中国

北朝鮮情勢

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「北朝鮮情勢」


北朝鮮の核実験を受けて国連安保理が新たな制裁を発議した。

関係理事国の対応にはそれぞれの思惑があり、色々と報道されているが幣研究所の意見は次のようなものになった。


① 結論として、常識的には近々(5年以内くらい)に戦争は起きないだろう。間違って暴挙に出る戦争の可能性は否定できないが、その確立は少ないだろう。

理由は、関係各国が誰も戦争を望んでいないし、誰の得にもならないからである。

ただし暴挙は予測できないので警戒は必要だ。

② 各国の思惑を振り返ると次のようなことになる。

 アメリカ:・朝鮮半島はアジアへの足がかりであり、親米勢力として確保したい。

      ・社会主義・反米勢力としての半島統一を許すわけにはいかない。

      ・半島の紛争に巻き込まれてハワイや本土への被害を被りたくない。

 中国  :・アジアへのアメリカの干渉を排除したい。

・半島を社会主義・親中勢力として統一したい。

・北朝鮮がアメリカの軍事的圧迫を受ないように支援するがアメリカとの戦争はしたくない。

 ロシア :・アジアへのアメリカの干渉を排除したいが戦争の被害は受けたくない。

      ・極東は日本と協力して経済開発の基盤にしたい。

・統一後の半島を親ロシア勢力として協力させたい。

 日本  :・日米同盟を強化しつつロシアとの経済協力・中国と関係強化を図りながらの地域の安定を図ることが第一で戦争は回避したい。

 北朝鮮 :・半島統一が国是だが、そのためには米軍の介入を阻止しなければならない。核とミサイルはそのための必須の手段(戦争のためではなく、アメリカの介入阻止のため)

    ・韓国を懐柔し社会主義化を図るための施策を長期にわたり継続しており、効果も相当に上がっている。

    ・アメリカと戦争になれば自国が壊滅することを十分に承知している。

 韓国  :・朝鮮戦争の悪夢が強力でアメリカとの共同防衛体制を強化してきたが、時代とともに次第に薄らいできた。

      ・北朝鮮の工作が進み政治中枢の社会主義化が進んでいる。

  • 半島が戦争状態になれば被害は甚大であり回避すべきとの意見が圧倒的。


日本はアメリカとの連携を強化している限り、論理的には戦争を回避できるが暴挙に対応できる機能を持たなければならない。

暴挙で戦争が起きるとすれば、グアム以北の朝鮮半島と日本列島に限定されるだろう。アメリカ・中国・ロシアは自国の本土に被害が及ばないようにするからである。

こうなった時にわが国として最も大事なのは、自己防護のシェルターとミサイル防衛・敵基地攻撃能力の確保である。しかも米軍に依存せず日本自らが使えるものが必要になる。

安閑としているわけにはいかない。


中国軍の軍備強化

「中国軍の軍備強化」


中国は8月1日、軍建設90周年を迎え異例の軍事パレードを行い、「戦える軍隊」「世界一流の軍隊」を目指すことを宣言した。この10数年海・空軍・ミサイル部隊の戦力を強化しわが国の南西諸島への圧力を強めているが、長期にわたって核戦力やサイバー戦・宇宙戦の能力も強化してきた。

核戦力や宇宙の軍事利用については60年も前に毛沢東がアメリカに負けるなと檄を飛ばして戦力開発を宣言した。あれから半世紀以上の努力の蓄積で、有人人工衛星を打ち上げ、月面軟着陸を成功させるなど今ではアメリカ・ロシアに次ぐ宇宙開発を遂げた。

核戦力、ミサイル戦力、宇宙利用、陸・海・空軍の強化を遂げた中国はそれを今回の軍事パレードで内外に示した。

今中国軍が目指しているのは、ネットワークを中心にした戦いNCW(Network Centric Warfare)である。

一昨年末(2015・12)に軍の大改革を行って、今迄持っていなかった「戦略支援部隊」を新設したが、これがネットワーク中心の戦いを実行する司令塔になるのだろう。

NCWは革新的な戦い方で米軍は10数年前から模索しているがいまだ完成していないようで、2030年ごろには実用化できると見られている。中国はそれに遅れること約20年で2049年の中華人民共和国建設100周年を目指して実用化を模索しているのだろうと想像する。NCWは、あらゆる戦力をネットワーク化して迅速な状況判断と指揮機能を高め最適の戦い方を決めるものだが、細部はまだわからないことも多い。しかし、情報収集分析・指揮命令・戦力運用の分野で画期的な効果を発揮すると思われ、これが完成するととても従来の手法では太刀打ちできないのではないかと危惧する。

中国軍の強化はここに焦点が当てられている。わが国もこれを見据えて対応を考えなくてはならないだろう。

中国は軍事技術的には未熟なところも多々あるが、核・ミサイル・宇宙開発など長い時間をかけてじっくり取り組む力は十分にある。それは歴史が示している。

このNCWも侮らずにしっかり見ておくことが必要だろう。(2017・8・9 松島悠佐)


