スローターハウス5

  • author: driftingclouds
  • 2007年05月23日

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スローターハウス5
文庫版のイラストって映画のイメージを描いたものなのだって今頃気がついた。
Slaughterhouse-five
監督:ジョージ・ロイ・ヒル 原作:カート・ヴォネガットjr. 音楽:グレン・グールド
1972 アメリカ

と、いうわけで続きです。ドレスデン爆撃といって思い出すのはやはり、この作品なので。
原作者のカート・ヴォネガットは先日84才で亡くなりました。
この時に追悼として書こうと思っていたのですが、時機を逸してしまいました。
そういう人はたくさんいると思いますが、私も彼の小説を通して物の見方、人生に対する考え方には多大な影響を受けたと思っています。
”そういうものだ”(so it goes.)は座右の銘として心に刻まれています。

彼は第二次世界大戦中、捕虜としてドレスデンの街で大空襲を経験しました。それが彼の作家としての原点であった…というのが大方の定説となっています。
その彼自身の体験を織り込んで書かれた『スローターハウス5』は当時(1969年)ほとんど知られていなかったドレスデン爆撃を初めて描いたとして話題になりました。

そして、『明日に向かって撃て!』が大ヒットして、スタジオから何でも好きなものを撮っていいと言われたジョージ・ロイ・ヒルが選んだのがこの小説の映画化だったのです。
出来上がった映画を観て、会社の重役たちは「わけがわからん!」と頭を抱えたと言われています。
興行成績もぱっとせず終わってしまいました。
しかし、この作品はカンヌ映画祭で審査員賞を受賞、原作者のヴォネガットが「自分の小説よりも良く出来ている」と評したこともあり、いまだにカルト的人気を得ています。

主人公のビリー・ピルグリム(マイケル・サックス)は、第二次大戦のドイツの戦場、捕虜としてドレスデンの爆撃に出会う、戦後、事業家として成功した生活、トラルファマドール星の動物園での生活、自分自身の死などなど…の場面を名前の通りの巡礼者(ピルグリムという名は“巡礼者”の意味)として様々な場面に立ち会うことになります。
戦場に居たかと思えば、次の瞬間にはトラルファマドール星にいる、というようにあちこち時間と空間が飛ぶので何も知らずに見るとかなり混乱するのではないかと思いますが(そういえば、映画ではトラルファマドール星人についての説明が何も無いのでした)原作もそうなので、そういうものだ、と思っていただくしか。
ドレスデン爆撃のことは、ビリーが体験することの一部としてさらっと(実際、再現するのは当時は予算的にも技術的にも難しかったと思われ)描かれるに過ぎないのですが、にもかかわらず人間の不条理と愚かさの象徴として深い印象を残します。

とにかく、どういう話なのかということを人に説明するのがヒジョ〜に難しい作品なのです。
強烈なシニシズムとペシミズムに彩られながら、なおかつ希望に満ちているという、そういう作品、て何の説明にもなってませんね
そして、映画と小説から受ける印象がほとんど変わらないという希有な作品でもあります。

映像も大変美しい…と言いたいところですが、私の持っているのは大昔に衛星放送を録画したビデオをDVDに焼いたもので、あまりにビデオが古かった為か、DVDに焼く為にHDに移すという作業をした直後にテープが切れました…orz
当然ながら映像もボロボロのノイズだらけです。それでも貴重な録画なので手放せません。
頼むから、DVD出してくれ〜!

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この記事へのコメント

いまだ未見ですが、ヴォネガットもホメてるうえに、あの小説がどういうふうに映画になっているのか気になります。

近所のビデオ屋を片っ端から探すしかないですね。
DVD出ないかしら〜。

1. Posted by rivarisaia 2007年05月24日 22:47

>rivarisaiaさん
トラルファマドール星のセットがちゃちなのはご愛嬌として、ほぼ小説に忠実な映画化かと。
あ、でもキルゴア・トラウトとかは出てきませんけど。
ボロボロの映像で良ければ、今度お貸ししますよん。
でも私もDVD出して欲しい…

2. Posted by KEI 2007年05月25日 21:18

なつかし〜!アメリカだと2005年にDVDが再販されているみたいです。最初に見たのは、ていうか兄に強制的に見させられたのは日曜洋画劇場とかだった気がします。

3. Posted by KIKI 2007年05月26日 00:10

>KIKIさん
ほんとだ、
http://www.amazon.com/Slaughterhouse-Five-Michael-Sacks/dp/B0001FVDGY/
しかも、ちゃんとワイド版なんですね。
やはり知名度の差か。いいな〜

4. Posted by KEI 2007年05月26日 22:47

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