子猫をお願い

  • author: driftingclouds
  • 2004年08月15日

koneko



冒頭、制服を着た5人の少女たちがはしゃぎながら写真を撮っている。
高校を卒業したばかりの彼女たちは、自分たちの友情が永遠だと信じて疑わないように見える。
それから一年後の物語。

おそらくは誰しも経験があるように、学校という差異を覆い隠してくれる枠が外れたときにあらわになる環境の差が彼女たちの関係を変えていく。

一流企業に就職したヘジュ(イ・ヨウォン)はなにかにつけて自分の成功を自慢し、仲間を見下したような態度を取る。
反対に仕事先が閉鎖され、失業中のジヨン(オク・ジヨン)は両親もいないため再就職もままならない。グラフィックデザイナーを夢見、こつこつデザイン画を描いているが、現実は否応無くのしかかってくる。
学生時代、一番仲の良かった二人の間は仲が良かった分だけ険悪になっていく。
テヒ(ペ・ドゥナ)は調整役として、なんとか以前の関係を保とうとする。
のほほんとしているように見えるテヒも家業の手伝いをしてみたり、詩人の口述筆記のボランティアをしてみるものの、自分が何をしたいのかわからない。

彼女たちの道が分かれていってしまう様子を、突き放すでもなく、かといってノスタルジーに浸るのでもなく、淡々と、自然な感情を細やかに掬いあげていく演出が秀逸。

特に、5人の少女たちの表情がどれも本当にリアルだ。
ヘジュは自分で気がついている、高卒の自分には今より重要な仕事が与えられることが無いであろうことを。
だからこそ、仲間の前では精一杯虚勢を張ってみせるしか無い、そのもろさが痛々しい。
ジヨンの、あまりの現実の辛さに押しつぶされそうな哀しい顔も、テヒの、のほほんとしているようで、迷い、悲しんでいる表情も、一番現実に適応しているように見える双子の姉妹にふと垣間見える複雑な顔も、そのどこにでも自分をみるようで、自分のことを見透かされているようで。

たぶん男性よりも女性の方が、よりその度合いは大きいような気がする。
私は、映画の最後の方でテヒが取るある行動が、あまりにも身につまされてしまい、胸が痛くなってしまった。

ハッピーエンドとは言いがたいラストも「たとえあなたが斧で人を殺したとしても、私はあなたの味方だよ」と言ってくれる友がいるのなら、希望はあると思いたい。
何しろ、彼女たちはまだ二十歳なのだから。

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