2017年02月

軍事に関する研究は悪なのか

「軍事に関する研究は悪なのか」


「大学の研究機関は軍事に関する研究をしない」あるいは「してはいけない」という議論が行われていた。自国防衛に対する戦後のわが国の偏見の縮図のような議論である。

大東亜戦争後のアメリカの占領、なかんずく東京裁判や国家神道の廃止・日本史の否定などの影響を受けて、戦争を起こした日本の歴史は間違いであり軍事は悪であり抹殺すべきものとして、マッカーサーの占領政策が行われた。占領直後のわが国ではそれを呑まざるを得なかった事情もあり、終戦直後はその考えが正しいこととされてきた。

しかし年を経ると共に、自国の防衛はそのように簡単に放棄できるものではないことが解ってきた。中国や北朝鮮の軍事力をわが国への脅威と認識し、自衛隊を持ち日米安保を強化して、その脅威に備えなければならないと考える国民も増えてきた。


日本学術会議は日本の科学者の集まりであり、言わば知能の高い研究者の集まりだと思うのだが、「軍事利用は避けるべきだ。昔決定した事を尊重するべきだ」と声高に主張する研究者を見て被占領時代に戻ったような錯覚に陥り、「マッカーサーの教え子が健在だったのか」と思ってしまった。

多分ご本人は「俺はマッカーサーの教え子なんかではない」といわれると思うが、本人が気付つかない間に洗脳が進んでいることに今更ながらマッカーサーの占領政策の上手さに感心する。


宇宙開発も同様に、戦後ずっと「宇宙開発の平和利用」を標榜し軍事利用を避けてきたのだが、国際的な開発の遅れから数年前にこれを撤回し、今では防衛用の情報収集衛星や通信衛星を打ち上げている。

軍事に関する研究の是非についての議論は、防衛省の研究助成制度の適用をどう考えるのかということが発端だったが、被占領間に刷り込まれた「戦争は悪、自衛戦争といえども日本には戦争を許さない。」というマッカーサーの教えが今も生きていることに驚かされた。

自国の防衛は国民みんなの義務であり、もうそろそろ被占領時代のアレルギーから脱出してよいのではないかと思う。

国民が国家防衛の義務を怠ったら誰がやるのだろうか?国民の英知を集めて立派な防衛態勢を作る事こそ国民に課せられた課題だろう。だとすれば研究でも教育でも、国民の総力を発揮すべきではないのか。

立派な防衛態勢を作ることが悪ではなくて、それを誤って使うのが悪につながるのだろう。

だったら他の国がうらやむような立派な軍事力(防衛力)を作って、それを正しく運用できるような国家になることを標榜すべきではないだろうか。

もういい加減に目を覚まし、「自国の防衛をいかにすべきか」もっと素直に且つ真剣に考えるべきではなかろうか。

(2017・2・23 松島悠佐)


トランプ大統領のテロ対策

「トランプ大統領のテロ対策」
 

トランプ大統領はテロ対策の一環として、中東など7カ国からの入国を緊急的に阻止する大統領令を発した。これが憲法に違反するとして連邦司法裁判所から提訴されている。

この混乱は暫く続きそうだが、日本のメディアはトランプ大統領が独断と偏見で決定したことで、国際的な視点に欠けているとの意見が強いようだ。

確かに、コンピューター業界をはじめ各界ではグローバル化が進み、緊急的に阻止された中東7カ国からの人の出入りも多く、活躍している人も多いようで大統領令には問題ありとの意見も強いようだ。

だが、テロを阻止するという視点から見るとどうだろうか?

テロ組織はあらゆる機会を利用して実行の機会をうかがっている。

2月15日、北朝鮮の金正男がクアラルンプール国際空港で暗殺された事件が起きた。小説まがいの出来事だが、要人暗殺や破壊活動など、テロ組織はわれわれの普段の常識では考え付かないことを仕掛けてくる。テロ阻止という視点に立てば、アメリカも国際協調を重視し性善説を掲げて中東からの移住を受け入れるわけにはいかないのだろう。

9・11テロからすでに16年が経っているのに、テロ組織を完全に阻止する有効な手立ては出来ていない。トランプ大統領から見れば、今までやるべきことをやっていないとの思いが強いのだろう。

