ココシリ(可可西里)

  • author: driftingclouds
  • 2006年06月10日

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監督:陸川(ルー・チュアン)
2004年 中国=香港

ココシリとはチベット語で“青い山々”モンゴル語では“美しい娘”を意味する言葉だという。
標高4700m、厳しくも雄大な自然の中で何の見返りも求めず、密猟者と闘う男達の実話を元にした物語。

一昨年のTIFFで見逃してから観たくてしょうがなかったこの作品、もう公開されないのかとがっかりしていたのですが、2年経ってやっと公開の運びとなりました。
そして、期待に違わぬ、力強く、迫力に満ちた映画でした。

標高4700mというのは私には想像もつかない世界です。
ちょっと走っただけでも深刻な高山病を引き起こし、常に流砂や嵐に見舞われる危険と隣り合わせの場所は、私には美しいと思うよりも先に、恐ろしいという気持ちを呼び起こさせました。

あのような自然の中では下手な同情は自分の命取りになります。
ですから、前に進むためには仲間すらも後に捨てていくしかない、自分の命は自分で守るしかないのです。
しかし、密猟者たちを食料不足のために置き去りにする時にも、彼らはこう付け加えることを忘れません。「仏のご加護を」

密猟者とそれを阻止しようとする男たちの話ですが、単純に密猟者を悪として描くのではなく、彼らもまた食い詰めたあげくのやむをえぬ生業であることを描き、やんわりと今の中国の状況、チベットの置かれている状態への批判となっています。
追うものと追われるものの間には、敵味方でありながら同じ過酷な世界に暮らすもの同士でしか解りあえないものがあるように見えます。

なんと言っても男達の面構えが素晴らしい。
プロの役者さんは隊長役と記者役の人ぐらいで、後はほとんど素人らしいですが、顔だけでも十分説得力があります。
特に密猟者側の老人があの表情で訥々と語る言葉には胸が突かれる思いがします。
あるいは、過酷な撮影があのような表情を彼らに与えたのでしょうか。
パンフレットに記された撮影日記を読むと、本当に命がけの撮影だったことがよくわかります。

そんな彼らの執念と、厳しい自然の姿とが刻み付けられ、一時も緊張の途切れることのない90分間。
ぜひとも、劇場で観るべき。

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映画「ココシリ」

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この記事へのコメント

サービスデイに見に行こうと思っていたのですが、KEIさんの感想を読んで絶対見に行かなくちゃ!と更に思いました。シャンテ・シネで上映される作品はつい見逃すことが多くて。早めに行くことにします。

1. Posted by らら 2006年06月11日 02:12

ららさん、こんにちは。
ぜひ、ご覧になってください。
ちなみに、レディースデーにもかかわらず、場内は年配の男性率が異常に高かったですw

2. Posted by KEI 2006年06月12日 00:58

観てきました。
KEIさんの記事は観てから読もうと思って
ガマンしていました。
「顔だけで説得力がある」という言葉に賛成です。
密猟者の老人の顔が忘れられません。
それにしても、年配の方々が多かったのですが、
何ででしょうね。

3. Posted by rivarisaia 2006年06月19日 02:01

rivarisaia さん、こんにちは。
私の時も年配の方々が多かったです。
何となく地味なイメージがあるせいですかね。あと自然とか環境保護とか。
全然違うんですけどね〜

4. Posted by KEI 2006年06月19日 23:00

本日、観て参りました。スクリーンで観られてよかったー。KEIさんのおかげです。
本当に男達の面構えが見事でしたね。環境が違うとはいえ、日本にこんな味のある顔をした男達がいるだろうか?と思ってしまった。密猟者のおじいさんの「草原が砂漠になって食べる手段を失ってしまった」という一言に世界の現実を突きつけられたような気がしました。

5. Posted by らら 2006年07月08日 00:48

ららさん、こんにちは。
私もあのおじいさんの一言に胸が突かれる気がしました。ああいう立場に追い込んだのは、我々の文明(?)生活のせいかもしれない、と。
日本映画にも昔はああいう顔の男たちがいたんですけどねぇ。

6. Posted by KEI 2006年07月08日 12:41

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