短絡的な思考

短絡的な思考


今は「片手落ち」とか「びっこ」という言葉は障害者を傷つける表現として使わないことになっている。だが、広島の原爆被害や戦争への反省の言葉を聞いていると、どうしても「片手落ち」としか思えない。戦争も原爆も悲惨であり、このことを語り継ぐことは必要なのだが、それではどうしたらそれを防ぐことが出来るのかはまったく全く語られない。

ただそうならないように祈るだけだという。違うのではないか。そうならないようにする方法を考えることが大事なのではないか。悲惨さを語り継ぐことだけでは「片手落ち」と言わざるを得ない。その表現がまずければ「短絡的な思考」とでも言うのだろうか。

あの悲惨な戦争を起こさないために、あの悲惨な原爆が再び投下されないためにどうするのか。それが安全保障の基本である。

私は「抑止力の確保」が基本だと思っているが、その他の考えもあるだろう。そのことをもっと掘り下げて国民的な議論を啓発してもらいたいのだが、それを自らの任務と心得ている政治家もメディアも少なくなった。

話は変わるが沖縄海兵隊のオスプレイがオーストラリア近海で墜落した。機体の異常か人的なミスなのか、原因はまだわかっていない。だがオスプレイの沖縄配備に反対している沖縄県知事は直ちに「オスプレイ撤去」を要求している。

これも「短絡的な思考」ではないか。わが国の安全、なかんずく南西諸島の安全を確保するにはどのような施策が必要なのか。それをしっかりと考えることこそ知事の責任ではないのか。「短絡的な思考」で責任を回避するのはいい加減にして欲しいと思っている。                    

(2017・8・8 松島悠佐)


小野寺防衛大臣の再登板

「小野寺防衛大臣の再登板」


安倍内閣改造で小野寺防衛大臣が再登板することになった。

直後のNHKの解説委員が「これで防衛省の隠蔽体質が改善されるのではないか」などと頓珍漢な話をしていたが、NHKの解説委員はまず防衛のことは何にも知らない。だから何かを知ると隠蔽体質があったと勘違いするようだ。

毎年発刊される防衛白書や防衛公刊資料など、これほど防衛情報を公開している国も少ないと思う。

昔の話だが小泉元首相が北朝鮮・ピョンヤンを訪問した際、政府専用機の入り口に立っていた航空自衛官をNHKの解説委員が北朝鮮の兵士と間違えて解説していた。自分の国の自衛官の制服も階級章も知らない男が解説しているのだからどうしようもない。NHKの元解説委員で国際情勢などの評論家がいるが、実に頓珍漢な分析をしている。こんな解説を聞かされる国民もたまったものではない。

小野寺議員は防衛大臣2回目だが、ご実家が東日本大震災で2階まで水に浸かっても直ぐに復興した旅館の肝っ玉お女将のご子息である。

最初の登板の時には防衛のことは初めてだったが、持ち前の男気と責任感で十分自衛隊に溶け込んで離任の際には感激で涙が止まらなかったようである。

今度の登板では「防衛計画の大綱」の見直しなどに大きな期待が寄せられている。

多分最大の問題は「敵基地攻撃能力(自民党は反撃と呼んでいるが)」をどのように採り上げるかということになるのだろう。

私は元自衛官として、現在の防衛態勢の不十分さを改正してもらいたいと思っている。

北朝鮮のミサイル攻撃や中国の南西諸島攻撃に十分対応できる体制を作らなければならないが、そのハードルは「敵基地攻撃能力」にあるのだろう。

任は重いと思うが期待をしている。      

 (2017・8・5 松島悠佐)


ハイブリッド戦争・未来型の戦争

ハイブリッド戦争・未来型の戦争」


ロシアとウクライナの紛争が原因でハイブリッド戦争という言葉が飛びだした。

ハイブリッドとは元々いろいろなものを混ぜ合わせるという意味のようだが、ウクライナ紛争ではロシア軍が直接介入した疑惑もあるが、ロシア軍は武器だけを提供しロシア系住民による非軍事組織が暗躍した形跡もある。確たる証拠がなくてよくわからない。プーチンはKGB出身らしく情報戦に長けているのか、いろいろな手を使って米欧の軍事的圧迫を喰い止めようとしている。このような戦い方を英国の情報機関がハイブリッド・ウオーフェアー(Hybrid-warfare)と呼んだ。


アメリカの大統領選挙にロシアがサイバー攻撃を利用して介入したとの疑惑が持たれているが、これも一つの例だろう。アメリカはオバマ政権の末期にロシアに制裁を課したが、トランプがこれを反故にした。

ハイブリッド戦争は軍隊による軍事力の行使だけではなく,あらゆる手段や手法を取り混ぜて政治目的を達成する未来型の戦争である。

軍隊による破壊力(多くの場合硝煙臭のする火薬による破壊力)には批判が強まり大国はこれを避ける傾向にあり、代わりに軍隊以外の組織が相手の政治機能を自分の意図どおりにコントロールし、軍事組織自体を手なづけたり崩壊させる手を使ってくる。

今、火薬による破壊を続けて町を廃墟にしているのはイスラミック・ステイトなどテロ組織の仕業が多く、平和に慣れた者から見れば目を背けたくなるような様子である。

だがハイブリッド戦争になると、町を廃墟にするような様子は無いかもしれないが、誰が何をやったのかわからない間に相手の意図を屈服させて、自分の意図を通す事が起きるのかもしれない。

ハイブリッド戦争の手段としては、情報戦(スパイ活動による偽情報と不安定化)や、サイバー戦(金融・産業・電力・市民生活など民間の広範な分野に入り込んで国家の機能を麻痺させる)の他、宇宙戦

やテロ活動など広範にわたる。これが主流になると陰湿な戦いになる可能性もある。

ロシアのプーチンは2017年現在アメリカだけではなくドイツもターゲットにしているようだ。ドイツは東西統一後力をつけて目下ヨーロッパの主軸になっているが、これを弱めてロシアへの制裁の圧力を減殺するのが目的だろう。メルケル首相の政治的手腕は優れているが、やがて陰湿な対決が始まるのではなかろうか。ドイツとロシアの対立は第2次世界大戦前夜の独ソ戦を思い出させるがそのようにならないことを願っている。     

 (2017・8・2 松島悠佐)


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