テロ対策

組織犯罪処罰法改正案(テロ準備罪法案)の国会審議

 「 組織犯罪処罰法改正案(テロ準備罪法案)の国会審議」


テロ対策の一環として国会で審議されていた「テロ準備罪法案」が、いよいよ終盤の審議に入ってきた。

この問題については、2月に「トランプ大統領のテロ対策」でも少し触れたが、テロを未然に防ぐには性善説で検討するには限界があり、性悪説に立って対処しないと出来ないことも多いと思う。

この審議では、「対象を拡大して捉えないとテロを捕捉出来ない」とする意見と、「あまり広げると一般の人や労働組合などまでが対象になりかねない」と警戒する意見があり、対象組織を絞り込むのが難しかったようである。

具体的な検討は難しいが、テロを阻止しようとすれば「一般の人や組織」もまず疑って掛からなければならないのではないかと思う。

つい先日ロンドンで起きたテロも事態の直前まで「一般の人」として車を運転していた人が、突然歩道を暴走し市民を跳ね警察官を殺害した。

街に据えられた監視カメラも「悪い人も一般の人」も分け隔てなく監視している。それがプライバシイの侵害になると言う人もいるが、その位のことは我慢すべきだと思っている人が殆どだろう。

イスラエルに旅行した時のことだが、飛行機の手荷物検査は徹底していた。出発の2時間前に空港に来いと言われてそのとおりにしたが、荷物を全部あけて調べていた。

「俺は怪しい者ではない」と言いたかったが、敵性国家に囲まれたイスラエルだから仕方のないことだと思って諦めた。


9.11事件や地下鉄サリン事件、あるいはアジア・ヨーロッパで起きている爆破事件などどれを見ても、平常の生活では考えられないことが起きている。

テロを阻止するという視点から見ると「一般の人や組織」もまず疑って対応してもらう方が、安心なのではないだろうか。

“疑ったらきりがなく、普通の人まで疑われるようになる”として人権侵害を盾に、主張する政党や政治家もいるが、テロの本質はそこにつけこむのが狙いだろう。

テロ組織はあらゆる機会を利用して実行の機会をうかがっている。テロに備えるためには「性善説ではなく性悪説」、「一般の人や組織も多少の犠牲や不便を強いられる」ものだと理解することが大事だろう。

(2017・3・24 松島悠佐)


トランプ大統領のテロ対策

「トランプ大統領のテロ対策」
 

トランプ大統領はテロ対策の一環として、中東など7カ国からの入国を緊急的に阻止する大統領令を発した。これが憲法に違反するとして連邦司法裁判所から提訴されている。

この混乱は暫く続きそうだが、日本のメディアはトランプ大統領が独断と偏見で決定したことで、国際的な視点に欠けているとの意見が強いようだ。

確かに、コンピューター業界をはじめ各界ではグローバル化が進み、緊急的に阻止された中東7カ国からの人の出入りも多く、活躍している人も多いようで大統領令には問題ありとの意見も強いようだ。

だが、テロを阻止するという視点から見るとどうだろうか?

テロ組織はあらゆる機会を利用して実行の機会をうかがっている。

2月15日、北朝鮮の金正男がクアラルンプール国際空港で暗殺された事件が起きた。小説まがいの出来事だが、要人暗殺や破壊活動など、テロ組織はわれわれの普段の常識では考え付かないことを仕掛けてくる。テロ阻止という視点に立てば、アメリカも国際協調を重視し性善説を掲げて中東からの移住を受け入れるわけにはいかないのだろう。

9・11テロからすでに16年が経っているのに、テロ組織を完全に阻止する有効な手立ては出来ていない。トランプ大統領から見れば、今までやるべきことをやっていないとの思いが強いのだろう。

トランプ大統領が目論んでいるのはテロ組織侵入を阻止する緊急対処である。テロを阻止する施策を作るまでの緊急措置として3ヶ月ほど移入を禁止するというものである。

3ヶ月ほどでどれだけのことが出来るかわからないが、トランプ流に進めれば有効なものが出来るかもしれない。

わが国でも、テロ組織認定の幅を少し広げるだけでいろいろと議論が起きている。テロはもともと合法的なものではないので、性善説で検討しても限界がある。

危機管理、特にテロに対する緊急事態の対応などを考える際には、時に常識の枠にとらわれず、時に性悪説に立って対処しないと出来ないこともある。

トランプ大統領が考えている施策は、わが国のように国家緊急事態という認識が薄い国にとっては特に貴重なものになるだろう。


テロが起きれば被害を受けるのは国民であり、それに対処するのは政府・警察・軍(自衛隊)等である。司法関係者が法律論を語っても対応は出来ないだろう。

日本は国際的には安全に疎い国と見られているが、テロへの備えはわが国にとっても重要な事案である。

トランプ大統領令は強引な手法かもしれないが、その強引さを批判するだけではなく、テロ対策を万全にするという視点からどうすればよいのかを考えるよい機会にすべきだろう。

(2017・2・16 松島 悠佐)

 
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