トランプ大統領が目論んでいるのはテロ組織侵入を阻止する緊急対処である。テロを阻止する施策を作るまでの緊急措置として3ヶ月ほど移入を禁止するというものである。

3ヶ月ほどでどれだけのことが出来るかわからないが、トランプ流に進めれば有効なものが出来るかもしれない。

わが国でも、テロ組織認定の幅を少し広げるだけでいろいろと議論が起きている。テロはもともと合法的なものではないので、性善説で検討しても限界がある。

危機管理、特にテロに対する緊急事態の対応などを考える際には、時に常識の枠にとらわれず、時に性悪説に立って対処しないと出来ないこともある。

トランプ大統領が考えている施策は、わが国のように国家緊急事態という認識が薄い国にとっては特に貴重なものになるだろう。


テロが起きれば被害を受けるのは国民であり、それに対処するのは政府・警察・軍(自衛隊)等である。司法関係者が法律論を語っても対応は出来ないだろう。

日本は国際的には安全に疎い国と見られているが、テロへの備えはわが国にとっても重要な事案である。

トランプ大統領令は強引な手法かもしれないが、その強引さを批判するだけではなく、テロ対策を万全にするという視点からどうすればよいのかを考えるよい機会にすべきだろう。

(2017・2・16 松島 悠佐)

 

マティス国防長官の先制攻撃

「マティス国防長官の先制攻撃」

2月に入ってアメリカのマティス国防長官が韓国と日本を相次いで訪問したが、これは正に中国に対する先制攻撃だった。

中国はトランプ大統領になってから米軍の出方を一番気にしていたと思う。

端的に言えば、日米安保や米韓安保はどう機能しているのか、「瀬踏み」をしたいと思っていたのだろう。

しかし、マティス国防長官は就任早々に韓国を訪れ、北朝鮮の弾道ミサイルに備え「最終段階高高度ミサイル(THAAD)」の在韓米軍配備を確認し、3日日本に到着すると、尖閣諸島の対応は日米安保の範疇であることを宣言した。


「どのような事態になったら、米軍は本気で出てくるのだろうか?」と「瀬踏み」したかった中国の機先を制して手をうった感じがする。さすがは海兵隊の大将だと感心した。


日米安保・米韓安保の実効性は政治レベルでは明確になった。

具体的にどのような作戦をとるのかは軍レベルの検討になるのだろう。

何処よりもまず日本と韓国を訪問し政治レベルの判断を下したことは、アメリカが如何に中国を重視しこれを封じ込めようとしているかがわかる。

これからの軍の対応は防衛秘密に属することだが、万端怠りないことを期待したい。

(2017.2・4 松島悠佐)


防衛努力

「防衛努力の相場」


「貴国は防衛努力がたりない」とか「いや、わが国は十分な努力をしている」などという議論が起きる。日米防衛担当者の間や、NATO同盟国の間でよく起きる議論である。

防衛努力は国家緊急事態の保険のようなものだから,われわれの身の回りの保険と同じくなるべく掛け金を少なくしてイザという時の保証は手厚くもらいたいと思っている。それは個人も国家も同じである。だが、そこにもある程度の相場がある。

国防費で言うと、わが国は毎年5兆円程度の防衛予算を組んでいる。国家総生産(GDP)500兆円とすれば、その1%を防衛に投資していることになる。因みに列国の状況を見ると、アメリカ3%以上、ドイツ・イギリス・フランスなどの中級国家は2%近くを投資している。

兵員数で見ると、全人口の1%以下の投資(0.5~0.8%ぐらい)が妥当な割合のようで、アメリカが0.6%、ドイツ・イギリス・フランスなどが0.4~0.5%程度である。

因みに日本は0.2%である。

戦時下で対峙している朝鮮半島では、韓国が1.5%、北朝鮮が5%を超えている。5%も軍隊に投資すると、労働人口が減ってこれでは国の生産性が上がらないのは当然だろう。

このような世界的な相場から見ると、「日本の投資は少ない。今の倍ぐらい投資してもいいのではないか」と、同盟国アメリカからもたびたび指摘されてきた。今回の防衛相会談でもそのような話が出るのだろうか。


だが、日本は米軍に基地を提供し、しかもわが国内の政治経済基盤が安定していることから、アジア・中東などの安全保障に睨みを効かせている米軍にとって、日本に基地があることは貴重な財産になっている。

日本の基地提供の負担は、なかなか金額では評価出来ないので話は簡単には決着しない。米軍への思いやり予算などいつも問題になっているのだが、総じて米軍は日本に駐留していることで大きな利益を生んでいる。そのことは元海兵隊の大将だったアメリカのマティス国防長官は十分承知していることである。


わが国の防衛力の問題は、憲法の制約を受けているので、列国の軍隊とは違う歯止めが掛かっている。その結果、「専守防衛」という戦理的には問題のある方針がかかげられ、アメリカへの依存体質がある。

さらに、核の問題では「唯一の被爆国」として特異な問題もあり、核廃絶を掲げながらイザとなったらアメリカの核に依存している。

複雑で難しい問題だが、日本の防衛努力は特異な日本の環境を前提にして質と量の両面から考えないと解決できない。

日米の強力な連携と安部総理以下主要閣僚の対応に期待している。(2017・2松島悠佐)


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