小野寺防衛大臣の再登板

「小野寺防衛大臣の再登板」


安倍内閣改造で小野寺防衛大臣が再登板することになった。

直後のNHKの解説委員が「これで防衛省の隠蔽体質が改善されるのではないか」などと頓珍漢な話をしていたが、NHKの解説委員はまず防衛のことは何にも知らない。だから何かを知ると隠蔽体質があったと勘違いするようだ。

毎年発刊される防衛白書や防衛公刊資料など、これほど防衛情報を公開している国も少ないと思う。

昔の話だが小泉元首相が北朝鮮・ピョンヤンを訪問した際、政府専用機の入り口に立っていた航空自衛官をNHKの解説委員が北朝鮮の兵士と間違えて解説していた。自分の国の自衛官の制服も階級章も知らない男が解説しているのだからどうしようもない。NHKの元解説委員で国際情勢などの評論家がいるが、実に頓珍漢な分析をしている。こんな解説を聞かされる国民もたまったものではない。

小野寺議員は防衛大臣2回目だが、ご実家が東日本大震災で2階まで水に浸かっても直ぐに復興した旅館の肝っ玉お女将のご子息である。

最初の登板の時には防衛のことは初めてだったが、持ち前の男気と責任感で十分自衛隊に溶け込んで離任の際には感激で涙が止まらなかったようである。

今度の登板では「防衛計画の大綱」の見直しなどに大きな期待が寄せられている。

多分最大の問題は「敵基地攻撃能力(自民党は反撃と呼んでいるが)」をどのように採り上げるかということになるのだろう。

私は元自衛官として、現在の防衛態勢の不十分さを改正してもらいたいと思っている。

北朝鮮のミサイル攻撃や中国の南西諸島攻撃に十分対応できる体制を作らなければならないが、そのハードルは「敵基地攻撃能力」にあるのだろう。

任は重いと思うが期待をしている。      

 (2017・8・5 松島悠佐)


北朝鮮のミサイル

「北朝鮮のミサイル」


北朝鮮の核やミサイルの開発については何度かこのブログにも書いたが、7月28日にも朝鮮戦争の停戦を記念してまたミサイルを発射した。ロフテッド(高角度)打ち上げだとか、ICBMの可能性があるとか、わが国のEEZ圏内の着水などが報じられて、それなりの状況はわかるが、北朝鮮の核とミサイルの意味する本当の危険についてはあまり報道されない。

「木を見て森を見ず」という言葉があるが、枝葉末節に捉われて木の姿はわかるのだが森の姿がわからないという意味に使われている。正にそういう感じがする。

北朝鮮の核やミサイルの開発は朝鮮戦争の停戦以来北朝鮮が国是として金日成・金正日・金正恩をとおして推進してきたことだから、制裁を受けても今更やめるわけではない。

ただこの先いずれアメリカの許容限度に達する時期が来て、アメリカが何らかの行動を起こす危険が来るのだが、どうもその時期が近づいたようである。

以前ブログにも書いたが、アメリカ・中国・ロシアなどの大国は武力衝突を避け、結局戦場になるのは朝鮮半島と日本列島で、せいぜい広げてもグアムなどパラオ諸島ぐらいではなかろうか。

さてこうなるとわが国は安閑としてはいられない。本当に危ない事態に入ろうとしている時であり、安倍総理は元より外務大臣や防衛大臣に頑張ってもらわなければならない時期なのに、国内で問題になっていることは全く違っている。

わが国としてやらなければならないことは山ほどあり、4月のブログにも要点を書いたが、ミサイル防衛やテロ対策など現場では努力しているものの政府の施策としては一向に進んでいない。またメディアも全く違うことに興味があるようで採り上げない。これが危険を作り出している。

このような状態が、「木を見て森を見ず」という状態ではないかと思う。

こうなったら自分で自分の身を守るしか方法は無い。私の事ながら北朝鮮が何かしそうな時には、私はせめて自分で安全を確保するために出来るだけ東京近郊から離れることにしている。              

 (2,017・7・31 松島悠佐)


「自衛隊の統合運用」についての当研究所案(概要)

「自衛隊の統合運用」についての当研究所案(概要)


中国や北朝鮮の脅威が顕在化している中で自衛隊の統合運用化の検討が進んでいる。

中国の海空軍の強化・尖閣諸島への圧力の強化に直面して南西諸島の防衛体制が検討されているが、この防衛は何と言っても海上・航空・陸上の統合が必要である。

海上自衛隊は自衛艦隊の主力を南西諸島に展開する計画を立てている。航空自衛隊は沖縄に方面隊を新編し、航空戦力を強化した。陸上自衛隊は陸上総隊を新たに編成して本土の部隊を迅速に転用する体制をとろうとしている。

問題なのは自衛隊の戦力が少なすぎるので、いざとなってから南西諸島に部隊を集結し統合運用しようとしていることである。

わが国の防衛は複合事態対処が基本になっているが、これは南西諸島に圧力がかかる事態では、ミサイル防衛の体制や政経中枢の混乱やテロへの備えなども同時に対応措置をとらなければならないと思われるからである。このような事態に南西諸島に戦力を転用し統合運用ができるだろうかという疑問がある。仮に海・空・陸の部隊が集まったとしても俄仕立ての統合運用がうまく機能するだろうか?

