グエムル/漢江の怪物

  • author: driftingclouds
  • 2006年08月22日

137


監督:ポン・ジュノ(奉俊昊) 2006年 韓国

そういえば最近、新作の感想を全然書いていないことに気がつきました。で、いきなり公開前の作品です。
なので、ネタバレしないように控えめに…
ポン・ジュノは私が今もっとも新作を楽しみにしている監督の一人。でも、怪獣映画って、いったい……??と思ってました。

ソウルの中心を流れる漢江(東京でいったら多摩川とか隅田川みたいなもんかしら?)のほとりで売店をやっているパク一家。
ろくに店番すら出来ないダメ人間だけど中学生のひとり娘ヒョンソ(コ・アソン)だけは大切にしているカンドゥ(ソン・ガンホ/宋康昊)、アーチェリーの名選手だが、いつも最後の詰めが甘い妹ナムジュ(ペ・ドゥナ/斐斗娜)、一家でただひとり大学に行ったものの学生運動にハマったおかげでフリーター、しかも半ばアル中の弟ナミル(パク・ヘイル/朴海日)(『殺人の追憶』の犯人と疑われる青年)、一家の家長ヒボン(ビョン・ヒボン/邊希峰)(『ほえる犬は噛まない』のアヤシい警備員)とポン・ジュノ組(といってもまだ三作目だけど)勢揃い。
ある日、漢江から突然現れた怪物にヒョンソがさらわれてしまった!
警察や軍も当てに出来ないどころかかえって追われるような状態の中、ヒョンソを取り戻すためパク一家は立ち上がる…

う〜ん、すごいものを観てしまった。
私と同様に、ポン・ジュノで怪獣映画ってどうよ?とご心配の皆様、安心してください。
これはまぎれもなくポン・ジュノの映画ですとしか言いようがない。そして傑作。

冒頭、のどかな行楽シーンがあっという間に阿鼻叫喚の惨劇に変わるところの出し惜しみのなさに、本当に正統派怪獣映画をやる気なんだ!とまず度肝を抜かれる。
怪物の大きさ(小ささ?)ともあいまって、日常にいきなりやって来る恐怖というものをたっぷりと味わわせてくれる。
その後もいわゆるパニックもののお約束は外さず、しかしながら、わざと緊張感を削ぐかのごとく差し挟まれる脱力ものの笑いと、その笑いが凍り付く悲惨な展開。
あるいは笑いと恐怖の入り混じった何ともいえない気色悪いシーンの数々。
そして見え隠れする(というか今回はかなり露骨な)社会批判。などなど。
サスペンス、ホラー、コメディ、風刺、とすべての要素が渾然一体となったジャンル分け不可能な展開はまぎれも無くこの人の映画だ。
『ほえる犬は噛まない』や『殺人の追憶』が楽しめた人ならまず期待は裏切られないはず。

ところで、怪物が生まれるきっかけになる、漢江へのホルムアルデヒド大量垂れ流し事件は実際にあったことらしい。だからア○公は…(差別発言につき自粛)

ところで、どうしてもネタバレで知りたいことがあるんですけど…

最後に撒かれた黄色い粉末みたいなもので警察官とかデモ隊の人間は血を吐いて死んでた(?)たのに、パク一家だけは何ともなかったのはなぜ?
生き残ったのはカンドゥとあの男の子だけで、ナムジュもナミルも死んじゃったのだろうか?

最後のご飯のシーン、途中で一家が揃って食事をするシーン(ヒョンソは幻だが)が思い起こされてやるせなくなる。

トラックバックURL

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

グエムル-漢江の怪物-

「あのポン・ジュノが怪物映画」「しかもカンヌで絶賛」「怪物は魚の突然変異らしいが触手がついていた」「意外に小さいけど動きが素早いらしい」....などというウワサを聞いていたために、興味津々だった映画。意外と言うか予想通りと言うべきか、なかなかの傑作でした。 ...

  • [ 春巻雑記帳 ] 2006年09月07日 18:35

「グエムル 漢江の怪物」 小市民VS怪獣!

公開前から話題になっていた「グエムル 漢江の怪物」を観てきました。 初日初回の有

  • [ はらやんの映画徒然草 ] 2006年11月04日 13:42

この記事へのコメント

ポン・ジュノ節健在みたいですね。
「マイアミ・バイス」と同じ日に公開なので、どっちから観に行こうかと、贅沢な悩みです。

1. Posted by micchii 2006年08月22日 23:34

『マイアミ・バイス』はほっておいても”それなりに”入ると思うので、こっちを先でよろしく。
いわゆる“韓流”の人は観に来ないと思うので。

2. Posted by KEI 2006年08月24日 00:47

はじめまして。実はいつもこっそり遊びにこさせていただいていました。今日試写で「グエムル」を見てきました。
ありきたりな予定調和をぶち壊すポン・ジュノらしい傑作でした。

KEIさんが疑問に思われている点ですが、グエムルの血を浴びたり体液を浴びたりしたのは、カンドゥとあの男の子だけでしたよね。だから逆に黄色い粉末を浴びまくっても生き残れた、のかな?と。毒には毒を、みたいな感じでグエムルの血液や体液で免疫がついたのかも。
(的外れな回答だったらすいません)

3. Posted by けいこ 2006年08月29日 22:53 5

けいこさん、はじめまして。
同じお名前ですのね。なんだか不思議な感じ。

私もグエムルの血液や体液で中和されたのではないかと思ってました。ただ、グエムルはウィルスや毒は持ってない設定なので、そこんとこどうなのかな〜と。
まあ、わからないとダメってところでもないので、ご想像にお任せってことなんでしょうかね。

4. Posted by KEI 2006年08月30日 01:13

やっぱり、ポン・ジュノはポン・ジュノでした。
実は私も最後ナミジュとナミルがどうなったのか密かに気になってたんですが...カンドゥと少年はグエムルに中和されたということにしておきます。
途中でみんな揃ってカップラーメン食べるシーンが忘れられない...。

5. Posted by rivarisaia 2006年09月07日 19:02

rivarisaia さん
あのカップラーメンのシーンはラストに思い出すとキますよね…
ポン・ジュノの映画は、ちょっとしたシーンがあとからじわじわっと効いて来るのが多いです。

6. Posted by KEI 2006年09月07日 22:37

この記事にコメントする

名前
メール
URL
  • 情報を記憶:
  • 評価:

ページトップに戻る▲