June 06, 2007
最近気に入っている本

子供のアセスメントをしていて、一番多いリファーラルがADHDもしくは他の精神疾患(不安神経症、抑うつ、PTSD、広汎性発達障害など)の鑑別だ。これは両方見られる場合もあれば、全く違う場合もある。
どちらにしろ、それらの症状の差を把握し、心理テストや面接で得たデータを証拠としながら鑑別していき、それを分かりやすいように保護者、セラピストや教育者に説明する必要がある。 この説明が以外と難しいな、と時々感じる。というのも、心理用語や概念は必ずしも一般的ではないから、それを分かりやすいように、かつ日常の場面で理解できるように説明しなければならない(それは子供のクライアントをもつセラピストの場合も同じことだろう)。
去年Kids in the syndrome mix of ADHD, LD, Asperger's Tourettes, Bipolar, and More! という本を、ワークショップで紹介されていて興味を持ったので購入したのだが、購入してから使用度がかなり高い。ADHD,学習障害、アスペルガー、トゥーレット症候群、両極性気分障害(あとは不安神経症、OCD、ODD、非言語性学習障害、そして感覚統合機能不全なども)など、同時に見られることの少なくない疾患や障害について分かりやすく説明されている。
特にADHDの章がとても分かりやすく説明されている。挿絵で、ボートに乗って魚釣りをしている男の子の絵があるのだが、その絵のすぐ右隣に、全く同じ絵なのだが、そのボートの少し先に滝がある絵がある。 右の絵が現実だとすると、ADHDの子供の多くは左の絵である。一寸先の現実を察知できていない、つまり彼らにとって大切なのは「今、この瞬間」で、それのみに焦点があたった考え方をしている、というADHDの子供にありがちなメンタリティがかなり分かりやすく説明されている。
和訳はされていないと思うのだが、最近のお気に入りの一冊なのでこの場を借りて紹介しておこうと思う。
February 09, 2007
心理学研究をベースにした子供のためのゲームサイト
Magination Pressという、子供のメンタルヘルスをサポートする絵本や読み物を出版している会社がある。1997年に米国心理学会に買収されたとのことで、現在は米国心理学会のサイトからアクセスできるようになっている。
個人的にも興味があるので、足繁く訪れているのだが、ちょっと前に、kidspsychという子供向けのゲームサイトが出来ているのに気がついた。
実際の心理学研究の結果や理論を基盤とし、子供の様々な認知能力(想像力や問題解決能力なども)を促進できるように作成してあるらしい。
1歳〜5歳、6歳〜9歳と2つのパートに分かれている。
キャラクターのセンスと音声が実に微妙な感じをかもしだしているのだが、大人でも意外と楽しめるので(私も思わずOochina on the farmで熱中してしまった)、親子でチャレンジしてみるといいかもしれない。
個人的にも興味があるので、足繁く訪れているのだが、ちょっと前に、kidspsychという子供向けのゲームサイトが出来ているのに気がついた。
実際の心理学研究の結果や理論を基盤とし、子供の様々な認知能力(想像力や問題解決能力なども)を促進できるように作成してあるらしい。
1歳〜5歳、6歳〜9歳と2つのパートに分かれている。
キャラクターのセンスと音声が実に微妙な感じをかもしだしているのだが、大人でも意外と楽しめるので(私も思わずOochina on the farmで熱中してしまった)、親子でチャレンジしてみるといいかもしれない。
February 04, 2007
永遠の愛は可能か?
