2012年12月

新内閣に期待する日米安保の実質的な深化

日米安保の重要性については今更説明を要しないが、民主党政権下では実質的な深化はなかった。と言うよりも、鳩山元総理の不適切な発言で日米の信頼関係にもヒビが入り、沖縄問題も頓挫してしまった。

昨年秋には、沖縄近海で予定されていた日米共同の離島奪還訓練も急遽中止された。尖閣諸島の近くでこの種訓練をすることは中国を刺激するとの配慮があったようである。

「危機突破」を掲げた新政権が発足し、安全保障に関しては、憲法改正、安全保障基本法の制定など、基本法制の改正から、『日米防衛協力のための指針』(ガイドライン)の見直し、それに基づく国内法の整備、自衛隊の充実強化などの政策を掲げている。

わが国防衛の基本的な問題の解決は大変重要なのだが、憲法や基本法の制定については与党内にもいろいろな意見があり、それほど簡単に出来る訳でもなさそうである。しかもこれまで等閑視してきた流れがあるので、実行するには相当のリーダーシップが必要だろう。速やかに実行に移してもらいたいが時間がかかるのは必定である。

直ぐに実行しなければならないことは、『日米防衛協力のための指針』(ガイドライン)の見直しではなかろうか。現在のガイドラインは北朝鮮のミサイル騒動が起きた1997年に、朝鮮有事を想定して作られたものであり、中国の軍事的圧力に対し日米共同で如何に戦うかという目下の課題には適したものではない。

アメリカは昨年初めアジア太平洋重視の新戦略を発表し、わが国はもとより韓国・オーストラリアを始め東南アジア諸国との連携を強化し中国の軍事的進出を押さえ込む体制を造りはじめている。

だが、アメリカも財政事情が悪化しているため、アジア太平洋を重視したからといって、単純に軍事態勢を強化するわけにも行かない。そこで、同盟諸国・友好諸国の防衛機能を強化し、連携体制を重視した体制を採ろうとしている。

時期を限って米海兵隊などを同盟国等の基地に展開し、共同訓練を充実する方策や、有事のアクセスを強化する施策を準備するなど、今までとは違った新たな方式を相当に採り入れている。

そのような視点から、日米防衛協力を実体的に進化させる新たなガイドラインの作成が喫緊の課題であり、それに基づいて速やかにわが国の防衛力を整備し直すことが必要である。

安全保障上の今年の最重要課題は、日米安保の実質的な深化だろう。(松島悠佐)

参考になる風景①

 先般、所用で長崎県大村市にある海上自衛隊大村航空基地を訪問する機会がありました。大村航空基地は、長崎空港発足以前の旧大村空港にあり、現在は海上自衛隊のヘリコプター部隊、第22航空群が長崎空港のA滑走路を使用して海上防衛の任務に就いています。第22航空群は護衛艦に搭載されるヘリコプターの母基地で、艦載ヘリコプター部隊と救難ヘリコプター部隊から編制されています。

 長崎空港は、197551日開港した国土交通省が管理する第2種空港で、正確には長崎空港B滑走路とそれに付随する施設のことを言い、長崎湾のほぼ中程、海岸から沖合2kmに浮かぶ箕島(みしま)全体を占め、世界初の海上空港です。長崎空港は、フランスの超音速旅客機、コンコルドが飛来した日本の数少ない空港の一つで、第2種空港では唯一の飛来歴を持つ空港です。

 

 昨今の自衛隊は、海外での任務も増え、海上自衛隊は海賊対処のため、ソマリア沖アデン湾に部隊を派遣しています。第22航空群からも護衛艦に搭載するヘリコプターと隊員が派遣されています。派遣されている隊員達は国際貢献の一翼を担う任務に誇りを持って任務に邁進していますが、実際の任務は緊張の連続で厳しさは想像以上のようです。

n01

 今回の参考になる風景は、昼食の時に立ち寄った海上自衛隊大村航空基地厚生センター内のトイレで遭遇したものです。

「一生懸命だと知恵が出る  中途半端だと愚痴がでる  いい加減だと言訳がでる」(上写真)

 これを見て、一瞬、用足し中にもかかわらず不謹慎にも、「五省(ごせい)」が頭をよぎりました。
n02

五省は、昭和7年、第34代海軍兵学校長松下元(はじめ)少将の発案で、海軍兵学校において 夜間、「自習止め5分前」のラッパとともに生徒は姿勢を正して瞑目し、心の中でその問いに答えながらその日一日の自分の行動を自省自戒していました。

  一 至誠(しせい)に悖(もと)るなかりしか

    (真心に反することはなかったか?)

