防衛

今は言葉を選んでいる時ではない


「今は言葉を選んでいる時ではない」


北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返しているが、政府は遺憾の意を表明するだけで実体のある行動を起こさない。それに業を煮やした自民党安全保障調査会が「弾道ミサイル防衛の迅速且つ抜本的な強化に関する提言」を行った。その中に「敵基地反撃能力の保有」が含まれている。

これまで敵基地攻撃能力と表現していたが、「攻撃」よりも「反撃」にしたほうが反対勢力への刺激が少ないと判断したようだ。

「自衛隊も敵基地攻撃能力を保持すべきではないか」という意見は、北朝鮮がミサイルを発射するたびにこれまで何回もあった。だが、専守防衛を逸脱するものだとして退けられるのが常だった。

実体論として、北朝鮮が持っている200~300発といわれる弾道ミサイルの攻撃に対して、わが国が準備しているミサイル防衛システムだけで国民の安全を守れないと危惧するのは当然だろう。

今回の自民党安全保障調査会の提言には、次の3点が示されている。

①弾道ミサイル防衛のための新規装備を速やかに予算措置を講じて導入すること。

②わが国独自の敵基地反撃能力を保有すること。

③EEZに飛来する弾道ミサイルへの対処について法的課題を検討すること。


いずれも至極当然のことだが、しかしこの期に及んでまだ言葉を選んで「攻撃」を「反撃」と言い換えたりしているのは、野党の反対を恐れ、政府の腰の重さを感じているからなのだろう。

今はそんな悠長な時ではない。いつ起きてもおかしくない明日の脅威に備えなければならない。今すぐ入手できる米軍の装備でとにかく体制を整える時である。

     (2017・4・6  松島 悠佐)



防衛努力

「防衛努力の相場」


「貴国は防衛努力がたりない」とか「いや、わが国は十分な努力をしている」などという議論が起きる。日米防衛担当者の間や、NATO同盟国の間でよく起きる議論である。

防衛努力は国家緊急事態の保険のようなものだから,われわれの身の回りの保険と同じくなるべく掛け金を少なくしてイザという時の保証は手厚くもらいたいと思っている。それは個人も国家も同じである。だが、そこにもある程度の相場がある。

国防費で言うと、わが国は毎年5兆円程度の防衛予算を組んでいる。国家総生産(GDP)500兆円とすれば、その1%を防衛に投資していることになる。因みに列国の状況を見ると、アメリカ3%以上、ドイツ・イギリス・フランスなどの中級国家は2%近くを投資している。

兵員数で見ると、全人口の1%以下の投資(0.5~0.8%ぐらい)が妥当な割合のようで、アメリカが0.6%、ドイツ・イギリス・フランスなどが0.4~0.5%程度である。

因みに日本は0.2%である。

戦時下で対峙している朝鮮半島では、韓国が1.5%、北朝鮮が5%を超えている。5%も軍隊に投資すると、労働人口が減ってこれでは国の生産性が上がらないのは当然だろう。

このような世界的な相場から見ると、「日本の投資は少ない。今の倍ぐらい投資してもいいのではないか」と、同盟国アメリカからもたびたび指摘されてきた。今回の防衛相会談でもそのような話が出るのだろうか。


だが、日本は米軍に基地を提供し、しかもわが国内の政治経済基盤が安定していることから、アジア・中東などの安全保障に睨みを効かせている米軍にとって、日本に基地があることは貴重な財産になっている。

日本の基地提供の負担は、なかなか金額では評価出来ないので話は簡単には決着しない。米軍への思いやり予算などいつも問題になっているのだが、総じて米軍は日本に駐留していることで大きな利益を生んでいる。そのことは元海兵隊の大将だったアメリカのマティス国防長官は十分承知していることである。


わが国の防衛力の問題は、憲法の制約を受けているので、列国の軍隊とは違う歯止めが掛かっている。その結果、「専守防衛」という戦理的には問題のある方針がかかげられ、アメリカへの依存体質がある。

さらに、核の問題では「唯一の被爆国」として特異な問題もあり、核廃絶を掲げながらイザとなったらアメリカの核に依存している。

複雑で難しい問題だが、日本の防衛努力は特異な日本の環境を前提にして質と量の両面から考えないと解決できない。

日米の強力な連携と安部総理以下主要閣僚の対応に期待している。(2017・2松島悠佐)


中国人の「2・5・8(リャン・ウー・パー)」の感覚

「2・5・8(リャン・ウー・パー)」はマージャンの時によく使われる言葉だが、これを使って中国人の力に対する感覚を説明してくれた人がいた。

中国人の力の評価は結構控えめで、相手と対等の力を持っていても相手より劣っていると感じるのが中国人だという。

2倍の力を持つと対等と考え、5倍の力になると小競り合いなら勝てると考え、8倍くらいになると十分に戦えると思うようになるというものだった。

数値は正確かどうか知らないが、日清戦争やシナ事変・共産革命戦を見てもその傾向はあるだろう。

中国軍はこの20年に亘って海空・ミサイルの戦力を強化してきた。

1996年の台湾総統選挙の時に、台湾独立を標榜していた当時の民進党党首・李登輝氏が優勢になったので、台湾周辺にミサイルを撃って選挙妨害にでた。しかし逆に米軍の空母群が進出し、「公正な総統選挙をミサイルで妨害するな!射撃を止めなければ基地を叩く」と迫られ、射撃中止を余儀なくされた。以来その意趣返しに、沿岸防衛型だった海空軍を強化し、わが国の南西諸島から台湾・南シナ海を防護できる海洋戦力を強化してきた。

空母「遼寧」を整備し、昨年(2016)12月宮古海峡から台湾を一周したのは、ここまで出来たぞというアメリカに対するデモンストレーションだったのだろう。

しかし、「2・5・8」の感覚から見れば、やっと米軍に近づいた程度の戦力であり、日米防衛協力がしっかりしていれば、何か行動を起こすには不十分だと思っているだろう。

しかし、日米共同体制が不十分で米軍があまり機能せず、日本の自衛隊だけになったら、「今の戦力で小競り合いなら出来るかな?」と思うかもしれない。中国にそのような感覚を持たせてはならない。

わが国が自ら島嶼防衛能力を強化し、さらに米軍との共同防衛体制を強化しているのはそのためである。

中国人は慎重だが隙を見せてはならない。

これから日米の政治交渉が始まるが、トランプ大統領に言われなくてもしなければならないことがある。中国から手出しをされないように抑止力として日米の防衛能力を強化することである。

(2017・2・1、松島 悠佐)


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