今月のMonitor on Psychology(米国心理学会の機関紙)で、恋愛に関する特集をやっている。その中で興味深い記事があった。
The Eternal Question:Does Love Last? なんていうキャッチーな題である。
愛情というと、SternbergのTriangular Theory of Loveの理論が有名である。恋愛には3つのコンポーネント、つまり情熱(Passion)、コミットメント(Commitment)、親密さ(Intimacy)があり、様々な恋愛の形をそれらの組み合わせで大まかに7つの形に分類できるというものである。
さて、記事だが、情熱的な愛情というのは、一般的に命が短く、数ヶ月から数年で減少していくのが常らしく、様々な研究による実証されているようだ。通説では、情熱的な愛情が下火になるとともに、Companionateな愛情、つまり仲間意識的な愛情は育っていくとされているのだが、どうもそれも時間と共に減少するようだ。それがすべてのケースにあてはまらないようだ、ということは研究者たちも言っているようだが。
さて、今回私が面白いと思ったのは、この記事のオチの部分に記してあった、Sternbergの「愛情とは物語を語るもの」という部分だ。彼の説では人間は恋愛「物語」に強い興味を示す傾向にあり、また自分自身の恋愛観も「物語ベース」で捕らえている人が多いのだという。自分の著書Love is a Story(邦題:「愛とは物語である」)を大学生、大学院生に読ませ、どの「物語」に一番共感できるかを調べたところ、カップルが持続するのはどのような内容の物語を選んだかではなく、二人がそれぞれ選んだ物語が一致している、というところにあったらしい。
それは恋愛観の一致ということにつながるので、まあそうなんだろうな、と考えられる。それはやはり、カップルセラピーを行うとき、よく気づくところに、パートナー同士の価値観やお互いへの期待のズレ、感情・愛情表現の違いなどがあるが、この「恋愛観」もあなどれない要素なのではないか。おそらくそれはリレーションシップという航海において使用する方位地図のような役割を果たすからなのではないかと思う。
The Eternal Question:Does Love Last? なんていうキャッチーな題である。
愛情というと、SternbergのTriangular Theory of Loveの理論が有名である。恋愛には3つのコンポーネント、つまり情熱(Passion)、コミットメント(Commitment)、親密さ(Intimacy)があり、様々な恋愛の形をそれらの組み合わせで大まかに7つの形に分類できるというものである。
さて、記事だが、情熱的な愛情というのは、一般的に命が短く、数ヶ月から数年で減少していくのが常らしく、様々な研究による実証されているようだ。通説では、情熱的な愛情が下火になるとともに、Companionateな愛情、つまり仲間意識的な愛情は育っていくとされているのだが、どうもそれも時間と共に減少するようだ。それがすべてのケースにあてはまらないようだ、ということは研究者たちも言っているようだが。
さて、今回私が面白いと思ったのは、この記事のオチの部分に記してあった、Sternbergの「愛情とは物語を語るもの」という部分だ。彼の説では人間は恋愛「物語」に強い興味を示す傾向にあり、また自分自身の恋愛観も「物語ベース」で捕らえている人が多いのだという。自分の著書Love is a Story(邦題:「愛とは物語である」)を大学生、大学院生に読ませ、どの「物語」に一番共感できるかを調べたところ、カップルが持続するのはどのような内容の物語を選んだかではなく、二人がそれぞれ選んだ物語が一致している、というところにあったらしい。
それは恋愛観の一致ということにつながるので、まあそうなんだろうな、と考えられる。それはやはり、カップルセラピーを行うとき、よく気づくところに、パートナー同士の価値観やお互いへの期待のズレ、感情・愛情表現の違いなどがあるが、この「恋愛観」もあなどれない要素なのではないか。おそらくそれはリレーションシップという航海において使用する方位地図のような役割を果たすからなのではないかと思う。
January 16, 2007
DVの被害者女性が加害者パートナーを殺すとき
偏ったメディア報道に反応したくはないのだが、今日とある記事を読んで、一体これはどういうことだと思ったので書くことにした。
その記事では「セレブ妻」の殺意の全容について「専門家」がコメントしているのだが、「お嬢さん育ちで、おそらく親にも殴られたことがない」「周囲にはチヤホヤされ、プライドは人一倍高かったはずなのでこういうタイプに年下夫が手を上げると激しい恨みを買うことになる」「容姿に自信があるので、常に「きれいだよ」「かわいいね」と亭主が言わないととホストにはまったり、出会い系サイトに走ったりする」「自分勝手で非常識な部分もあった。こういうオンナは注意」と、こういう内容を記事にしていいのかというくらい無責任で興味本位な書き方をされていた。
インターネットで見る限り一連の報道記事を読んで気になるのが、容疑者の人格や行動を興味本位に書き立てるものが多いように思えることだ。この事件がDVという悲劇の阻止(DVは被害者にとっても加害者にとっても悲劇で、双方が支援や介入を必要とする)がいかに大切かを考えるきっかけになると良いのだが、どうもそういう方向へは進んでいない気がするのは私だけだろうか。
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その記事では「セレブ妻」の殺意の全容について「専門家」がコメントしているのだが、「お嬢さん育ちで、おそらく親にも殴られたことがない」「周囲にはチヤホヤされ、プライドは人一倍高かったはずなのでこういうタイプに年下夫が手を上げると激しい恨みを買うことになる」「容姿に自信があるので、常に「きれいだよ」「かわいいね」と亭主が言わないととホストにはまったり、出会い系サイトに走ったりする」「自分勝手で非常識な部分もあった。こういうオンナは注意」と、こういう内容を記事にしていいのかというくらい無責任で興味本位な書き方をされていた。