  一 言行に恥ずるなかりしか

    (言葉と行いに恥ずかしいところはなかったか?)

  一 気力に欠くるなかりしか

    (気力が欠けていなかったか?)

  一 努力に憾(うら)みなかりしか

    (努力不足ではなかったか?)

  一 無精に亘るなかりしか

    (無精になってはいなかったか?)

 
五省は、現在の海上自衛隊にも受け継がれています。海軍兵学校のあった、広島県江田島市に所在する海上自衛隊幹部候補生学校及び第1術科学校の学生たちは、海軍兵学校時代と同様、自習時間の終了5分前になると五省を唱和しその日の自分自身を顧みて日々の修養に励んでいます。
n03
 
 
「知恵はでていますか? 愚痴はでていませんか? 言訳はでていませんか?」 

五省とともに自分自身に問いかけてみてください。

 

 総選挙の時の街頭演説は、誹謗中傷、愚痴、言訳ばかり。今は、将来を見据えた、実現可能で建設的な施策が必要な時。「国民の目線・・・」や「国民の声・・・」など、本質から目を背け、耳障りの良い言葉に釣られて、国の将来を誤らないようにしたいものです。

 政治には、国政、県政、市政などそれぞれのレベルがあります。国政は国会議員が国のため、国民のために司る政(まつりごと)、県政は県会議員が県・県民のために、市政は市・市民のために、が基本でしょう。それぞれのレベルに合致した基準で選ぶことが大切、おらが村の国会議員には疑問が残ります。

政治家たる人達には、常に自分自身を顧みて日々の修養に励みつつ、主義主張にこだわり過ぎて本質から目を背けることなく、無責任な井戸端会議レベルから脱却した大所高所からの責任ある議論をお願いしたいものです。(中村 徹

新内閣への期待

 今回の選挙は、出来もしないことをさも出来るように唱えていた、まやかしの政治はもうごめんだと言う国民の意識の表明だったと思う。

 当然ながら、新内閣には実体的・実務的な政策を推進することに期待が集まるだろう。選挙の前11月にも「新内閣への期待」を書いたが、予想したように安部政権が出来たので、憲法を改正し、国家防衛の基本を正す改革を進めて欲しいと改めて期待する。

ただし、この半世紀の議論を見てくれば、正に色々な視点から、色々な意見があり、改革の道は平坦ではないことは明らかである。

だが、今度の選挙では、いわゆるチルドレンと称された議員がいなくなって、国家観を持った代議士が増えているので、是非基本的な改革に取り組んでもらいたいと思う。

 

安全保障の施策でまずやって欲しいことは、「日米共同防衛体制の深化」であり、とりわけ『日米防衛協力のための指針』(ガイドライン)の見直しでえある。

現在のガイドラインは北朝鮮のミサイル騒動が起きた1997年に、朝鮮有事を想定して作られたものであり、目下の課題である、中国の軍事的圧力に対し、日米共同で如何に戦うのかを実体的に定めることが必要になっている。

 

 アメリカは今年の初めアジア太平洋重視の新戦略を発表し、わが国はもとより韓国・オーストラリアを始め東南アジア諸国との連携を強化し中国の軍事的進出を押さえ込む体制を造りはじめた。

だが、アメリカも財政事情が悪化しているため、アジア太平洋を重視したからといって、単純に軍事態勢を強化するわけにも行かない。そこで、同盟諸国・友好諸国の防衛機能を強化し、連携体制を重視した体制をとろうとしている。

時期を限って米海兵隊などを同盟国等の基地に展開し、共同訓練を充実することや、有事のアクセスを強化する施策を準備するなど、相当に新たな方式が考えられている。

日米両国がお互いの役割をしっかり定め、それに従ってそれぞれの国内法を整備し、軍備を充実強化する等、実体的な防衛体制を整備することが肝要になっている。

TPPの検討もそのような視点から行われるべきだろう。

新内閣には、「日米共同防衛体制を実体的に深化させる」ことを期待したい。

 (松島悠佐)

