著作権法の一部改正の件です。昨日、<著作権法の一部を改正する法律案に於ける「商業用レコード」の定義と法律の適用範囲に関する質問主意書>を提出した民主党の川内博史議員に衆議院第二議員会館でお会いし、一時間強お話をしました。以下は、川内議員から聞いた現況と川内議員の感触などの話です。

 今回の改正に当たり、文化庁は、<著作権者保護の観点からアジア各国・地域からの日本語歌謡逆輸入防止>のために改正するという文化庁の説明があり、多くの議員は、それを現在も信じている。文部科学省のコレの「著作権法の一部を改正する法律案」の概要をみていただければおわかりの通り。

 そもそもこの改正は文化庁の文化審議会著作権分科会で議論された。その議事録はコチラで。分科会の議事録以外にも小委員会の議事録など結構な量があるので、全部は無理でもせめて分科会の最終議事録(平成16年1月14日(水)午前10時30分〜午後1時開催)のコレだけは読んで欲しい。もう笑っちゃいますよ。コレ読んだら他の議事録も読みたくなっちゃうぐらい。

 とにかく、この分科会で改正のとりまとめがなされたわけだが、ここでも今回の改正は相当に問題を多く含んでいるとの指摘が多くあったそうだ。中でも著作権法の権威である東京大学の中山信弘教授は今回の改正に反対の立場だったらしい。そういう反対があったにもかかわらず、僅差の多数決でこの法案は、現在の形で国会で審議される運びとなったわけだ。先の著作権分科会最終議事録のコレには、パブリック・コメントに関しての記述が出てくる。このパブリック・コメントについての報告がコレで、結果を中途半端にまとめただけで個々の意見というのは示されていない。また、レコード会社関係者の組織的な投稿があったのではないかということも疑われている。

 結局は、数多くの問題点の指摘があったにもかかわらず、原案のまま国会で審議されることになったのである。分科会の審議でも問題視されていたように、もしかすると、<アジア各国・地域からの日本語歌謡逆輸入防止>を謳っておきながら欧米からのCDの輸入も対象となるのではないかという危機を強めた川内議員と佐藤議員が共同で提出したのが、過日のblogにも書いたこの質問主意書だ。ここで文化庁が、欧米からの並行輸入CDも対象となると返答したことから事態は急速に問題視されるようになったわけだ。

 4月6日のblogにも書いたが、川内議員は、文化庁に対し、<日本語歌謡逆輸入防止に限るというように訂正が出来ないか>を打診した。また、見直し条項をつけ<運用状況をみて不都合がある場合は、法案を見直すことが出来る>という付則をつけることを提案し、当初は文化庁側も出来ない相談ではないということで前向きな返答であったそうだが、4月7日文化庁から受け取った回答は内閣法制局の見解として付則をもうけることは出来ないというものだった。

 <還流防止>や<著作権保護>が目的なのに、なぜ並行輸入CDを入れることができなくするのか? そして並行輸入をストップする気はない(権利は行使しない)を連呼しながらも改正からその部分を省くことをこれほどまでに拒むのか? いったい誰がこの法案をごり押ししようとしているのか? それが、現在この法案に関して積極的なロビー活動しているレコード協会の依田巽会長(エイベックストラックス会長)だ。

 日本制作のCDの発売数が2億4000万枚に対し、問題視されている還流CDは68万枚で0.3%でしかない。しかし、それにも関わらず、今回の法案をごり押ししたいのには、売り上げが低下しているレコード業界を保護するために、そして評判の悪いCCCDを国内で標準化し販売することを目的としてこの法案を通そうとしているに相違ない。

 川内議員が依田会長に会った際、「欧米からの並行輸入CDを止める考えはあるのか?」との問に、「そういうつもりは全くない」と答えたそうだ? 川内議員の「止めないと言うことの担保はあるのか?」との問には「担保はない」という返答だったという。

 法案では、欧米からの並行輸入を止めることが出来るのだ。しかし、レコード業界としては並行輸入を止める権利はあってもその権利は行使しない。行使しないから並行輸入を差し止めることが出来る議案は通してくれと言う。もう、本来の目的は見えちゃったじゃないですか!並行輸入のCDを止めたいんですよ。評判の悪いCCCD売りたいんですよ!

 そして昨日、参議院の文教科学委員会で今回の改正が審議された。そこでの依田氏の発言も還流防止であることを強く主張するわけだが、それならば、還流防止にのみに限るという改正にすべきではないか? この調子では20日にはこの議案は参議院を通過するだろう。この議案は、参議院が先議扱いとなっているので、6月の衆議院の会期末までにこの議案が衆議院で審議され、通過する確率が高いという。

 川内議員としては通過しないように手だては打つが、非常に状況は厳しい。最後の抵抗としては、アメリカのレコード会社に日本への輸出を止めることはないという確認を国会としてとるということを求めるそうだ。依田氏は川内議員に会った際に、アメリカのレコード会社には並行輸入を止めないということを確認済みであると述べているそうだ。そうなのであれば、国会として確認をとることによって抑止力にしたいということだった。

 かつて、参議院で先議扱いの議案には軽く考えられている議案が多いと聞いたことがあるが、今回は軽い議案と見せかけておいて参議院先議にしておきながら、衆議院ではスムースに通過させようと言う老かいな戦略が見え隠れする。

 また、文化庁に対して再販制と今回の改正は二重の保護になるのではという質問をぶつけたそうだが、再販制は以前は2年間だったけれども現在は半年になっており、制度自体を緩やかに適用するようになっているとの答弁だったらしい。ほとんどの商品が発売から半年で総売上のほとんどを打ってしまうと思うのだが…。

 それと、日本盤はCCCD、洋盤はCDのとき、すなわち違う規格で出来たものを同じ音楽用CDとして規制対象にするのか?という問に、同じ曲が入っていれば同一とみなす。日本盤の利益が不当に害される場合は輸入権違反に問われるとの答弁をした文化庁だが、同一楽曲が入っていればアナログ盤にも適用するという考えらしい。

 それと、気になるのは、今回の改正に反対の意思を示していた大手輸入盤店が、反対することに尻すぼみの状況だと言うことだ。おそらく多くの輸入盤を卸している日本のレコード会社からの圧力があったからに違いないのだが…それにしても、そのような態度が事実なのであるとすれば、情けないことこの上ない。

 自民党が業界の利益のために今回のような改正に動くことはよくあることかもしれない。しかし、今回の改正では民主党でも多くの議員が賛成の意思を示しているという。それは、もともと<還流防止><著作権保護>という聞こえのよい甘言で、議員に対して好印象を与えてしまっているかららしい。そもそも民主党が自民党と同じような動きをしていても仕方ないと思うのだが、ここはやはり消費者の立場からの行動を願いたいわけだが、川内議員をはじめとする問題点に気づいた民主党の一部の議員が、民主党ホームエンタテイメント議員連盟を設立した。本国会の会期末の6月末までが勝負。議連の活躍に期待したい。
 
 先ほど東京から鹿児島に帰る飛行機で民主党の菅代表と通路を挟んで隣の席だったので、この著作権法の改正について、検討してくださいと申し伝えました。

 それにしても、川内議員と話した70分ほど。話聞いててどっと疲れました。ココまでひどいとは…。

 出張から帰り、思い出すまま書きましたので、まとまらない文章ですが、早くこのことをしらせたいと思い、半端ですがアップします。徐々に修正を加えます。

 取り急ぎ。