2005年08月28日

『GOTH 僕の章』 乙一

おすすめ度:☆☆☆☆

GOTH 僕の章この世には殺す人間と殺される人間がいる。自分は前者だ・・・そう自覚する少年、「僕」。殺人鬼の足跡を辿り、その心に想像を巡らせる<GOTH>の本性を隠し、教室に潜んでいた「僕」だったが、あるとき級友の森野夜に見抜かれる。「その笑顔の作り方を私にも教えてくれない?」という言葉で。人形のような夜の狼と傷跡の刻まれた手首が「僕」の中の何かを呼び覚ます。彼女の秘密に忍び寄った彼が目撃するのは・・・。圧倒的存在感を放ちつつ如何なるジャンルにも着地しない乙一の、飛躍点というべき一作。「僕」に焦点した三篇を収録。

文庫本になり、夜の章と僕の章にわかれていますが、本当はこれ全部一冊にまとまられています。だから僕の章は、夜の章から繋がっていることを断っておきます。

GOTHという作品を読んで思ったことは、普通のミステリとは違うということです。殆ど場合、事件の謎を解き、主人公は犯人を正しい方へと導いたりします。自首させたりなど、するでしょう。

しかし、「僕」にはそんなことはどうでもいいようです。「僕」が事件の謎を解き明かしていくのですが、そこには普通の人間には理解できない理由があります。その理由がこの僕の章で語られているような気がします。

・リストカット事件→連日のようにニュースをにぎわせていた連続手首切断事件。「僕」はある時、化学教師である篠原が一連の事件の犯人ではないかという、モノを見つけてしまう・・・・・。この事件がきっかけとなり、「僕」と森野は知り合いに。

手がとっても好きで、終いには手首を切断していくまでに発展していく事件。この話を読むとジョジョの第四部を思い出しますなぁ〜(笑)

・土→自分はどこにでもいるような、ごく普通の人間だと思う佐伯。しかし、そんな彼には、人間を生きたまま埋めたいという欲求があった。そして、近所に仲良くしていたコウスケという子を自分の家に埋めたことが始まりだった。その三年後、抑えていた、人間を埋めたいという気持ちがまた、一人の女子高校生に・・・・・

良心の呵責がありながら、人を殺してしまった佐伯。やはり自分は普通の人間ではなく、悪魔の心を持っていることに気づく。人殺しまではいかないが、日々過ごしている私達にも、そういうことがあるのではないでしょうか?

・声→7週間前に廃墟で北沢博子の死体が発見された。死体は元の原型が分からない状態だった。そんなある日、妹の北沢夏海はある男と出会い、カセットテープをその男から受け取った。夏海がカセットテープから聞いたこととは・・・・

騙された!というしかないですね、うん。書き方が上手いです。それに感動しました。最後の締めくくりとして、とてもいい話だと思います。

いつも思うのですが、森野夜ハブラレすぎ!(笑)彼女が犯人と出会っているにも関わらず、結局彼女は犯人と知らずに接する。彼女が犯人に狙われているにも関わらず、彼女の知らないところで事件が解決。いつも彼女は事件の真相を知らないのである。かわいそう・・・(笑)

この世には殺す人間と殺される人間がいる。「僕」は殺す側で、森野夜は殺される側。それが最後の話を読むと実感できる。「僕」は殺す側の人間だから、今までの事件に興味を持ち、謎を解いてきたのだろう。犯人と同じ側であるが故に共感できる部分もあったのでしょうか。

この「僕」と森野夜との関係性をもっとみたい。ということで、GOTHの続編を心から期待しています。


六篇の物語を読んで、実際に起こる事件というのは、私たちの身近にあるのだろうと思いました。生まれつき自分には特別な感情(人を殺してみたいなど・・・)があるという人、成長していく過程でそのような感情を抱くようになる人、さまざまだろう。しかし、その感情は外には出さず、常に周りに注意しながら隠しているのだろう。そして、ある時、感情が抑えられなくなり、過ちを犯してしまうのでしょう。

私の言いたいことは、誰でもそのような感情を持っている可能性があるということです。それは本人以外にはわからないことでしょうが。まぁとにかく皆さん、気を付けて日々を過ごしてください、と(笑)そんなところです・・・


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乙一 GOTH 夜の章 森野夜が拾った一冊の手帳。そこには女性がさらわれ、山奥で切り刻まれていく過程が克明に記されていた。 これは最近騒がれている連続殺人犯の日記ではないのか。 もしも本物だとすれば、最新の犠牲者はまだ警察に発見されぬまま、犯行現場に立
GOTH【徒然読書@だらだら漫画】at 2005年08月28日 19:54
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GOTH[ゴス] 僕の章【Promenade Sentimental】at 2005年09月02日 00:07
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「GOTH 夜の章」「GOTH 僕の章」  乙一【闘う女達への応援歌!日記】at 2005年10月24日 12:09
この記事へのコメント
はじめまして。
mixiから来ました☆彡
GOTHあたしも好きですww
viviサンは素敵な本をイッパイご存知ですね!!
是非本探しの参考にさせて戴きます〜☆彡
素敵な出会いをありがとうございます!!
でゎ、でゎ、足跡まで。
Posted by ゆめこ at 2005年08月29日 22:32
ゆめこさん、はじめまして。
コメントありがとうございます☆
遠いところからわざわざ来てくださって、なんと言ったらいいのか(笑)
本はいろんなジャンルの作品を読もうと心がけてたら、こんな感じになっちゃいました(汗)
感想も適当すぎますが、少しでも本選びの参考になってもらえれたら、これ幸いです!
また、ぜひ遊びにいらしてください^^
Posted by 管理人vivi也 at 2005年08月29日 23:20
はじめまして。
トラックバックありがとうございました。
ところどころ感想が似通ってるなぁと思いました。
それにしてもほんと森野、ハブられすぎww

まだまだ暑いですが、そろそろ読書の秋。
沢山本を読んでいきたいものですね。
それでは、また。
Posted by 樋口アキ at 2005年09月02日 00:14
こんにちは☆はじめまして♪

遅くなってしまいましたが、私の記事へのトラックバックをありがとうございました♪
私も本が好きなので、これからもちょくちょくお邪魔させていただきますね♪
よろしくおねがいします(≧▽≦)
Posted by 五百円玉貯金 at 2005年09月03日 14:52
>樋口アキさん
コメント&TB返しありがとうございます。
森野さんには心底同情ですw
私ももっといろいろなジャンルの本を、沢山読んでいきたいものです。

>五百円玉貯金さん
初めまして、コメントありがとうございます。
またぜひ遊びに来てくださいね〜^^
Posted by 管理人vivi也 at 2005年09月06日 18:18
はじめまして、初コメント北里です。
コメント・トラバありがとうございました。
ある意味、誰でもあの感情は持っているかもしれませんね。それを実行に移すか、移さないかが、境界線ですね。
でも近所で、アレだけ事件だらけだと怖い・・・。
Posted by 北里 at 2005年10月25日 14:41