インターネットで見る限り一連の報道記事を読んで気になるのが、容疑者の人格や行動を興味本位に書き立てるものが多いように思えることだ。この事件がDVという悲劇の阻止(DVは被害者にとっても加害者にとっても悲劇で、双方が支援や介入を必要とする)がいかに大切かを考えるきっかけになると良いのだが、どうもそういう方向へは進んでいない気がするのは私だけだろうか。
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January 14, 2007
バイリンガルと認知症の関連性
January 04, 2007
乳幼児対象のサイコセラピー
今年は何とかブログの更新を定期的に行いたい。
先日、Neurodevelopmental DisorderのCE講座に出席してきた。自閉症、アスペルガー、ADHD、非言語性学習障害(NVLD)などの相関・相違性や脳の発達・機能について学習したのだが、大変興味深かった。
そのCE講座の講師が、頻繁にRewiringという単語を使用していた。Wiringとは、機械の内部のネットワークなどを繋げる作業を意味する言葉だけれど、この場合は脳機能に関連する言葉だ。Rewiringとは、脳内のネットワークを繋げ直す、という意味合いだ。
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先日、Neurodevelopmental DisorderのCE講座に出席してきた。自閉症、アスペルガー、ADHD、非言語性学習障害(NVLD)などの相関・相違性や脳の発達・機能について学習したのだが、大変興味深かった。
そのCE講座の講師が、頻繁にRewiringという単語を使用していた。Wiringとは、機械の内部のネットワークなどを繋げる作業を意味する言葉だけれど、この場合は脳機能に関連する言葉だ。Rewiringとは、脳内のネットワークを繋げ直す、という意味合いだ。
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May 18, 2006
いつから更新していないんだろう・・・
仕事が忙しすぎてブログの更新が出来ていない・・・
米国心理学会(APA)のサイトのニュースはちょくちょく目を通しているので、「あ、これ面白いな」という記事にお目にかかってブログに書こうと思っても時間がやっと出来た頃には「最新」でなくなっているという恐ろしい状況が実は5回ほどあった。とりあえず最近のものだと、
自閉症の研究。以前のブログにも書いたのだが、自閉症発生率がやはり以前から考えられていたよりも高い可能性があるという研究結果が出ている。2つの研究結果はそれぞれ175人に1人、または181人に1人、と出しているらしい。
あとは職場におけるイジメ、ハラスメントの話題。 イギリスとオーストラリアの研究だと、約11%(イギリス)、18%(オーストラリア)の職員が精神的な苦痛を職場で感じていると答え、今までに職場でイジメにあったことがあると答えた人は全体の40〜50%以上にのぼるらしい。興味深いのは、イジメ役は上司ではなく、多くの場合女性や同僚なのだそうだ。
とりあえず1ヶ月に1度は更新できるようにがんばれなければ・・・
米国心理学会(APA)のサイトのニュースはちょくちょく目を通しているので、「あ、これ面白いな」という記事にお目にかかってブログに書こうと思っても時間がやっと出来た頃には「最新」でなくなっているという恐ろしい状況が実は5回ほどあった。とりあえず最近のものだと、
自閉症の研究。以前のブログにも書いたのだが、自閉症発生率がやはり以前から考えられていたよりも高い可能性があるという研究結果が出ている。2つの研究結果はそれぞれ175人に1人、または181人に1人、と出しているらしい。
あとは職場におけるイジメ、ハラスメントの話題。 イギリスとオーストラリアの研究だと、約11%(イギリス)、18%(オーストラリア)の職員が精神的な苦痛を職場で感じていると答え、今までに職場でイジメにあったことがあると答えた人は全体の40〜50%以上にのぼるらしい。興味深いのは、イジメ役は上司ではなく、多くの場合女性や同僚なのだそうだ。
とりあえず1ヶ月に1度は更新できるようにがんばれなければ・・・
March 13, 2006
映画「クラッシュ」を考える
去年の9月に帰国して間もなかった頃、勤務している大学院キャンパスの映画鑑賞会に招待された。大学院の教員やスタッフが20人くらい集まり映画を観て感想を述べあうという趣向のもので、定期的に開いているらしい。スタッフの女性が「この映画はMulticultural Psychology(多文化心理学)を考える上でとても興味深いので是非ここで皆と観たい」と推薦があり観たのがこの映画「クラッシュ」だった。
賞を受賞したりして映画を観た方も多いと思うので内容の紹介は省くが、ここ最近の映画でこれほど胸がドキドキして興奮した映画はなかった。職業病の一種なのかもしれないが、映画やドラマを観ると必ず登場人物の人格の分析や、心理的なプロセス、そして「教材になるかどうか」「セラピーに使えるかどうか」という観点から観てしまう。
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賞を受賞したりして映画を観た方も多いと思うので内容の紹介は省くが、ここ最近の映画でこれほど胸がドキドキして興奮した映画はなかった。職業病の一種なのかもしれないが、映画やドラマを観ると必ず登場人物の人格の分析や、心理的なプロセス、そして「教材になるかどうか」「セラピーに使えるかどうか」という観点から観てしまう。
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March 05, 2006
「公平」と「平等」:女性がパートナーに求めるものとは?
