『ぼくたちはここにいる(三個相愛的少年)』役柄チェック31

  • author: driftingclouds
  • 2006年09月27日

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監督:趙崇基(デレク・チウ) 脚本:杜國威(レイモンド・トー)
永高電影有限公司 1994年 香港 

阿九(葛民輝/エリック・コット)、如海(劉青雲/ラウ・チンワン)、花仔(黄子華/ウォン・ジーワー)は幼なじみで三人ともゲイ、一緒に部屋をシェアして住んでいる。
阿九は役者志望だが、生来のキャラが邪魔をしてなかなか役を貰えない。
花仔もシナリオライター志望で三級片製作会社で下積み生活。気が弱く自分の意見がなかなか言えない。
別れた彼氏に未練たっぷりでうじうじしている。
如海は広告代理店勤め。プレイボーイで、次々に男を変えては後始末は阿九まかせ。
ゲイであることを知られるのを恐れていつも一人で仕事をしていた。
ところが、あるプロジェクトで霍媚(呉倩蓮/ン・シンリン)と言う女性と組まされることに。
あれこれ悩みを抱えつつも楽しく暮らしていた三人だが、ある日、阿九がエイズに罹っていることがわかり…

香港では90年代の初めに法律が廃止されるまでは同性愛というのは違法でした。(以前、本で読んだのですがその本が見つからず記憶で書いています。)
西洋的な自由なものの考え方がある一方、儒教の道徳に縛られる部分も多い香港社会で同性愛者であることは、日本以上に困難なことだったんだろうと思います。
確か、レスリーがカミングアウトしたのがこのころ(もう少し前だったかも?)で、それ以降少しずつ人々の考えも変わりつつあり、香港でもエイズに対する理解を深めようとキャンペーンを行っているさなかに公開されたこの作品も大変な話題になったそうです。

そして、話題になったがゆえに困ったこともありました。
題材が題材だけに、世間の評判を恐れた会社が内容に介入してきたのです。
その結果、監督自身が”大っ嫌いなエンディング!”(Switch1996年11月号)と呼ぶ、如海と霍媚が結ばれるという、およそありえない結末が用意されました。
そのせいか、ラウちんの演じている如海というキャラは映画の中では浮き気味で、演技もいつものような生彩を欠いているように思えます。
キャラクターに一貫性が無いので、演じる方にも戸惑いがあったのではないでしょうか。

じゃあ、これが観る価値がない映画かというとそんなことは無いです。
その納得いかない結末さえ除けば、ほんとに素晴らしい映画ですから。

なんといってもこれは葛民輝の映画です。
いつも明るく、人を笑わせ、元気づけて他の二人の精神的支えになっていた阿九。その一方で実の親からは疎まれ、兄妹にすら会わせてもらえない哀しみ。そして、エイズ…
彼がテレビの公開番組でつい立ての向こうから顔を現し、ゲイだって人間だ!と叫ぶところは胸を打ちますし、最後のビデオレターの泣き笑いの表情は涙なくしては見られない、忘れがたいシーンです。

ああ、だからあの結末さえ無ければ!

さて、この映画、邦題がついていることからお分かりのように、日本でも「レズビアン・ゲイ映画祭」で上映されたあと一般公開されました。
たぶん日本のゲイの方々にも結末がそっぽ向かれたのか、成績は惨憺たるものだったようです。
そのせいかどうかわかりませんが、今までに一度もソフト化もテレビ放映もされたことがありません。
香港で出ていたVCD(私はこれで見ました)も廃盤です。
今では古くさくなってしまった描写(特にエイズ関連)もありますが、とてもいい映画だし、その時代背景も貴重な記録だと思うので、是非どこかでソフト化していただきたいと切に思うものであります。

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この記事へのコメント

KEIさん、こんにちは。阿安です。
ブログの方にもお越し下さり、ありがとうございます。

これ、見たかったんですよ〜♪
やはりもう廃盤ですか……惜しいです。香港ものは見た時買わねばだめですね。

来月、子華の舞台を見に香港へ行きます。この調子じゃ破産しそう……いや、行ける時に行かなければ……香港ものだから。

1. Posted by 阿安 2006年09月27日 16:28

>阿安さん

そうなんですよ。でも、まだ中古屋探せば見つかるかも。前に信和で見ましたよ。

>子華の舞台を見に香港へ
おお、すばらしいー
私は言葉がぜんぜんわからないので、舞台はあきらめてます・・
>行ける時に行かなければ
私もいつも自分にそうやって言い訳を・・

2. Posted by KEI 2006年09月28日 12:52

初めまして。以前よりよく拝見しています。
うれしくなってコメントしてしまいました。これは字幕翻訳の仕事を始めたばかりのころに手がけた思い入れのある作品です。ソフト、出ていませんよね。私もラストは納得できませんでしたが、大好きな作品で、エリックもジーワーも青雲もシンリンも、とてもよかったです。

3. Posted by hoisam 2006年10月04日 02:50

hoisamさん、はじめまして。
おお、字幕をされたのですか。御本人に描き込んでいただくとは感激です。
残念ながら私は字幕版を見られていないのです。ソフト化の予定は無いんでしょうかねぇ。

4. Posted by KEI 2006年10月05日 01:30

今頃遅レス、すみません。

UP時に見た時は、ピンと来なかったのですが、エリック・コットで検索をかけていたら、出てきたので。

冷静に考えると(冷静になってどーする)、すごいツボなメンバーです。
是非みたいー、って、ないんですね。
残念です。

hoisamさん字幕ですか。
これだから、映画祭は絶対見逃せない。

5. Posted by 多謝。 2006年10月28日 15:00

>多謝。 さん
全然、かまわないんですのよ。
というか、こういう作品はどんどん埋もれていってしまうので、いつか、誰かの役に立つかもしれない、という気持ちで記録しています。
なので、昔のup分にコメント、大歓迎ですよん。

VCD、まだ2、3年前までは買えたので、どこかの店の片隅に埋もれているかも…
ほんとは字幕付きをソフト化してくれればいちばんなんですけどね〜

6. Posted by KEI 2006年10月30日 00:56

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