真昼ノ星空

  • author: driftingclouds
  • 2006年07月07日

3170f5b2.jpg
監督:中川陽介 2004年 日本

何とも不思議な雰囲気の映画だ。
ドラマチックなことは何も起きないのに、何かが起こりそうな予感が画面の隅々まで宿っている。

仕事を終えて沖縄の隠れ家に来た殺し屋リャンソン(王力宏/ワン・リーホン)、弁当屋で働くわけありげな美女、由起子(鈴木京香)、もの憂げな美少女、サヤ(香椎由宇)
強い日差し、鮮やかな緑、潮風のさざめき、人気の無いプール、夜の路地、深夜のコインランドリー…
台詞で語るのではなくて、そんな風景にそれぞれの想いがゆっくりと交錯していく様を表現させているのがいい。

リーホンの浮世離れしたキャラクター(殺し屋にはとても見えない)を、鈴木京香のリアリティのある存在感が柔らかく包み込んでいる。
香椎由宇は実はこれが初めての映画出演だったらしい。思春期の危うい雰囲気と強い意志を感じさせる瞳が印象的だ。
全編に渡ってナレーションが流れるというのはうるさくなりがちだけど、リーホンの声質のせいか、北京語の響きのせいか、とても心地よくまるで音楽のようだった。

沖縄が舞台ではあるのだけれど、いかにもという風景はなくて、アジアのどこか、といった雰囲気がある。
それも含めて色使いや映像が日本映画らしくない気がしたのだが、監督がインタビューで映像について「見えない所があってもいい、闇の部分があるからこそ光が綺麗に見える」と語っていたのに、百万回ぐらいうんうんとうなずく。

やや饒舌に語りすぎる部分が無きにしもあらず(母親の映像(鈴木京香二役)は蛇足だよな〜)ではあるけれど、またもう一度この空気に浸ってみたいと思わせる魅力がある。
この監督の他の作品も観てみたくなった。


余談:すごくくだらないことなのですが、実をいうと私、リーホンのことはハンサムだとは思うけど、いまいち好みのタイプではないと思ってきたのに、この映画の中でメガネをかけている彼を見てちょっとくらっと来てしまいました。
どうも、私、意外性のあるメガネ姿ってのに弱いらしいよ。

トラックバックURL

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

真昼ノ星空@ユーロスペース

殺し屋のリャンソンは仕事を終えて、沖縄の隠れ家で自適な生活を送っている。プールを愛し、料理を楽しみ、孤独だが気ままな暮らしぶりを彼のナレーションを入れて映し出す。自己肯定、自画自賛の、ブログ(これを含む)のような語り口だった。一方そのリャンソンが気になる...

  • [ ソウウツおかげでFLASHBACK現象 ] 2006年07月09日 02:01

真昼ノ星空

やはり自然環境は人間の生き様、たとえば男女関係にもにかなり影響するのではないかという話。「真昼ノ星空」は、沖縄が舞台の映画です。ラブストーリーなどと紹介されたりしていますが、恋愛映画というには、登場人物皆あまりにも孤独ですし、韓国映画のような熱さを期待し...

  • [ あいち国際女性映画祭ANNEX-cinemado's BLOG ] 2006年08月24日 21:23

この記事へのコメント

はじめまして。
コメント&TB失礼します。
公開までにちょっと時間がかかって、
これが香椎由宇のデビュー作だったんですね。
なるほど。
言われてみるとまだ初々しさが…
ってそんなこと鑑賞中は全く思わなかったのですが^^;

1. Posted by 現象 2006年07月09日 03:26

アジアを表現しなかった。


2. Posted by BlogPetのlauchin 2006年07月09日 18:04

こんにちは。
1行目から「すっごく見たい!」って気にさせてくれるレビューです。地元に来るかなあ!?
私もリーホンのよさをまだ知りません。メガネ姿をチェックしてみようと思います。

香椎さんは『リンダ、リンダ、リンダ』に出てた子?

3. Posted by 藍*ai 2006年07月09日 18:49

>現象さん、はじめまして。
香椎由宇はこの映画では、ほとんど演技らしい演技はしてないですよね。素の雰囲気をうまく監督が掬いとったって感じなのかな、と思っています。
最近日本映画の製作本数がやたら増えていて、完成してもなかなか公開が決まらないケースがけっこうあるらしいです。
タイアップのつくような派手な映画は別なんでしょうけどね…


>藍*ai さん、こんにちは。
暗い画面が多いので、出来ればスクリーンで見る方が良い作品だと思いますが、東京でもほとんど宣伝らしい宣伝も無くひっそりと公開されてる状態なので、拡大公開は難しいかも…残念ながら。
>リーホンのよさ
少なくとも、『MOON CHILD』や『拳神』よりは彼に似合う役だったと思います。
それに私はリーホンの声がすごく好きみたい。

香椎さんは『リンダ、リンダ、リンダ』の子です。
この映画の方が先に撮ってたんだそうです。

4. Posted by KEI 2006年07月09日 20:55

この記事にコメントする

名前
メール
URL
  • 情報を記憶:
  • 評価:

ページトップに戻る▲