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☆☆★ 監督:武内宣之

<紹介>
 1993年フジテレビ制作のテレビドラマをシャフトがリメイクしたアニメ映画。小学生の典道と祐介は仲の良い友達だが、実は2人とも同級生のなずなの事が好きだった。しかしなずなの両親が離婚し、彼女が母親に引き取られて2学期から転校することになっているとは、2人には知るよしもなかった。親に反発したなずなは、プールで競争する典道と祐介を見て、勝った方と駆け落ちしようとひそかに賭けをする。勝ったのは祐介か? 典道か? 勝負のあとから、異なる2つの物語が展開する。(Wikiより転載)

<感想>
 この映画を見終えて最初に出てきた感想は・・・「よく分からなかったな」です。何かを伝えようとしたことがあるのはわかったけど、それを理解することはできなかったなと。そしてレビューサイトに行って、「あのガラス玉を最後おっさんが打ち上げたことで、ガラス玉によって現れた架空の世界が砕けた」というのを聞いて納得したし、何を伝えたかったのかわかった気がした。
 あの花火というのは、ガラス玉によって作り出された架空の世界が本物でないことを気づかせてくれる存在で、主人公それに違和感を感じつつも架空の世界を楽しんでしまうが、最終的にそれはすべて幻想で消えてしまうというお話。さて、こう書くとこの作品によく似た作品が一つ思い浮かびます。それは「涼宮ハルヒの憂鬱」です。涼宮ハルヒは自分の無自覚かつ無意識に思い通りの世界を作ることができて、1巻の最後(アニメ1期の最後)ではキョンとふたりだけで新たな世界に行ってしまいかけるという話によく似ています。この2つの作品の大きな違いは最後にハルヒは一応自分で元の世界を選びます(いろいろな解釈がありますが、世界を作り直せるのはハルヒだけなので、ハルヒが選んで戻ったのは確かでしょう)。でもこの作品はもう途中から主人公がなんでも思い通りにやり直せるガラス玉に完全に頼るようになり、最後にガラス玉が打ち上げられ幻想を砕いたのも主人公ではなくおっさんです。すなわちこの主人公は幻想に逃げてしまっているのです。そして最後まで成長しないままです。そして幻想が砕かれた結果、最後のシーンで主人公はいなくなっています。主人公がどうなったかは見る人に委ねているのだと思われますが、元通りの世界で主人公だけはいなくなったところにメッセージ性を感じる気がします。
 この作品で言いたかったことは、
①ささいなことでも行動してみれば、未来を変えることはできる
②あのとき「ああしてれば良かった」などといくら後悔しても、どうにもならない
③過去を振り返って妄想ばかりしていると、そうならなかった現実に耐えれなくなってしまう
ではないかと思う。まあ要するに過去を振り返ってないで今を頑張れってことです。①はやり直すたびにちょっとの選択の差で未来が変わったことから、②は最後に幻想が砕けてしまったことから、③は最後に主人公がいなくなったことから、表現したんじゃないかと思います。ここまで考え手思い返してみたらこの映画けっこう良く出来てると思います。

 さて、この映画レビューサイトに行くとわかりますが、酷評のオンパレードです。酷評している人の意見はだいたい5つで、①わからない、内容がない ②主人公とヒロインの演技がひどい ③無駄にエロくて不快 ④原作とぜんぜん違う ⑤「君の名は」の二番煎じ と言った感じです。
 見てて残念に思うのは①です。この映画ははっきりいってわかりにくいです。それは明確に作った側の責任です。こういう映画の擁護派はよく「国語力がないバカにはわからない」などと言いがちですが、映画は国語のテストではないので、わからなかった人を非難するのは見当違いだと思います。あえて語らないことで深みを出すと言うのは好きですが、分かりやすい方が誰が見ても楽しめることは確かです。しかしながら、「わからない=内容がない」と決めつけてしまう人が多くいるのは非常に残念でならない。わからなかったら、「良さがあるんだろうが、それを理解できなかったので楽しめなかった」と解釈して欲しいと思う。もちろん世の中の本当にわけがわからない作品もあるし、内容がない作品もあまたあるけど、この作品がそうだとは思わない。
 ②については・・・そのとおりだと思います。まあ人気声優使えばいいってもんじゃないけど、少なくとも餅は餅屋に任せれば良いんじゃないかな。
 ③については、「制作シャフトだよ?」と言いたいが、非オタからしたら「そんなの知らねえよ」だと思う。でもエロいってそんなに悪いことか?思春期で少しずつ大人に近づいていく中学生二人が駆け落ちする話で、少し背伸びしようとするヒロインを色っぽく描くことの何がおかしいんだろうか。特にこの作品は基本的に主人公側から描かれてるわけだし。
 ②③に関して思うのは、この映画は誰向けなのかってことがポイントだと思う。この映画そこんとこがはっきりしない。オタク向けの絵柄と演出なのに、使った声優は広瀬すずと菅田将暉ってそこにねじれが生じてると思う。
 ④に関しては、原作見てないのでわからないです。
 ⑤に関しては、最も見当外れ。世に過去に行く作品は沢山あるのに、それをひとくくりにしたら「君の名は」だって他の作品の二番煎じだし、それに「1人だけが過去の世界に行く作品」と「世界そのものが巻き戻る作品」はだいぶ違うでしょ。

 こんな感じです。最後にこれはもはや憶測なんだけど、もしや思った以上に世間に人ってグッドエンド好きで、だからこそこういう終わり方が納得出来ないかなと思ったりした。例えばこの分かりにくさを内包したまま、主人公とヒロインが結ばれるハッピーエンドになったら、みんな「感動した!」っていうのかなあ・・・。バッドエンドや本作のような「何も解決しないエンド」ってウケが悪いのかなって。非グッドエンドが好きな自分から見れば、この映画そこそこの出来だと思うんだけど。