かなり昔の話だが、女性の心理学者ばかりの集まりに出たときの事。パートナーと一緒に生活している人や既婚女性も多かったので、雑談しているときに話が「家事の分担はどうしてるの?」というトピックに流れていった。 色々な意見や話が飛び交う中、その中の1人がおもむろに、「家事分担?そんなつまらないことで喧嘩しないで、ハウスキーパーを雇えばいいじゃない」と言い出した。その言い方が「パンがないのならお菓子を食べればいいじゃない」的だったので、私はおかしくてケラケラ笑っていたのだが、その言葉の後に続く彼女の説明を聞いて、ああなるほどなあ、感心した。
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March 01, 2006
米国人とストレス
仕事が忙しすぎて、気がついたら2月が終わってしまっていた。
久しぶりに雨が降っている。南カリフォルニアはとにかく雨が少ないので、ちょっとでも降ろうものなら、道路は運河状態になり停電もよく起こる。 今日はクライアントを診ている最中に停電が起こるというとんだハプニングがあった。 ちょうど午後5時のクライアントを見送る寸前に、いきなり電気が一気に切れてしまった。 6時には家族のインテークが入っている。オフィスには懐中電灯もろうそくも置いていないように記憶していたので、「さあ、どうするか」と一瞬悩んでしまった。 とりあえず携帯電話の灯を頼りに、今ドイツに行って不在中のセラピストの部屋にろうそくとライターを探しに入った。運よくアロマキャンドル2個とライターがサイドテーブルの上にあったので、ろうそくの灯の下での初ミーティングとなった。 良いラポールは築けたものの、停電が長引いたので、最後まで彼らの顔がよく見えなかった。 来週また会った時にお互いを判別できるかどうか・・・(できると思うが)。 明日も雨が降るようなので、懐中電灯を忘れないように持っていこうと思う。
さて、米国心理学会(APA)の行った調査によると、米国人はストレスへの対処法として、過食や喫煙など不健康な行動に走り、適度な運動をするなどの健康なストレス対処法を行わない傾向にあるという。
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久しぶりに雨が降っている。南カリフォルニアはとにかく雨が少ないので、ちょっとでも降ろうものなら、道路は運河状態になり停電もよく起こる。 今日はクライアントを診ている最中に停電が起こるというとんだハプニングがあった。 ちょうど午後5時のクライアントを見送る寸前に、いきなり電気が一気に切れてしまった。 6時には家族のインテークが入っている。オフィスには懐中電灯もろうそくも置いていないように記憶していたので、「さあ、どうするか」と一瞬悩んでしまった。 とりあえず携帯電話の灯を頼りに、今ドイツに行って不在中のセラピストの部屋にろうそくとライターを探しに入った。運よくアロマキャンドル2個とライターがサイドテーブルの上にあったので、ろうそくの灯の下での初ミーティングとなった。 良いラポールは築けたものの、停電が長引いたので、最後まで彼らの顔がよく見えなかった。 来週また会った時にお互いを判別できるかどうか・・・(できると思うが)。 明日も雨が降るようなので、懐中電灯を忘れないように持っていこうと思う。
さて、米国心理学会(APA)の行った調査によると、米国人はストレスへの対処法として、過食や喫煙など不健康な行動に走り、適度な運動をするなどの健康なストレス対処法を行わない傾向にあるという。
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January 21, 2006
海外に駐屯している軍人とその家族への心のケア
最近また暖かくなってきた(日中の気温は18から20度くらい)ので、大学に行くと建物に冷房が入っている。古い建物なので、空調システムが建物の部位によって強かったり弱かったりするらしいのだが、私のオフィスは「強い」場所なのだそうで冗談抜きで寒い。
知り合いのセラピストが、ドイツに駐在している米軍の軍人やその家族を対象としたカウンセリングの仕事を昨年の12月の1ヶ月間行い、先日帰国してきた。彼は毎年この仕事をしていて、今年からは一ヶ月おきにヨーロッパへ行って仕事をする、と言うので、どういう仕組みでカウンセリングを行っているのか聞いてみると、匿名で超短期間のカウンセリングなのだそうだ。クライアントのカルテももちろん作らないし、相手の名前も記録に残さないらしい。しかも彼の雇用主は軍隊ではなく、民間の健康保険会社なのだそうだ。
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知り合いのセラピストが、ドイツに駐在している米軍の軍人やその家族を対象としたカウンセリングの仕事を昨年の12月の1ヶ月間行い、先日帰国してきた。彼は毎年この仕事をしていて、今年からは一ヶ月おきにヨーロッパへ行って仕事をする、と言うので、どういう仕組みでカウンセリングを行っているのか聞いてみると、匿名で超短期間のカウンセリングなのだそうだ。クライアントのカルテももちろん作らないし、相手の名前も記録に残さないらしい。しかも彼の雇用主は軍隊ではなく、民間の健康保険会社なのだそうだ。
