ユナイテッド93

  • author: driftingclouds
  • 2006年08月27日

2b18bd95.jpg

United93
監督:ポール・グリーングラス 2006年 アメリカ

あの日は雲一つない抜けるような青空だった。
WTCで大きな事故があったらしいというニュースの中継中、目の前で2機目の飛行機が弧を描いて突っ込んでいったとき「うわ、なんて見事なんだ」と思ってしまったことを思い出す。
不謹慎だと思われるだろうが、あまりに強烈すぎ、理解しがたい光景で、現実のこととは到底思えなかったのだ。
あの青空はこの先も一生忘れることは無いだろう。

あのときハイジャックされた4機のうち、唯一目的地に達しなかったユナイテッド93便。
その中で起きた、とされていることを描いたこの映画もいささか複雑な気持ちで観た。

ここには無敵のヒーローも、完全な悪人も登場しない。
犯人たちも、他の乗客と同じように、恐れや不安を抱えていたのだと描く。
出演者は全員無名の俳優であり、手持ちカメラの不安定さも手伝って、さながらドキュメンタリーを見てるようで、緊迫したシーンでは乗客と一緒にその場にいるかのような気分を味わった。
演出はリアルで、抑制が利いており、いたずらに感情に訴えかけることも無い。
サスペンスとしては一級品だといえる。

ただ、忘れてはいけないのは、生存者がいない以上、飛行機の中で起こったことはすべてフィクションに過ぎないということ。
映像が迫真に満ちていればいるほど、そのことを忘れてしまうことに対して強い抵抗感を覚える。

非常に良く出来ている…と思いながらもあの事件をフィクションとして消費してしまうことは果たして正しいことなのだろうか、と。
もちろん制作者の意図としては、単なる娯楽映画として撮ったわけではないとしても。

これを取り上げるのに5年という歳月は適当だったのだろうか?
いまだ首謀者は逮捕されず、法廷で裁かれてもいない。
そして、なによりもこの事件を教訓に世界は少しでもマシなところになっただろうか、と考えると暗澹たる気持ちになってしまうのだ。

トラックバックURL

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

タイミング

 9.11のあの光景は今でも忘れられない。深夜だったか明け方だったか、テレビの画面に映し出された貿易センタービルの映像を見たときの感覚??  地元紙の映画評で★5つで紹介されていたので、これは見ておきたいと思った。土曜の最終回、人の入りも上々。ユナイテッド...

  • [ 藍*aiの雑想記 ] 2006年08月28日 15:45

この記事へのコメント

私も映画を見ながら、いろいろな意味で複雑な心境でした。

生存者がいない以上、すべてはフィクションという点、まさにその通りです。TBさせていただきます。

1. Posted by 藍*ai 2006年08月28日 15:44

>藍*ai さん
まだこの題材を平静な気持ちで観ることは難しいのでは、と思います。
O・ストーンの『ワールド・トレードセンター』も気になるのですが、さて…

2. Posted by KEI 2006年08月28日 22:52

同じく複雑な気持ちで観てきました。
ドキュメンタリータッチなのにもかかわらず、
生存者がいない以上、真実は永遠に分からないという
ジレンマみたいなものがどうしてもひっかかってしまうのかも。
それでも、ヘタな感動作品にしなかったところは評価したいと思いました。
O・ストーンの方は予告を見る限り...どうでしょうね。

3. Posted by rivarisaia 2006年09月03日 00:56

>rivarisaiaさん
いくらでも英雄話に出来るところを、敢えてしなかったことは評価に値すると思います。
O・ストーンの方は、映画の出来も気になるのですが、ニコラス・ケイジの激痩せっぷりも気になってしょうがありません。なぜ?

4. Posted by KEI 2006年09月03日 02:31

この記事にコメントする

名前
メール
URL
  • 情報を記憶:
  • 評価:

ページトップに戻る▲