ユー・シュート、アイ・シュート(買凶拍人)

  • author: driftingclouds
  • 2004年11月03日

彭浩翔(パン・ホーチョン)の長編第1作。

香港でも景気が後退し、皆が不況に喘いでいる。殺し屋のバート(葛民輝 エリック・コット)も例外じゃなく、仕事を片付けて依頼料を取りにいってみれば、代金が払えないから自分を殺してくれと言われる始末。
家では止まらない妻の浪費癖にも悩まされ、しまいには自ら売り込みをかけるはめに陥る。
やっともらった依頼は「自分との情事の現場をビデオに撮りAVとして売り出した相手を殺して。それも、奴が死ぬ様子をビデオに撮ってちょうだい。苦しむところを見たいの。」というもの。
しかたなく、片手にピストル、片手にビデオで依頼を果たしたものの、ビデオはブレブレ、依頼人はおかんむり…「もう一人販売した奴も殺ってほしいのよ、今度は失敗は許さないからね!」と、いうわけで悩んだバートは「そうだ!誰かを助手にして撮影させればいいんだ」と思いつく。
そしてまんまと捕まったのは、酒場でマリファナを売ろうとしていた気の弱そうな男 阿全(張達明 チョン・ダッミン)
実は阿全はNYで映画を学びマーチン・スコセッシを師と崇めるも、チャンスを掴めず三流AVの助監督をやっている男だった。
初め映画の撮影だと思い大喜びの阿全、立ち位置や光線など細かく指示を出すのだが、実際の殺人だと知り真っ青…
しかし、せっかくの自分の作品だ、と思い直し「香港映画はこれ(編集作業)がいい加減だからダメなんだ」なんて台詞を吐きながら徹夜作業で仕上げた作品(?)は依頼人に大好評、評判が伝わり二人の元には仕事が次々と舞い込むようになる…

英語の"shoot"には"撃つ"の他に"映画の撮影をする”という意味があり、英語タイトルはこれを掛けているわけですね。
んもう、好き好き。
メルヴィルの『サムライ』のアラン・ドロン扮する孤高の殺し屋に憧れるも、妻や義父母に振り回され、別の意味で哀愁が漂ってしまうバートと、せっかくNYで映画を学んだのにもかかわらず、助監督とは名ばかりの雑用係に甘んじている阿全、エリック・コットとダッミンの、どちらもどう転んでもカッコ良くは決められそうにないおとぼけキャラ(ファンの人スマソ)が笑わせてくれます。
そして、随所に挟み込まれる香港映画界への皮肉と(これ重要)に満ちた台詞の数々。
一番笑ったのはやはり「香港で学んだことが一つある、それは『追加撮影』だ。NYでは教えてくれなかった」とそれに続くシークエンスでしょうか。
そして強引に飛ぶ白い鳩!(「なんでこんなところに鳩が飛ぶんだ」の台詞に思わず『ペイチェック』思い出しちゃったよ…)
登場する黒社会の皆様が”いつもの人たち”なのにも笑いました。香港にも悪役商会みたいなものがあるんだろうか?

『大丈夫』ももちろん良かったんだけど、私はこちらのほうが断然お気に入りです。
会社早退して観に行ったかいはあったよ〜

と、いうわけで彭浩翔(パン・ホーチョン/別名エドモンド・パン)という名前はこれから注目しておくことに決定。
今回見逃した「ビヨンド・アワ・ケン(公主復仇記)」は日本公開があるらしいので楽しみ〜

余談:映画の中の阿全はたぶん20代後半ぐらいの設定だと思うのですが、張達明ってそんなに若くないよなぁと思い調べてみたら、なんとラウちんと同じ年(40歳!)でした。恐るべし、香港明星。

余談その2:映画祭で観た5本の映画中(除く短編)3本に林雪(ラム・シュー)が出てました。2本は60年代の映画だから現代の作品にはすべて林雪(ラム・シュー)が出ていたことになるのね。
何が起きているんだろうか…?

これで映画祭レポートは終わり、通常営業に戻ります。
まただいぶ溜め込んじゃったなぁ……………

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