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January 05, 2006
あけましておめでとうごいます:LAでの初詣
最後にブログを更新したのが10月だったので、うっかりしている間に3ヶ月近くも間を開けてしまった。忙しい時は時間の経つ次元が違うのかもしれない。
さて、1月1日の元旦なのだが、LAでは雨が降っていた。元旦に雨が降るのは51年ぶりらしい。
毎年、元旦にはリトル東京に初詣に出かけるので、今年もお参りしてきた。東本願寺の米国別院でお寺なのだが、毎年長い列が出来るほど参拝客がいる。ついでにおみくじを引いて、寺の外の木に結んできた。
リトル東京はロサンゼルスのダウンタウンのすぐ近くにあるのだが、バブル崩壊後、駐在員や留学生がお金を使わなくなったし、日本からの観光客もあまり来なくなってしまったので、さびれる一方だ。私自身も、わざわざリトル東京までやってくるのは、この初詣と、お盆祭りのパレードを見に来るくらいかもしれない。
周囲の治安も良いとはいえない。だがダウンタウンも、古いビルを排除して高層マンションを建設してクリーンなイメージにしようとしている箇所がいくつかあったので、こういったクリーンアップの努力が街の繁栄を導いていってくれればと思う。
October 27, 2005
文章を書いて自己表現:心身の健康との関連性
「ベッドに入っても、余計なことを考えてしまって眠れないんです」
精神的ストレスに由来する不眠はクライアントが訴える症状の中でかなり上位にランキングされるだろう。
状況や症状などを総合的に見て対処にあたるのだが、漠然とした不安感があり、日常的な細かい事を心配してしまうタイプの方には、リラクセーション法のほかに「ベッドの脇にメモ帳を置いて、何か心配事が頭に浮かんだらすぐに書き出してください。」と勧めることがよくある。あまりにもシンプルで原始的ともいえる方法だが、効果的な場合が多い。
人間の脳機能については解明されていない部分が多い。思考と感情の起伏や精神的な症状には密接な関連性があるものの、どこをどうしたら絶対にこうなる、というレベルまで分かっているとはいえないだろう。
だが認知心理学の観点から見ると、人の思考・感情パターンは、ワイヤーで繋がっている沢山の引き出しのように考えることが出来る。人間は、感知するものに理由や解明を求める性質があるので、答えのないもの(よって引き出しに分類できないもの)に対し不安を覚える。引き出しに分類できないまま放置されている情報があると、安らぐことが難しい場合が多いといえるだろう(悟りを開いて「未知の引き出し」にそういった情報を入れ、受け入れることが出来るのなら、また話は別かもしれないが)。
このメモ帳の原理は、心配事を書き出すことによって、一時的に脳に「この情報は分類済み」と認識させる作用がある。 また、書き出す(言語化する)ことにより、脳が情報処理を始めるので、多くの場合は漠然としている心配事が自然と明確化できるという作用も期待できる。
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精神的ストレスに由来する不眠はクライアントが訴える症状の中でかなり上位にランキングされるだろう。
状況や症状などを総合的に見て対処にあたるのだが、漠然とした不安感があり、日常的な細かい事を心配してしまうタイプの方には、リラクセーション法のほかに「ベッドの脇にメモ帳を置いて、何か心配事が頭に浮かんだらすぐに書き出してください。」と勧めることがよくある。あまりにもシンプルで原始的ともいえる方法だが、効果的な場合が多い。
人間の脳機能については解明されていない部分が多い。思考と感情の起伏や精神的な症状には密接な関連性があるものの、どこをどうしたら絶対にこうなる、というレベルまで分かっているとはいえないだろう。
だが認知心理学の観点から見ると、人の思考・感情パターンは、ワイヤーで繋がっている沢山の引き出しのように考えることが出来る。人間は、感知するものに理由や解明を求める性質があるので、答えのないもの(よって引き出しに分類できないもの)に対し不安を覚える。引き出しに分類できないまま放置されている情報があると、安らぐことが難しい場合が多いといえるだろう(悟りを開いて「未知の引き出し」にそういった情報を入れ、受け入れることが出来るのなら、また話は別かもしれないが)。
このメモ帳の原理は、心配事を書き出すことによって、一時的に脳に「この情報は分類済み」と認識させる作用がある。 また、書き出す(言語化する)ことにより、脳が情報処理を始めるので、多くの場合は漠然としている心配事が自然と明確化できるという作用も期待できる。
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October 06, 2005
開業へ戻る
以前在籍していたグループ開業へ戻ることになった。そのため、新たに名刺を作ったり、ボイスメールサービスに加入したりと、走り出すためにやらなければいけないことが沢山ある。
そのクリニックでは週に一度、ランチタイムにコンサルテーションミーティングがあるので挨拶がてらに行ってみることにした。
