女帝

  • author: driftingclouds
  • 2007年06月10日

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夜宴
監督:馮小剛(フォン・シャオガン) 2006 中国

「ダサ邦題に抵抗する会」としては『女帝』まではなんとか百歩譲って目をつぶるとして、それを「えんぺらぁ」と読ませるのには断固抵抗しますよ。
なんで『夜宴』じゃいかんのだ?

シェイクスピアの『ハムレット』を翻案にした愛憎劇ですが、物語の中心はハムレットに当たる王子ウールアン(呉彦祖/ダニエル・ウー)じゃなくて、先王の王妃であるワン(原作でのガートルード)(章子怡/チャン・ツーイー)になっています。
それでタイトルが『女帝』とは微妙にネタバレじゃんかよ〜と、また文句を言ってみる。

ワンはウールアンとひそかに愛し合っていたのですが、彼ではなくて、父王に娶られてウールアンとは義理の親子になっています。
で、先王が弟(葛優/グオ・ヨウ)に殺されて、さらに跡取りのウールアンにも暗殺の手が及んだのを救う為に王弟の妻になることを承知する…ってさ、これ公式サイトのストーリーあらかじめ読んでないとわかんないんですけど〜?
別にくどくどと説明描写をしろってことじゃなくて、映画を観ていくうちにだんだんとにそういう事情が観客に飲み込めるように作られていないのよ。
だって、登場人物の感情の動きがまるで伝わってこないんだもの。

劇中で印象的に使われている仮面劇に習って、わざと表情をあまり見せないようにして、様式によってその影にある複雑な感情を表現しようとしたのかと好意的に解釈してみても、その内に秘めた感情が観客に伝わらなければだめだよね〜と。
もの言わぬ文楽の人形でも複雑な感情を表現することは容易なのに、俳優の肉体を使っても感情に説得力を持たせられないのは、明らかに演出力不足。

つい先日公開されたアンディの『天下無賊(イノセントワールド)』は見逃してしまったのですが、監督はどっちかと言えば『天下無賊』のようなコメディが得意だそうで、こういう愛憎劇は慣れてないんだろうな。

自分のワガママの為に周囲が破滅、みたいな役をやらせたら天下一品のツーイーもこういう役を演じるには、貫禄も、もごもご…も足りないかな〜
彦祖は、役がそもそもまったく人形みたいな役で、原作に居るから(てか主役だけど)とりあえず出しとけ、って感じで気の毒でした。
一番安定感があったのはやはり葛優(グオ・ヨウ)ですね。
彼も欲しかったのは権力なのか、王妃だったのか今ひとつ判らないキャラですが、最後の「お前がくれた杯ならば、飲まないわけにはいくまい」と言うところの表情なんかは、恋する男の純情(爆)に溢れてました。
一番のもうけ役だったのが周迅(ジョウ・シュン)ですかね。彼女だけは、一途にウールアンのことを想い続けるという真っ直ぐでわかりやすいキャラだったからね。
彼女の兄を演じた黄暁明(ホアン・シャオミン)はやっと名前と顔が一致しました、確かにカッコいいですね〜役柄はアレでしたけど。

ま〜その、製作時期や内容が似てた(どっちも壮大な家庭争議の果てに人がいっぱい死ぬ)こともあって、なんだかんだと張藝謀の『満城盡帶黄金甲』と比較されていたわけですが、黄金甲は黄金甲でいろいろ言いたいことはあるものの、ワイヤーワークなどのケレンの使い方といい、どろどろ情念の表現といい、やはり藝謀のほうに一日の長があるなと思ってしまいました。

そもそも『夜宴』の場合ワイヤーワークを入れる意味がまったく感じられませんでしたよ。
中国映画が国際マーケットを意識すると、なんで猫も杓子もワイヤーワークと豪華なセット&衣装になってしまうのか。正直もう飽きられてると思うよ。(その意味では『赤壁』が心配…)
それぞの個性を活かしたバラエティに富んだ映画を作るほうが、よっぽどいいと思うんだけど。

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