我が国は、「メートル法」を採用しています。一般社会ではゴルフなどを除き、ほとんどが「メートル法」です。しかしながら、自衛隊では「ヤードポンド法」に基づいた装備品や、運用用語が多く存在します。

主に、米国との関係から「ヤードポンド法」の適用がなされています。特に航空機については、国産機といえども「ヤードポンド法」で作られ、運用されています。

航空機については、陸・海・空自衛隊共通です。ただ、例外はフランスから輸入された内閣府所属の要人輸送用ヘリコプター「シュペルピューマ(EC225)」のみが、「メートル法」採用です。ローター(回転翼)の回転方向も米国製と反対で、運用する陸上自衛隊は当初、結構苦労したようです。

なぜ航空装備品が「ヤードポンド法」かと言うと、米国のMIL-SPEC(軍規格:MILITARY SPECIFICATION)にもとづいて製作されるからです。

当然、長さはインチ、高度などはフィート、速度はノットです。工具類もインチ仕様です。

ちょっと聞き慣れないでしょうが、油圧系統の圧力はPSI表示です。PSIとは、ポンド・パースクウェア―インチ、即ち1平方インチ当たり何ポンド圧力がかかっているかです。因みに米国製航空機の油圧系統は通常3,000PSIです。

MIL-SPECは米国の技術ノウハウに加え、戦闘においての実戦データ等が盛り込まれており、常時改訂されています。

陸上の装備品は「メートル法」です。120ミリ戦車砲だとか、重量何トンとかです。

運用についても陸上はほとんどが「メートル法」によっています。

海上自衛隊も装備品については「メートル法」です。護衛艦何トン等がそれです。ただし運用は「ヤードポンド法」が併用されています。距離何マイル(海里:約1.85キロメートル)、速度何ノット(海里/1時間)等と使用します。

その点航空自衛隊は装備品、運用とも、おおむね「ヤードポンド法」です。

このため、米軍との共同訓練などでも支障なく通じます。

では、そもそもなぜ米国(英国もそうですが)は「ヤードポンド法」なのかということです。ゴルフやアメリカンフットボールなども、ヤード表示です。統一すれば良いのにと思われる方も多いと思います。1ヤードの長さの根拠は諸説ありますが、イングランド王ヘンリー1世の鼻から親指までの長さ等、かなりいい加減なものです。それに比べて、「メートル法」は一応、地球の北極点から赤道までの子午線弧長の1,000万分の1を、1メートルとするというもので、もっともらしい訳です。

米国、英国などが頑なに「ヤードポンド法」を使っている本当の理由は、「我々はナポレオンに占領された国家ではない」という誇りだそうです。

しかしながら、我が国のように正規には「メートル法」を採用する法律がありながら、「ヤードポンド法」も適用せざるを得ない場合は、ちょっと不便だと感じます。