新しい糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬スーグラが承認の見込みとのニュースが出ています(読売新聞).SGLT2は,sodium-glucose transporter-2の略です.日本語で直訳するとナトリウム・グルコース(共)輸送体になります.この薬は従来の薬とは全く作用機序が異なる面白い薬で,尿中に糖を出すことによって血糖値を改善するという特徴があります.

 糖尿が出る仕組みがわかると,この薬の仕組みが理解できます.簡単に説明すると,腎臓の機能単位は,濾過器である糸球体と,それに続く尿細管から構成されます.濾過器である糸球体では,不要な排泄物以外にも糖,アミノ酸,タンパク質など体に必要な物質も濾過され,尿細管に流れていきます.尿細管には捨てるにはもったいない物質を再吸収する機能が備わっています.SGLT2はそのような再吸収装置の一種で,尿細管の前半に位置する近位尿細管に多く分布し,糖の再吸収を担います.前述のように糖は糸球体を通過しますが,このような糖の再吸収システムがあるため,健常者の尿では糖は検出されません.一方糖尿病の方では,尿細管で再吸収しきれないほどの糖が糸球体を通過するため,尿中に糖が出てしまいます.また,尿中に糖が多く含まれると,糖は水を引っ張る作用があるため,尿量は多くなり,その分の水分を補充しようと口渇が出現します.

 スーグラはこのSGLT2をの働きを妨げます.その結果,糖の再吸収ができなくなり,濾過された糖が尿中に排泄されます.この結果血糖値が下がるわけです.

 副作用としては糖尿が出ることによる多尿や,電解質のバランス異常,尿路感染症のリスク増大が起こるようです.もう一点残念な点は,腎臓が悪い方には投与できない(ことになるだろう)点です.糖尿病は腎障害を起こしますから,使えない方が結構出てくるわけです.

 とはいえ,やっぱり面白い薬ですよね.今後の大規模臨床研究の成績が楽しみです.