サンキュー・スモーキング

  • author: driftingclouds
  • 2006年11月30日

177

Thank You for Smoking
監督:ジェイソン・ライトマン 2005年 アメリカ

タバコ業界のロビイスト、ニック・ネイラー(アーロン・エッカート)
彼は巧みな話術と情報操作で日々厳しくなるタバコ業界への風当たりと闘い続ける。
だが、あることで窮地に陥った彼は…

かなりブラックジョークの効いた、辛口エンターテインメントです。
周囲の評価でコロコロと態度を変える上司や、目的の為になら手段を選ばない女性記者(ケイティ・ホームズ)、怪しげな映画プロデューサー(ロブ・ロウ怪演!)、MODS特攻隊と名付けられた仲間たちなどの戯画化された人物たちとのエピソードを交えながら、テンポ良くニックの活躍を描いていきます。
背も高く、ハンサムなアーロン・エッカートはこういう役にはうってつけの人物ですね。どことなく、うさんくささが漂うところも。

普段、ほぼ感覚と思いつきだけで生きているので、倫理的思考とか議論とかいうのが非常に苦手です。
だから、ここで示される論理のすり替えや、誘導の方法をやられたら、間違いなく感情に走って自滅するタイプ(この映画におけるウィリアム・H・メイシーのように)です。

この映画の中で、度々「自己判断」という言葉が出て来ますけど、これほど曖昧で危うい言葉もありません。
人は自分の頭で考え判断をしているようでも、完全に独立した考えをもつことはほぼ不可能で(世間から隔絶した暮らしをしてれば別だけど)知らず知らずのうちにイメージや他人の言葉に影響を受けているものです。

この映画では、どうやって人々の感情を操り、思う通りに誘導していくかのテクニックが描かれています。
我々が普段、いかにそういうテクニックに嵌って操作されているか、それを考え始めるとどうにも落ち着かない気持ちになってきます。

まさに、監督の狙いはそこにあるのだろうと思うのですけどね。
別にニックの活躍を描こうというわけでも、タバコを糾弾しているわけでも、反対派を揶揄しているわけでもなく、日々溢れかえる情報やイメージに流されやすい私たちに警鐘を鳴らしているのだと思いました。

劇中、かなりのウェイトが置かれる息子とのエピソードだって、ニックのイメージを良くする為のテクニックだったりして…と考えてしまうのは、私がひねくれ者だからですかね…?

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  • [ 藍*aiの雑想記 ] 2006年12月01日 12:56

この記事へのコメント

>劇中、かなりのウェイトが置かれる息子とのエピソードだって、ニックのイメージを良くする為のテクニックだったりして…

おお、そこまで考えましたか。さすがです。TBさせてくださいませ。

1. Posted by 藍*ai 2006年12月01日 12:54

>藍*ai さん
TBありがとうございます。
論理が苦手な分、こういう人を見ると本能的に身構えてしまう傾向がありまして…深読みのし過ぎかな。

2. Posted by KEI 2006年12月01日 23:38

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