日米同盟における東・南シナ海問題の重要性

12月6日、日本戦略研究フォーラム(会長:中條高徳氏)が主催した「日米同盟における東・南シナ海問題の重要性」のシンポジウムが開かれ、拝聴させてもらった。

 

 導入報告では、「東シナ海と南シナ海における1年間の変容」と題して小谷哲男氏(日本国際問題研究所研究員)がクロノロジーを報告し、ついで桜井よしこ氏による基調報告「より良い日米同盟のために―中国の脅威を見極めよ-」が行われた。

 引き続いて次の6氏からそれぞれのテーマについて報告がありオープンディスカッションに移った。

・ジェームス・クラスカ氏(米海軍大学教授)「中国の海洋権益主張の法的問題」

・川村純彦氏(JFSS海洋安全保障研究会代表・元海自将官)「現代中国の海軍力」

・エドアルド・サントス氏(フィリピン海事アカデミー校長)

「スカボロー礁を巡る中比対立」

・グエン・フン・ソン氏(ベトナム外交学院副院長)

                 「南シナ海情勢 -ベトナムの視点-」

・グラント・ニューシャム氏(米海兵隊大佐)

               「統合および共同海洋作戦についての一考察」

・金田秀昭氏(JFSS政策提言委員・元海自将官) 

「南西諸島防衛についての日本の考え方」

 司会はジェームス・アワー氏(バンダービルト大学教授)が勤められ約4時間にわたり熱心な討議が行われた。

 討議内容は後日「日本戦略研究フォーラム」から発表されるので、許可を得て転載させていただこうと思っているが、概要については、東シナ海・南シナ海のシーレーンの安全確保が重要であり、わが国はもっと真剣に対応を考えなければならないというものであり、非常に具体的な内容で示唆に富むものだった。

 特に、ベトナム・フィリピンから招いたパネラーが、現実に東・南シナ海で起こっている中国の横暴な行動を具体的に提示し、注意を喚起していたことが印象に残った。

 わが国としては政治的な判断と施策がともなうことであり、是非政治家に聞いて欲しい内容だったが、選挙のためか政治家の参加は皆無で残念だった。(松島悠佐)

国防軍の呼称

  自民党の選挙公約に、憲法を改正し自衛隊を国防軍にすることが明記され、それに対する他党の意見がでている。民主党も公明党も右傾化を警戒して批判的な意見だが、選挙を前にして国民を刺激せず穏便に済ませたいという思いがあるのだろうか。

独立国が国防軍を持つのは当たり前の話で、それがおかしいと言う感覚がおかしいように思う。

中国が尖閣諸島を狙い、韓国が竹島を占拠し、ロシアが北方四島を占領し、北朝鮮がミサイルの射撃を準備している時に、政党の公約でこのような論争をしていることを、他の国が聞いたら笑いを通り越して不可解に思うだろう。

国際法や、国連憲章を見ても国を守るものは『ARMED FORCE』であり、直訳すれば「武装力」、普通の日本語では『軍・軍隊』と呼んでいる。

国を守る軍隊だから『国防軍』と呼称するのが当然であり、野田総理も公明党の山口代表も普通に話す時は『国防軍』という呼び方にあまり違和感を持っていないようなのに、国民に訴える選挙のなると慎重になる。

私はここに根本的な問題があるような気がする。一票を投じて欲しいと期待している票田の国民意識が、『国防軍』という呼び方は右傾化した危険な考えだと思う人が多いからだろう。

集団的自衛権の問題も同じである。国家としての権利はあるのだから、素直に行使すればよいのだが、そこに踏み込むことに抵抗感を持っている国民意識があり、政治家もなかなか踏み出そうとはしない。

以前のブログにも書いたのだが、次の政権を担う政党には、憲法を見直して国家戦略・国家運営の基本を定めてほしいと思っている。

国家・国益を考えて、不人気なことや耳障りの悪いことでも、あえて実行するのが政治家の信条ではないだろうか。

国民意識に迎合ばかりする政治家は要らない。正しいと思ったことを敢然とやり抜き、国民の意識をリードできる戦う政治家が必要である。(松島悠佐20121129

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