全米デビュー”という話があるらしいというのはどこかで読みました。しかし、アメリカで採用されたのならともかく、日本で主題歌になったからといって、それが箔になるのかどうかは大いに疑問ですね。
いかにも頭の悪い宣伝マンが考えそうなことですけど。
私はりんちえとジェイ、両方のファンですから二人の気持ちが踏みにじられた、そして映画を台無しにされたということが残念でなりません。

6. Posted by KEI 2006年03月31日 02:07

りょうさんの書き込みは単なる思い込みなのでは?

7. Posted by 考える人 2006年04月01日 01:18

考える人さん
私は、自分に否定的なことを書かれたからって、コメントを削除しようとは思いませんが、あなたのような書き方は礼を失していると思います。ましてや私ではなく、コメントくださった方に対してのことですから、これからはこういう書き込みは問答無用で削除させていただくことにします。あしからず。

8. Posted by KEI 2006年04月01日 23:11

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