スタッフの人々は興味津々で、「日本はどうだった?どんな所?」とお約束の質問があった後、「君のいない間、アメリカではねえ・・・」という話になった。
米国では健康保険を使用してカウンセリングを受けられるのだが、請求が難しかったり、保険会社が支払いをしぶったり、充分なセッション数をくれなかったりと大変なところもある。だが、ここ1年半ほどの間に、少しそれが緩やかになり、支払い請求がやりやすくなったらしい。
とりあえず良い方向に変化しているようなので、明るいニュースを聞くことが出来てよかったと思う。
(Dr.Tanaka)
そのクリニックでは週に一度、ランチタイムにコンサルテーションミーティングがあるので挨拶がてらに行ってみることにした。
スタッフの人々は興味津々で、「日本はどうだった?どんな所?」とお約束の質問があった後、「君のいない間、アメリカではねえ・・・」という話になった。
米国では健康保険を使用してカウンセリングを受けられるのだが、請求が難しかったり、保険会社が支払いをしぶったり、充分なセッション数をくれなかったりと大変なところもある。だが、ここ1年半ほどの間に、少しそれが緩やかになり、支払い請求がやりやすくなったらしい。
とりあえず良い方向に変化しているようなので、明るいニュースを聞くことが出来てよかったと思う。
(Dr.Tanaka)
October 02, 2005
Amber alert
フリーウェイを運転していたら、道路わきの電光掲示板にAmber Alertが出ていた。
Amber Alertとは、誘拐された子供を迅速に救出するため一種の情報提供システムで、これが発令されると、警察やメディアに子供の年齢や逃走車の情報が一気にいきわたるようになっている。
まず、ラジオやTVでは緊急事態扱いで情報が放送される。
更にフリーウェイの電光掲示板にも、子供の性別、年齢と犯人の逃走に使用されている車の車種や色などの情報が出る。警察やメディア、そして関連する団体には写真や画像などが配布され、その情報は病院や学校などにも転送することが可能だ。
また、Emergency Digital Informationより情報を確認することもできる。
1996年にテキサス州で、Amber Hagermanという9歳の少女が誘拐され殺された。この事件の教訓を生かした情報配布システムが全米規模で検討されはじめ、カリフォルニアでは2002年から適用されている。
迅速な対応で救出の成功率は高いと言われている。今日のAmber Alertの子供は親権を剥奪された母親に誘拐されたらしい(ちなみに親による誘拐の場合は命に関わるような緊急事態でないと発令されないらしい)。 このブログを書いている時点ではまだ発見されていないようだが、一刻も早く無事で安全な環境に子供が戻れることを祈っている。
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Amber Alertとは、誘拐された子供を迅速に救出するため一種の情報提供システムで、これが発令されると、警察やメディアに子供の年齢や逃走車の情報が一気にいきわたるようになっている。
まず、ラジオやTVでは緊急事態扱いで情報が放送される。
更にフリーウェイの電光掲示板にも、子供の性別、年齢と犯人の逃走に使用されている車の車種や色などの情報が出る。警察やメディア、そして関連する団体には写真や画像などが配布され、その情報は病院や学校などにも転送することが可能だ。
また、Emergency Digital Informationより情報を確認することもできる。
1996年にテキサス州で、Amber Hagermanという9歳の少女が誘拐され殺された。この事件の教訓を生かした情報配布システムが全米規模で検討されはじめ、カリフォルニアでは2002年から適用されている。
迅速な対応で救出の成功率は高いと言われている。今日のAmber Alertの子供は親権を剥奪された母親に誘拐されたらしい(ちなみに親による誘拐の場合は命に関わるような緊急事態でないと発令されないらしい)。 このブログを書いている時点ではまだ発見されていないようだが、一刻も早く無事で安全な環境に子供が戻れることを祈っている。
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September 24, 2005
帰国・更に遠出
19日に無事米国に帰ってきた。荷物の量が多い上に、猫2匹もつれて帰ったので、どうなることかと思っていたが、意外とスムーズに事は運んだので良かった。
だが日本から米国へ移る際の時差ぼけはどういうわけかなかなか治らない。その上、米国に帰ってきたとたんに大きな仕事を仕上げることになった。倉庫から家具を出す暇もないので、何もない部屋で日本からの荷物を運んできたダンボール箱を机にしてその上にノートパソコンを置いて作業をしている。実は寝具もないので、寝袋で寝るという、インドアなのにサバイバル生活のような雰囲気だ。
そんな中、22日から、用あってイリノイ州に来ている。シカゴから車で1時間半ほど行ったところにあるRockfordという小さな町で、少し町から外れると一面のとうもろこし畑だ。
