硫黄島からの手紙

  • author: driftingclouds
  • 2006年12月22日

Letters from Iwo Jima
監督:クリント・イーストウッド 2006年 アメリカ

どうもイーストウッドの映画は感想が書きにくくて…
いちばんの理由は私の筆力が足りないということなのだけど、彼の映画というのはなんと言うか、ストイックなところがあって、私のような感覚でしか文章を書けない人間にはそういう部分を表現するのが非常に難しいのですよ。

硫黄島二部作の後編である本作もそういうストイックさを持っているのですが、しかし、西郷(二宮和也)という視点を入れることで『星条旗』よりはずいぶん見やすくなっています。
栗林中将(渡辺謙)やバロン西(井原剛志)を悲劇の英雄として描くのではなく、一兵卒の目を観客の目とすることで戦争の虚しさがより強く感じられるように思います。
そんな重要な役を演じる二宮くん、最初彼が重要な役を演じると聞いた時にはかなり不安でしたが、いや〜良いではないですか。

最初のちょっといい加減な若造(このキャラクターと口調が、やや現代ぽいのが気になると言えば気になりますが、許容範囲でしょう)が、仲間の死を目の当たりにするうちにだんだんと変化していく様を見事に演じきっています。
もちろんイーストウッドの演出あってのことだと思いますが、それに応えられた彼も素晴らしい。

ジャ○ーズもそうバカにしたものでもないってことですね。そういえば『花よりもなほ』の岡田くんも良かったものね。イメージを悪くしてるのはアイツか…

閑話休題

日本側の「玉砕」の強要という裏の面、精神主義の馬鹿馬鹿しさを描く反面、「面倒だから」という理由で捕虜を射殺するアメリカ兵をさらりと描いてしまえるところ、やはり並大抵のことではない、と思います。
どちらにも正義なんかない、まっとうな人間がまっとうでいられなくなるところが戦場なのです。

それにしても、外国人であるイーストウッドがここまで見事な『日本映画』を撮ってしまったことには心底驚きました。
『ラスト・サムライ』ではあった、いくらかの違和感もこの映画ではまったく感じることがありませんでした。それどころか、最近のいい加減な考証の日本映画より遥かにきちんとしたリサーチがされていると思います。

『星条旗』と『硫黄島』これはどちらが優れているとかではなく、片方がもう片方を補いあって成立している、そしてまさしく今、この現在に見られるべき作品だと思います。

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  • [ soramove ] 2007年01月08日 10:42

この記事へのコメント

二宮君はあの時代に現代っ子が放り込まれたみたいな感じで、それが逆に戦争を知らない世代にはすんなり映画に入っていける要因になっている気がしました。会社の前に高校があるので帰る時バスに大勢高校生が乗ってくるんだけど、「硫黄島からの手紙」の話をしている子が最近多いんですよ。観た子がみんな観ていない友達に「絶対見た方がいいよ、すごく衝撃を受けて終わっても暫く立てなかったし、色んなこと考えさせられるから」なんて熱っぽく語ってます。

1. Posted by KIKI 2006年12月22日 11:15

確かに高校生にとっては、二宮くんのキャラクターは入り込みやすいですよね。
私の知り合いの子(20代)も、「二宮くんが出てるから観たい」と言ってましたけど、硫黄島がどういうものかは全然知りませんでした。
彼目当てでも良いから、若い人がもっと観てくれるといいと思います。
万が一戦争が起きたら戦場に行かされるのは彼らなんだし。

2. Posted by KEI 2006年12月22日 22:15

こんにちは。
大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。
映画「硫黄島からの手紙」もとりあげています。
よかったら、寄ってみてください。

http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611

3. Posted by kemukemu 2006年12月29日 19:48

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