2012年11月

選挙の焦点は安全保障と実体感覚

慌しく選挙戦が始まったが、ようやく政党が目指す政策の柱が見え始めてきた。是非、安全保障政策など国の基本を明確にしてほしいものである。

これまでの選挙でも、安全保障政策が欠落している政党や、選挙公約に安全保障の「あ」の字も無い候補もいて、これで国政を担うつもりなのかと驚くこともあった。

また、実体とかけ離れた空理空論が先行して、混乱を与えることも多かった。

かつて社会党には、「非武装中立論」を唱える議員がいて世間を惑わし、さらに日米安保・自衛隊は憲法違反と主張していたのが、政権に就いた途端に、実行不可能で非現実的な考えだと気が付いて訂正した。

民主党のマニフェストも同様で、政策を見直せば17兆円もの財源が容易に確保できるとして、子供手当てやガソリン税・高速道路無料化などの出来もしない政策を掲げ、挫折した。現実性のない空理空論だと途中で判ったのだが、頬かむりをしたままに逃げ続け国会を解散する直前になってやっと修正した。

「原発ゼロ」も同様で、昭和中期の高度成長前に戻るならいざ知らず、今の状態でエネルギーだけ止めるのは無理だろう。原発の危険性と同居しながら、うまく共存しなければならないのが現実である。

 国際紛争解決に際して、国連中心主義を唱える人も実体的ではない。シリアやパレスチナなど見てもわかるように、国連が主導して紛争を解決した実績もないし、まして国連軍などどこにも無い。自国の防衛は同盟国と共同で守らなければならないのが現実である。

安全保障は実体論であり、空理空論は百害あって一利もない。

師走の忙しい中の選挙で、しかも、多党乱立の中でわれわれが選ばなければならないのは、実体論を掲げる政党と候補者ではないだろうか。

われわれ選挙民には、出来もしないことをさも出来るように主張する党と候補者を排除する見識が問われている。

空理空論に票を投じるのは、まやかしの宗教に賽銭を上げるようなもので、その人たちが世にはびこり、私腹を肥やすことを応援するに等しい。

中国・朝鮮半島・ロシアそしてアメリカに囲まれた現実と向き合って、豊かにそして安全に生きられる国家を作るにはどうするのか。

とりわけ安全保障は実体論である。実体感覚を持って候補を選ぶことが大事だと思う。

(松島悠佐、20121121

歴史人12月号

今月発売されました歴史人12月号の特集記事「尖閣諸島の真実」を当研究所の松島代表が監修されました。20ページにわたって貴重な資料とともにわかりやすく解説されております。
 まさに今、話題になっている尖閣諸島問題の概要がわかる資料となっておりますので、この機会に是非ご一読頂ければ幸いです。(事務局)
 本文より
 明治に日本領へと編入されて以来、尖閣島は日本固有の領土として沖縄県石垣市に属している。
 しかし、今、尖閣の領有権を主張する中国・台湾によってその歴史的事実が歪曲されようとしている。
 尖閣はいかにして日本領となり、現在までに何が起きていたのか。100年の歴史をひも解く。
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新内閣への期待

野田内閣が解散し総選挙となった。私は当然のことだと思うのだが、『俺の選挙はどうなるのだ』と考える民主党の議員は慌てたのだろう。

だが、尖閣諸島や竹島の問題、沖縄での普天間やオスプレイ配備、北朝鮮の拉致問題など、やらなければならないことが沢山あるのに、何にもしない内閣は存在しても意味が無いと思っていたので、解散は当然のことである。

国家・国益を考えて、不人気なことや耳障りの悪いことでも、あえて実行するのが政治家の信条だと思うからである。

次の政権に就く人には、憲法を見直して国家戦略・国家運営の基本を定めてほしいと思う。その第1が、国家防衛に関する基本的な事項を、抜本的に改革してもらうことである。

 自衛隊が出来てから60年近くになるが、こと防衛問題に関しては、とにかく基本問題には触れず、とりあえず出来ることだけをやって、事態に何とか対応し、辻褄を合わせながらくぐり抜けてきたのが実態だからである。

選挙の結果を勝手に予測するわけにも行かないが、自民党の安さんならかつて総理として,集団的自衛権の解釈や国家安全保障会議の制定などに取り組む姿勢を明確にしていたことから、その理念と実績に期待したい。

石原氏・平沼氏の新党にも、これまで政治家として行ってきた国家観ある実績に期待したい。

憲法を改正し、国家防衛の基本を正すことは、簡単には実現出きるものではない。この半世紀の議論を見てくれば、正に色々な視点から、色々な意見があり、改革の道は平坦ではない。