こんな小さな町でもインターネットはつながるので、仕事で必要なやりとりは出来ているし(事務局の美人秘書T嬢に「とばしすぎです。休んでください。」とたしなめられたが)、こうやってブログの更新も出来た。一昔前までは到底出来なかったことなので、テクノロジーの進歩は本当にすばらしいと思う。
その反面、ニュースではハリケーン・リタの被害を連日放送していて、いくらテクノロジーが進歩しても、私たちにはまだまだ取り組まなくてはいけない課題があるということを教えてくれる。
個々の生活の出来事に埋もれてしまうのは簡単なことだが、自分や自分の生活環境は、より大きな世界のほんの1部分でしかない。そしてそれは他の人々やその生活環境と必ずどこかで繋がっている。
(Dr.Tanaka)
だが日本から米国へ移る際の時差ぼけはどういうわけかなかなか治らない。その上、米国に帰ってきたとたんに大きな仕事を仕上げることになった。倉庫から家具を出す暇もないので、何もない部屋で日本からの荷物を運んできたダンボール箱を机にしてその上にノートパソコンを置いて作業をしている。実は寝具もないので、寝袋で寝るという、インドアなのにサバイバル生活のような雰囲気だ。
そんな中、22日から、用あってイリノイ州に来ている。シカゴから車で1時間半ほど行ったところにあるRockfordという小さな町で、少し町から外れると一面のとうもろこし畑だ。
こんな小さな町でもインターネットはつながるので、仕事で必要なやりとりは出来ているし(事務局の美人秘書T嬢に「とばしすぎです。休んでください。」とたしなめられたが)、こうやってブログの更新も出来た。一昔前までは到底出来なかったことなので、テクノロジーの進歩は本当にすばらしいと思う。
その反面、ニュースではハリケーン・リタの被害を連日放送していて、いくらテクノロジーが進歩しても、私たちにはまだまだ取り組まなくてはいけない課題があるということを教えてくれる。
個々の生活の出来事に埋もれてしまうのは簡単なことだが、自分や自分の生活環境は、より大きな世界のほんの1部分でしかない。そしてそれは他の人々やその生活環境と必ずどこかで繋がっている。
(Dr.Tanaka)
September 06, 2005
ビデオゲーム人口
先日、有害ビデオゲームの話題を出した。
私が好きなウェブサイトのひとつに、USA TodayのSnapshotというコーナーがある。
マーケティングリサーチ会社のようなところが行った様々なアンケート結果をカラフルな画像とともに紹介している。
その中で、米国人男性と女性を比較すると、どの年代でも倍の数の男性が女性よりビデオゲームで遊んでいる、という報告結果が紹介されていた。
(注:Lifeというタブをクリックしてページをめくると出てくる)
たとえば年齢17歳以下だと男性の90%、女性の42%。18歳から34歳だと男性48%女性22%。 35歳から54歳だと男性20%女性11%だ。
高校生以下の男児のほとんどがビデオゲームで遊ぶという結果も興味深かったが、35歳から54歳も男性の5人に1人がビデオゲームで遊ぶという結果が出ていて面白いと思った。
(Dr.Tanaka)
私が好きなウェブサイトのひとつに、USA TodayのSnapshotというコーナーがある。
マーケティングリサーチ会社のようなところが行った様々なアンケート結果をカラフルな画像とともに紹介している。
その中で、米国人男性と女性を比較すると、どの年代でも倍の数の男性が女性よりビデオゲームで遊んでいる、という報告結果が紹介されていた。
(注:Lifeというタブをクリックしてページをめくると出てくる)
たとえば年齢17歳以下だと男性の90%、女性の42%。18歳から34歳だと男性48%女性22%。 35歳から54歳だと男性20%女性11%だ。
高校生以下の男児のほとんどがビデオゲームで遊ぶという結果も興味深かったが、35歳から54歳も男性の5人に1人がビデオゲームで遊ぶという結果が出ていて面白いと思った。
(Dr.Tanaka)
September 04, 2005
アンガーマネージメント/ハリケーンカトリーナ
先週の月曜日の神奈川県津久井郡の教育委員会のWSは先生方の丁寧で温かいお心遣いで無事終了。現場では何が起こっているかを先生方からも習うことができた。アンガーマネージメント・プログラム自体の情報もマニュアルもないというのが現状で、何か私たちでできることがあれば・・・と考えている。
ルイジアナ州のハリケーンの惨状はひどい。CNNのリポートを見ていて、被害にあった多くがアフリカン・アメリカンで低所得の家の方々のようだったので、差別による救済援助の遅延などなければいいが・・・と懸念していたが・・・(やはり・・・という状況か)
ちなみに米国心理学会(APA)が自然災害によるトラウマに関する一般向けの情報を提供している。
(Dr.Tanaka)
ルイジアナ州のハリケーンの惨状はひどい。CNNのリポートを見ていて、被害にあった多くがアフリカン・アメリカンで低所得の家の方々のようだったので、差別による救済援助の遅延などなければいいが・・・と懸念していたが・・・(やはり・・・という状況か)
ちなみに米国心理学会(APA)が自然災害によるトラウマに関する一般向けの情報を提供している。
(Dr.Tanaka)
August 30, 2005
米国心理学会が有害ゲームを斬る!
