2013年03月

「アメリカの思惑」の発刊によせて

3月、「アメリカの思惑」を発刊することができた。

 1月のブログにも書いたのだが、今年の最重要課題は、日米安保の実質的な深化になるだろうと思われ、その際、アメリカが何を考えているのか、その思惑をしっかり把握することが大事である。

 アメリカでは二期目のオバマ政権が発足し、アジア太平洋を重視する戦略を継承する姿勢である。だがアメリカは、経済的にも外交的にも、かつてのようなパックス・アメリカーナの力にかげりが出ている。

 そのような中で「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の検討がいよいよ実質的に動き出すことになり、さらにそれを踏まえて「防衛計画の大綱」も見直すことになる。

中国・朝鮮半島・極東ロシアのわが国周辺情勢ととともに、「アメリカの思惑」をしっかり踏まえて検討を進めてもらいたい。

 そのような意味から、「尖閣諸島が危ない」「朝鮮半島が危ない」「極東ロシアの軋轢」に続いて「アメリカの思惑」を発刊した。

参考にしてもらえば幸いである。(松島悠佐)

最新刊「アメリカの思惑」出版 防衛システム研究所編

new009_06当研究所は「尖閣諸島が危ない」、「朝鮮半島が危ない」、「極東ロシアの軋轢(あつれき)」と、我が国の安全保障に密接に関連する周辺各国について研究成果を発表してきた。

今回はさらに重要な同盟国「アメリカ」について、その本音に鋭く迫る一編である。

同盟国といえども、自分の国の国益を追求するのが当然であることは自明である。アメリカがどのような思惑を持って我が国に接しているかを、アメリカの伝統的価値観、現オバマ政権要職者の発言、各種文書、在米経験者の意見などを分析・研究した成果が本書である。

当研究所の『危ないシリーズ』第4作目である。

この4作から、さらに我が国が進むべき方向を安全保障の面から研究・検討し、我が国の取るべき政策をまとめることを現在進めている。

 防衛システム研究所

軍事力の透明性

中国の国会に相当する全人代(全国人民代表大会)が始まって、今年の国防費も前年比10%を越える増加を発表した。わが国の2倍を超える国防費だが、中国は「国家の海洋権益を守るためである」と言っている。

わが国もアメリカも中国の軍事力増強は不透明であると言って、何のためにそれほどの軍事力を強化する必要があるのかと批判している。

だが、もともと軍事力に透明性を期待するのは無理なことである。相手に手の内を読まれないように、不透明な状態にしておくのが抑止効果にもなるからである。

中国になぜそれ程の軍事力強化が必要なのかと問えば、自国防衛のためであると答える。これも当然だろう。他国を攻撃するために軍事力を強化していると主張するような国はないからである。

中国人としては、自国の周囲に相当広範囲の安全地帯を作っておかないと安心できないという感覚を持っている。これは清王朝の昔から変わらない中国人の意識である。

東シナ海・南シナ海を領海化するためには、さらに南西諸島を越えて西太平洋にまで行動できる軍事力を持つことが自国の防衛に必要なことと考えているのだろう。

 

わが国も中国の不透明性を批判するだけではなく、遠慮せずに自国防衛の主張を堂々とするべきである。

すなわち、「中国が西太平洋にまで行動できる軍事力を持つのは勝手だが、東シナ海の東半分は日本に権益があり、尖閣諸島を含め南西諸島は日本の領土であり、一切の干渉は許さない。わが国はそのような干渉を排除するために必要な防衛力を準備すると共に、日米安保を強化する」という主張である。

それが中国に対する正しいシグナルだろう。

日本が自ら十分な防衛体制も採らずに、中国の軍拡を批判ばかりしている姿勢は、中国へ誤ったシグナルを送ることになる。

すなわち「東シナ海の領海化や西太平洋への進出のために、南西諸島を牽制下に収めることができるのではないか」というシグナルである。

中国に付け入る隙を与えてはならない。

安倍総理が遠慮がちに進めている防衛力強化の施策は、もっと堂々と積極的に進めるべきではなかろうか。

「軍事力の透明性」というのは、こういうことを明らかにすることだろう。

(松島悠佐)

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