安倍自民党総裁が5年ほど前に『美しい国へ』という本を出した。「闘う政治家」でなければ、抜本的な改革は不可能だが、残念ながら「闘う政治家」は少なく、多数を占める「闘わない政治家」たちが、批判を避けて中庸の案で納めようと働きかけ、これが、憲法改正をはじめとする本質的な改革の実現を阻んでいると書いている。

今回はこうならないように、「闘わない政治家」にはお引取り願いたいものである。

抜本的な改革の実現に向けて、「闘う政治家」を増やし、「闘わない政治家」を減ずるのは、しかしわれわれ有権者の責任でもある。(松島悠佐、2012・11・16)

尖閣諸島問題と日米防衛協力のための指針

尖閣諸島の国有化表明から2ヶ月が経ち、相変わらず中国の海洋監視船が接続水域の航行を続け、時折日本領海に侵入を繰り返している。以前にも書いたが、これは中国の予定の行動だから、日本が音を上げるまで10年でも20年でも執拗に続けてくるだろう。

 

海上保安庁は、全国から巡視艇を集めやり繰り算段しながら警備の体制を強化している。大変な苦労と思うが、この状態はまだまだ続くだろう。

自衛隊もAWACSE2CP3Cによって遠方海域から近海域・海中までも監視している。米軍も空母機動隊群も含めて不測の事態に備えた態勢をとっている。

 

今は、不測の事態が起きる可能性は少ない。それは中国自身が手出しを出来ないことを知っているからである。日米安保があり、後ろに米軍がいるからである。中国は負けるとわかっている戦争はしない。

もし日米安保が機能せず、米軍のプレゼンスがなかったら、今頃は尖閣諸島に中国の五星紅旗が翻っているかもしれない。南シナ海のスプラトリーと同じである。

 

戦後60年にわたる日本の安全は日米安保が守ってきたのが事実である。

「平和・平和」と口で唱えて守ってきたわけではない。

とかく平和ボケなどと言われるわが国は、今回の尖閣諸島事態から、日米安保の価値、とりわけ米軍のプレゼンスの意義を再認識する事が大事だろう。

 

折りしも目下『日米防衛協力のための指針』(ガイドライン)を見直す動きがあり、長島防衛副大臣がアメリカに行っている。

現在のガイドラインは北朝鮮のミサイル騒動が起きた1997年に、日本周辺事態において「日米共同作戦計画」を正式に作成することを狙いにして定められた。

 

日米の目下の課題は、中国の軍事的圧力に対し、日米共同で如何に戦うのかを実体的に定めることだろう。

ガイドラインをしっかり定めて、それに基づく国内法を整備することが喫緊の課題である。

国益を考えて、それが出来るような政府を早く作らなければならない。(松島悠佐)

殲-31

昨日発売の「週刊文春」11月15日号、38ページに、今、中国についての新進気鋭ジャーナリスト富坂 聰氏の記事が載っています。題して「人民解放軍 前代未聞“幹部総入れ替え“は尖閣シフト」というものです。

この中で、八日開幕した「中国共産党第十八回代表大会(十八大)」を前に、十一月一日、中国メディアが一斉に伝えた、中国が開発中の二機目のステルス機、殲―31について、当研究所副代表 島本順光のコメントが紹介されています。

前回もWEDGE誌(7月号)に、米国で開発中のF-35ステルス戦闘機についての論文記事が掲載されましたが、航空機開発に長年携わってきた経験をもとに論ずる副代表の意見が求められたものと考えられます。

記事では少ししか触れられていませんが、航空機用エンジンの開発がいかに難しく、そして決定的に重要であるかについても、取材時には話したそうです。これは副代表がIHI社に1年間「ジェットエンジン研修」をした経験から強く考えていることです。

また「ステルス技術」というものは、形状だけ真似しても、全く実用には供し得ないものであり、先に米国国防長官訪中時、初飛行した殲-20とともに、今回の殲-31は、まさに「張子の虎」とも言うべきもので、十八大のための花火と考えられます。

しかし、航空機開発、および航空機エンジン開発に巨額の予算を投入するという報道もあり、10年後を考えれば「本物のトラ」に変身するかもしれません。その時に万全の態勢を整えておかなければ国防とは言えないでしょう。

国防の基盤をなす防衛産業を本気で支援することが喫緊の課題です。
津々谷 格
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