米国心理学会(APA)の113回目の総会がワシントンDCで行われ、そこでビデオゲームと子供の攻撃性の研究20年分のまとめが発表された。
研究集結結果によると暴力的なビデオゲームをほんの短い時間でも遊んだ子供は、その直後に攻撃性が増すという。目上の人間と挑発的な口論をしたり、他の子供達とも暴力的な衝突がある傾向にあり、更に学業成績はビデオゲームをしない子と比べ劣っているという。
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研究集結結果によると暴力的なビデオゲームをほんの短い時間でも遊んだ子供は、その直後に攻撃性が増すという。目上の人間と挑発的な口論をしたり、他の子供達とも暴力的な衝突がある傾向にあり、更に学業成績はビデオゲームをしない子と比べ劣っているという。
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August 27, 2005
アンガーマネージメントの講義
敬愛するW大学のH先生のご紹介で、神奈川県教育委員会の生徒指導担当教員研修会でアンガーマネージメントの講義をさせていただくことになった。
怒りという感情は誰にでもあるごく自然なものだ。嬉しさや悲しみという感情が内面的世界の幅を広げ深くしてくれるように、「怒り」という感情と向き合い理解することは日ごろ考えてもみなかった自分の一面と向き合うことにつながる。
そして「怒りの感情」と「怒りの表現」は全く別のものだということも重要なポイントだ。怒りが巻き起こすトラブル(特に対人関係)は、怒りの表現法に問題があることが殆どだ。これは学習して新しいスキルを得ることが出来る。怒りによるトラブルが家庭、学校、職場で問題化している米国ではアンガーマネージメント関連のビジネスが急速に伸びている。完全に茶化してはいるものの映画の題材にもなるは(だが、あれは絶対ありえない。ジャック・ニコルソン扮する心理学者がいったい幾つの倫理反則を犯していることか・・・)、有名ラッパーもコンサートツアーの題名として使うはで、それだけ一般知識として浸透しているといえる。
アンガーマネージメントの介入法の考え方として、一番理想的なのはやはりカリキュラムや授業の一部として、子供のうちからアンガーマネージメントのスキルを習得させていくことだ。そうすることにより、専門的な支援が必要な子供への早期発見・介入も可能になる。
ということで、只今資料とスライドを制作中。
(Dr.Tanaka)
怒りという感情は誰にでもあるごく自然なものだ。嬉しさや悲しみという感情が内面的世界の幅を広げ深くしてくれるように、「怒り」という感情と向き合い理解することは日ごろ考えてもみなかった自分の一面と向き合うことにつながる。
そして「怒りの感情」と「怒りの表現」は全く別のものだということも重要なポイントだ。怒りが巻き起こすトラブル(特に対人関係)は、怒りの表現法に問題があることが殆どだ。これは学習して新しいスキルを得ることが出来る。怒りによるトラブルが家庭、学校、職場で問題化している米国ではアンガーマネージメント関連のビジネスが急速に伸びている。完全に茶化してはいるものの映画の題材にもなるは(だが、あれは絶対ありえない。ジャック・ニコルソン扮する心理学者がいったい幾つの倫理反則を犯していることか・・・)、有名ラッパーもコンサートツアーの題名として使うはで、それだけ一般知識として浸透しているといえる。
アンガーマネージメントの介入法の考え方として、一番理想的なのはやはりカリキュラムや授業の一部として、子供のうちからアンガーマネージメントのスキルを習得させていくことだ。そうすることにより、専門的な支援が必要な子供への早期発見・介入も可能になる。
ということで、只今資料とスライドを制作中。
(Dr.Tanaka)