統合運用が主体となる南西諸島防衛では平素から統合司令部を作り共同訓練を行うことが必要だろう。

このような体制を平素からしっかり作っておくことが抑止効果になるのではなかろうか。

ミサイル防衛も同様で、監視警戒の態勢から海上配備のイージス艦や陸上配備のミサイルシステム、できれば敵基地攻撃力などを統合して運用することが必要になるが、これも俄仕立てで作るのではなく平素から綿密な連携を図らなければならないだろう。

しかし目下の人員規模と予算の規模では何か起きた時に戦力を振り回して対処するしか方法はなさそうだ。これでは実体的な防衛は出来ないだろう。

幣研究所では、人員規模と予算の規模を国際常識の範囲で少し膨らませて防衛態勢を考えてみた。その概要は次のようなものである。


「自衛隊の統合運用」(抄)          防衛システム研究所(主管:松島悠佐)

わが国の防衛上の特性は次のようなことだろう。

・正面幅が広く(約3000キロ)縦深が浅くかつ島国(約6000の島)で守りにくい。

侵攻開始後の部隊転用は困難(貼り付け運用が主体となる)。

・ミサイル攻撃・テロ攻撃・南西諸島攻撃が同時に起きる可能性が高い。

 複合事態対処が基本

・陸・海・空自衛隊の統合対処が基本になる


これを前提にして幣研究所で検討した一例としては、「一般的な領土領海の防衛組織(国土防衛軍)」と「ミサイル防衛の組織(防空軍)」ならびに「南西諸島防衛組織(南西諸島防衛軍)」を平素から別個の編成にして統合化を図るのがもっとも効果的だとの結論を得た。

これは有事の運用を基本にした編成であり、現在の陸・海・空自衛隊は防衛力整備や教育訓練など部隊管理を中心にして機能させるため残してある。



わが国が保持すべき防衛体制を一表にすれば次のとおりである。


運用を主体にした任務部隊

人事・教育・訓練を主体にした防衛力整備と部隊管理


統合幕僚監部

陸上自衛隊

陸上幕僚監部

海上自衛隊

海上幕僚監部

航空自衛隊

航空幕僚監部


統合司令部

司令官(統幕長)

責任者

陸上幕僚長

責任者

海上幕僚長

責任者

航空幕僚長

防空軍(20万人)

・航空警戒監視

・要地防空

・ミサイル防衛

・敵基地攻撃

司令部

司令官(空)

副司令官(海・陸)


ミサイル防衛隊(陸上配備)

敵地攻撃隊

ミサイル防衛隊(海上配備)

敵地攻撃隊

航空方面隊(北部・中部・西部)

警戒監視隊

ミサイル防衛隊

航空要撃隊

戦略偵察隊

敵地攻撃隊

国土防衛軍(20万人)

・テロ対処

・治安維持

・着上陸侵攻対処

・地域防衛、被害復旧

司令部

司令官(陸)

副司令官(海・空)


方面隊(北海道・東北・関東・関西・九州)

師団・旅団

(地方自治体・警察との連携)

地方隊(大湊・横須賀・呉・佐世保・舞鶴)

沿岸哨戒隊

海上輸送隊

(海保との連携)

航空輸送隊

(警戒監視隊)

(航空要撃隊)


南西諸島防衛軍(10万人)

・鹿児島~南西諸島防衛

司令部

司令官(海)

副司令官(陸・空)


警戒監視隊

島嶼守備隊(奄美・沖縄・先島)

哨戒艦隊

護衛艦隊

潜水艦隊

掃海隊

輸送艦隊

航空要撃隊

戦略偵察隊

敵地攻撃隊

募集・教育・技術研究、調達その他

統合運用能力

人事・教育体制の整備(学校・教育隊)


細部の装備や戦い方は現代戦に精通している現役の皆さんが決めることだが、現在の自衛隊の少ない戦力を事態に応じて振り回して作る統合防衛体制では、わが国が当面する複合事態にどこまで役に立つのか心配である。

また統合運用という体制は有事になって俄かに編成しても実行は出来ないだろう。(以上概要)


将来の防衛態勢検討の一助になれば幸いと思っているが、ご意見やご感想のある方は防衛システム研究所に問い合わせ願いたい。      

(2017・7・25 松島悠佐)


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