美しき運命の傷痕

  • author: driftingclouds
  • 2006年04月26日

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監督:ダニス・タノヴィッチ 原案:クシシュトフ・キェシロフスキ 
2005年 フランス/イタリア/ベルギー/日本

クシシュトフ・キェシロフスキは人間の運命と偶然というテーマを一生描き続けた人でした。
彼は1996年に亡くなっているのですが、彼の残したテーマは今でもヨーロッパの人を魅了するらしく、ダンテの『神曲』を元にした三部作『天国』『地獄』『煉獄』という遺稿は、既に『天国』編がドイツのトム・ティグヴァによって映画化されていますが(邦題『ヘヴン』)2作目に当たる『地獄』(原題)編を監督したのはボスニア・ヘルツェゴビナ出身のダニス・タノヴィッチ。

22年前、父親(ミキ・マノイロヴィッチ)が起こした事件とそれに続く死とがトラウマとなり、愛に苦しむ三姉妹(エマニュエル・べアール、カリン・ヴィアール、マリー・ジラン)の物語。

この場合の【地獄】とは愛情の地獄なのですね。
キェシロフスキの映画の場合、どんなドロドロの状況でも不思議と透明感があったような気がするのですが、これは原液のままな感じ、濃いわ…胸焼け気味です。

彼女たちの苦悩は表面上は父親によるものに見えますが、実は母親によるものなのでしょうね。
障害を負い、もの言わぬ母親の鋭い眼光(キャロル・ブーケ恐いよ〜)からそれが見て取れます。
三姉妹の陥った【地獄】の描き方は男性の手によるものとはとても思えないくらいリアル。別にあんな体験があるわけじゃないですが。
いちばんほっとしたのは男性に臆病な次女の存在でしょうか。彼女の場合、これから先に希望が持てそうな感じがしたので。

たまたまあの場に彼女が居合わせてしまったのは、そこから始まった彼女たちの行く末を決めたのは、偶然なのか、運命だったのか。
22年後に明らかになった真実を知ってなお言い放った母親の最後の一言に、月並みですが女は恐い…と思いますたよ。

何度か出てくる真上からの映像が印象的。あれは神の視点なんでしょうか。

男優も父親役のミキ・マノイロヴィッチ他、ジャック・ペラン、ジャン・ロシュフォール、ギョーム・カネとかなり豪華なのですけど、女優たちの濃い演技の前ではいささか影が薄いのは残念。

『煉獄』編を誰か映画化するという話はあるのかなぁ?

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この記事へのコメント

ミキ・マノイロヴィッチって、『アンダーグラウンド』のあのミキ・マノイロヴィッチですか?
クストリッツァ作品以外の彼を観たことがないので、ぜひ観てみたいです。

1. Posted by micchii 2006年04月26日 12:37

はい、そのマノイロヴィッチです。こんな名前の人が何人もいたらそりゃビックリですよ。
マノイロヴィッチの出番はそんなに多くないですが、この映画を男性が観たらいったいどう思うのか、ちょっと興味がありますね。もしご覧になったら感想お聞かせください。

2. Posted by KEI 2006年04月27日 00:28

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