トランスアメリカ

  • author: driftingclouds
  • 2006年07月31日

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Transamerica
監督・脚本:ダンカン・タッカー 2005 アメリカ

終了後のお手洗いの話題はもっぱら、主役を演じたのは女性か男性か、でしたよ。(笑)
演じたのはもちろん女性のフェリシティ・ハフマン。
悩んでしまうのもしかたないくらい“女性の心を持つ男性”を見事に演じてました。

女性になるための手術を間近に控えた、性同一障害のブリー(フェリシティ・ハフマン)
突然、かつて一度だけ関係を持った女性との間に出来た息子トビー(ケヴィン・ゼガーズ)の存在を知らされ(またか!)父親とは名乗らないまま、NYからロサンゼルスへ旅をすることになる…

つい、またか!と叫んでしまいましたが「突然、存在すら知らなかった子供が現れる」というシチュエーションは“30を過ぎた男性なら誰でも一度は考えること”らしいです。

もっともこの場合、ブリーは自分を女性だと思って生きてきたのですから”最悪の体験、記憶から抹消”したものを突然突きつけられるわけで、トビーのことも単なる厄介なお荷物としか思っておらず、早く片をつけて手術をすることだけ考えています。
あとから判るのですが、トビーは継父から虐待を受けていて、その反動からかまだ見ぬ実の父に対しては過大とも言える期待を抱いており、そのことがブリーの心には重くのしかかります。
自分が彼の望むような理想の父親ではないことは告げるに告げられず、しかし、だんだんトビーに対しては愛情を感じるようになっていく。
だけどもそれをどう表すべきなのか判らずに悩む姿は、可笑しくも切ないです。

印象的なシーンがあります。
途中、一夜の宿を借りるためにつてを頼って訪れた家では、ちょうど性転換した人達の集まりが開かれている最中。慌てて彼らを拒絶するブリーと、興味深そうに溶け込むトビー。
ブリーはトビーに言います。「あの人たちは自分を偽っているのよ」と、でも本当に自分を偽っているのは誰なの?と思うと悲しくなります。

一方トビーも、最初は単なるおせっかいなおばはんと思っていたブリーに対して、煙たがりつつもだんだん心を開いていき、ついには彼女のために何かしてあげたい、と考えるほどになります。

二人が旅の中で絆を築いていくところは、ロードムービーの定石ではあるんだけどやっぱりいいな、と思います。

だけど、実はいちばん重要なシーンが上手く処理しきれていないなぁ、と思ってしまったんですよ。
以下ネタバレ
ブリーが父親であることを知ったトビーはその事実に対応出来ず、姿を消します。
なのに「息子との関係をきちんと対処出来ないうちは手術の許可を出せない」と言っていたセラピストは、あっさり手術を受けさせるんですよ。なぜ???
その後手術が成功して、自分を悩ませていたもの(つまり男性器)が無くなっていることを確かめて安心するブリーの姿にほろっと来てしまうので、ついスルーしてしまうんだけど。


という点は気になるものの、二人が旅を通してあるがままの自分と相手を受け入れていくことを学んでいく姿に笑い、泣き、と監督の思うがままに操られる私なのでした。

同じトランスジェンダーの主人公ということで『プルートで朝食を』と比べてみると、お国柄の違い(あるいは宗教の違い?)みたいなものが見えて興味深かったりします。
もちろん監督の資質の違いでもあるので一概には言えないんだけど、やっぱりアメリカの方が保守的なのかも。

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419本目「トランスアメリカ」(2005年・アメリカ)

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